【32品目のうち20品目には別の呼び名がある】添加物のガムベースとは?一括名の範囲を通知で確かめた

窓辺のコンクリート床に、黒い板と丸い粒がいくつか置かれた静かな部屋 添加物辞典
ラベルさんラベルさん
ガムの原材料名の先頭あたりにある「ガムベース」。あの5文字は、何を指しているんでしょうか。
うーめんうーめん
消費者庁の通知をたどると、その5文字で書ける添加物は32品目あった。おもしろいのはここからで、32品目のうち20品目には、別の名前も用意されている。同じ物質でも、使った目的で袋の文字が変わる。

先に結論です。原材料名の「ガムベース」は一括名で、消費者庁の通知をたどると、その5文字で書ける添加物は32品目ありました。通知に名前が並ぶ指定添加物が11品目、既存添加物の一覧表から用途で拾われるものが21品目です。

そして32品目のうち20品目には、乳化剤・膨脹剤・イーストフード・光沢剤といった別の呼び名が用意されています。ガムベースという表示を決めているのは物質の正体ではなく、その添加物を何のために使ったかでした。

売り場の側も見ました。ロッテ・明治チューインガム・江崎グリコの20商品を各社の公式ページで開いたところ、20商品とも原材料名に「ガムベース」が入っていました。この記事では、制度の原文で32品目をそろえてから、20商品の表示と突き合わせます。数字はすべて2026年9月5日に各社公式サイトで確認しました。

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「ガムベース」の5文字は、食品表示基準の別表第七にある

黒いスレートに角の丸い石が一つ、銀の輪をのせている

出発点は法令です。食品表示基準のどこに「ガムベース」という言葉があるのかを、条文と別表で確かめます。まず添加物の書き方を決めているのは別表第四で、そこにこう書かれています。

1の規定にかかわらず、添加物の物質名の表示は、一般に広く使用されている名称を有する添加物にあっては、その名称をもって、別表第七の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては同表の下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる。
(食品表示基準 別表第四 添加物の項の3)

原則は物質名です。その原則の例外として、別表第七に載っているものだけが、下欄の言葉に置き換えられます。

別表第七(第三条関係)は左右2列で、14行あります。左の上欄が「どういう目的で使ったものか」、右の下欄が「袋に書いてよい文字」です。

上欄(使った目的)下欄(袋に書ける文字)
イーストフードイーストフード
ガムベースガムベース
かんすいかんすい
酵素酵素
光沢剤光沢剤
香料香料
酸味料酸味料
チューインガム軟化剤軟化剤
調味料(甘味料及び酸味料に該当するものを除く。)調味料(アミノ酸)など8通り
豆腐用凝固剤豆腐用凝固剤又は凝固剤
苦味料苦味料
乳化剤乳化剤
水素イオン濃度調整剤水素イオン濃度調整剤又はpH調整剤
膨張剤膨張剤、膨脹剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉

ガムベースは上から2番目にありました。14行のうち、上欄と下欄で文字が変わるのは軟化剤・調味料・豆腐用凝固剤・pH調整剤・膨張剤の5行です。ガムベースは左右が同じ5文字で、言い換えの余地がありません。売り場のガムに「基礎剤」や「ベース剤」と書かれた商品を見かけないのは、この表のとおりです。

一括名という仕組みの説明は香料の記事に、別表第七がいちばん複雑な形になる例は調味料(アミノ酸等)の記事にあります。

一括名の「ガムベース」に入る品目は32あった

白い床に細い銀の輪が三つ、同じ間隔で立てて並ぶ

別表第七には、どの添加物をガムベースと書いてよいかまでは書かれていません。範囲を決めているのは消費者庁の通知で、別添 添加物1-4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」の2番目にガムベースがあります。定義はこうです。

チューインガム用の基材として使用される添加物製剤(別添 添加物1-4「2 ガムベース」)

そして範囲は、「以下の添加物をガムベースとしての目的で使用する場合」として、11品目の名前が並び、そのあとに「別添 添加物2-1 の用途欄に『ガムベース』と記載されている添加物」が足されます。名前が並ぶ11品目と、一覧表から拾われる21品目。合わせて32品目でした。

名前が並ぶ11品目は、11品目とも指定添加物だった

先に、通知に名前が書いてある11品目です。厚生労働大臣が指定した添加物をまとめた指定添加物リスト(476品目)と突き合わせると、11品目とも番号が付いていました。

品名指定添加物リストの番号リストにある別名
エステルガム69なし
グリセリン脂肪酸エステル124なし
酢酸ビニル樹脂163なし
ショ糖脂肪酸エステル228なし
ソルビタン脂肪酸エステル241なし
炭酸カルシウム248なし
プロピレングリコール脂肪酸エステル378なし
ポリイソブチレン395ブチルゴム
ポリブテン403ポリブチレン
リン酸三カルシウム464第三リン酸カルシウム
リン酸一水素カルシウム470第二リン酸カルシウム

ここは光沢剤とはっきり違いました。同じ一括名でも光沢剤には指定添加物が1品目もなく、範囲は一覧表からの引き写しだけです。ガムベースには、法令の別表に名前を持つ11品目が最初から書き込まれています。

用途欄で拾われる21品目は、21品目とも既存添加物だった

もう一方の別添 添加物2-1は、既存添加物名簿に載っている品目を番号順に並べた一覧表です。名簿は令和7年8月25日の消費者庁告示第9号で改められ、いまは327品目が番号順に並びます。その用途の欄に「ガムベース」と書かれていたのが21品目でした。名前だけを並べます。

一覧表の番号品名
35/39ウルシロウ、エレミ樹脂
68/75カルナウバロウ、カンデリラロウ
128/131/133ゴム、コメヌカロウ、サトウキビロウ
139/140/142シェラック、シェラックロウ、ジェルトン
177/181タルク、チクル
222/253パラフィンワックス、粉末モミガラ
278/280マイクロクリスタリンワックス、マスチック
286/287/299ミツロウ、ミルラ、モクロウ
309/326ラノリン、ロシン

チクルもジェルトンもマスチックも、木の分泌液から得る樹脂です。既存添加物とは、指定の制度ができる以前から国内で使われていた添加物を、平成8年にまとめて認めたものです。あとから品目が足されることはなく、使われていないことが確かめられたものは名簿から消除されます。ガムの基材だったソルバやチルテやマッサランドバチョコレートが今回の21品目に出てこないのは、そのためです。つまりガムベースの32品目は、指定添加物11と既存添加物21という顔ぶれです。

32品目のうち20品目には、別の呼び名も用意されている

黒いスレートの板に丸い石と銀の輪がいくつも散らばる

ここが今回いちばん驚いた部分です。32品目を、ほかの13の一括名の範囲と照らし合わせました。同じ名前が別の一括名の中にも書かれていたのは20品目です。

指定添加物11のうち7品目は、乳化剤にもイーストフードにもなる

名前が並ぶ11品目のうち、ガムベースの欄にしか出てこないのは4品目でした。エステルガム、酢酸ビニル樹脂、ポリイソブチレン、ポリブテンです。残る7品目は、別の一括名の範囲にも同じ名前で書かれています。

品名同じ名前が載っている一括名いくつの一括名に出るか
グリセリン脂肪酸エステルガムベース、乳化剤2
ショ糖脂肪酸エステルガムベース、乳化剤2
ソルビタン脂肪酸エステルガムベース、乳化剤2
プロピレングリコール脂肪酸エステルガムベース、乳化剤2
炭酸カルシウムガムベース、イーストフード、膨脹剤3
リン酸三カルシウムガムベース、イーストフード、乳化剤、膨脹剤4
リン酸一水素カルシウムガムベース、イーストフード、乳化剤、膨脹剤4

リン酸一水素カルシウムとリン酸三カルシウムは、4つの一括名に名前があります。ガムの基材に使えばガムベース、パンでイーストの栄養源に使えばイーストフード、生地をふくらませるなら膨脹剤です。同じ物質が、袋の上では4通りの顔になります。ふくらませる側の話はホットケーキミックスの記事でも扱いました。

既存添加物21のうち11品目は、光沢剤とまったく同じ顔ぶれ

既存添加物でも同じことが起きていました。別添 添加物2-1で用途欄に「光沢剤」と書かれている品目は11あります。その11品目を、ガムベースの21品目と重ねました。

11品目とも、ガムベースの21品目に入っていました。ウルシロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、シェラック、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリンです。

残りの2品目も別の顔を持ちます。エレミ樹脂の用途欄には増粘安定剤が、タルクの用途欄には製造用剤が併記されていました。21品目のうち、用途欄がガムベースだけで終わるのは8品目です。

指定添加物の7品目と、既存添加物の13品目。足して20品目が、目的を変えれば別の文字で書かれます。32から20を引いた12品目だけが、ガムベースとしか書かれません。

市販20商品の原材料名を公式ページから写した

白い床に角の丸い石が四つと銀の輪が四つ置かれている

制度の話は以上です。ここからは売り場で、ロッテ・明治チューインガム・江崎グリコの20商品の原材料名を公式ページから写しました。見るのは「ガムベース」と、同じ袋に一括名がいくつ並ぶかです。

商品(メーカー)ガムベース光沢剤軟化剤乳化剤出どころ
クールミントガム(ロッテ)あり―あり―公式
歯につきにくい ブルーベリーガム(ロッテ)あり―あり―公式
チウインガム<ラムネ>(ロッテ)あり―あり―公式
イブ(ロッテ)あり―あり―公式
キシリトールガム<フレッシュミント>(ロッテ)ありあり――公式
キシリトールガム<グレープ>(ロッテ)ありあり――公式
キシリトールガム+フッ素<ペパーミント>(ロッテ)ありあり――公式
ACUO<クリアブルーミント>(ロッテ)ありあり――公式
Fit’s<やさしいレモン>(ロッテ)あり―あり―公式
フリーゾーンガム<レモン>(ロッテ)あり―あり―公式
ふ~せんの実カラフルみっくす<コーラ&ソーダ>(ロッテ)ありありあり―公式
歯につきにくいガム板<記憶力を維持するタイプ>(ロッテ)あり―あり―公式
すっぱいレモンにご用心(明治チューインガム)あり―ありあり公式
すっぱいぶどうにご用心(明治チューインガム)あり―ありあり公式
すっぱいソーダにご用心(明治チューインガム)あり―ありあり公式
すっぱいレモンだけなのでご用心(明治チューインガム)ありありありあり公式
プチガム<グレープ>(明治チューインガム)ありあり―あり公式
プチガム<ソーダ>(明治チューインガム)ありあり―あり公式
ポスカF歯科用<ペパーミント>パウチタイプ(江崎グリコ)ありあり――公式
ポスカF歯科用<マスカット>パウチタイプ(江崎グリコ)ありあり――公式

20商品とも「ガムベース」がありました。光沢剤は10商品、軟化剤は12商品、乳化剤は6商品です。ガムベースだけが例外なく並びます。

明治チューインガムの6商品は、ガムベースと乳化剤が隣り合っていた

メーカーごとの色も出ました。乳化剤が書かれていた6商品は、6商品とも明治チューインガムです。すっぱいレモンにご用心の表示は「ガムベース、酸味料、乳化剤、軟化剤、マンニトール、紅花色素、香料、甘味料(スクラロース)」で、一括名が4つ続きます。

ここで先ほどの表を思い出してください。グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの4品目は、ガムベースと乳化剤の両方に名前が載っています。この4品目のどれかを使った場合、袋にガムベースと書くか乳化剤と書くかは、噛む土台にしたのか乳化のために入れたのかで決まります。読み手が表示から中身を追えないのは、この分岐まで含めてです。

ロッテの2商品には、32品目の1つが物質名で書かれていた

暗い壁ぎわに黒い板と丸い石が並び銀の輪が立てかかる

20商品を写しているときに、制度の説明がそのまま現れている商品が2つ見つかりました。ロッテのキシリトールガム<フレッシュミント>と<グレープ>です。フレッシュミントの表示を全部写します。

マルチトール(外国製造)/甘味料(キシリトール、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物)、ガムベース、香料、増粘剤(アラビアガム)、光沢剤、リン酸一水素カルシウム、フクロノリ抽出物、ヘスペリジン、(一部にゼラチンを含む)
(ロッテ キシリトールガム<フレッシュミント>)

「ガムベース」と「リン酸一水素カルシウム」が、同じ列に別々に並んでいます。リン酸一水素カルシウムは、通知でガムベースの11品目に名前が書き込まれている物質です。それでも、この商品ではガムベースにまとめられず、物質名のまま出ています。

理由は範囲の書き方にありました。通知は「以下の添加物をガムベースとしての目的で使用する場合」と条件を付けています。基材として使ったのでなければ、11品目に名前があっても一括名にはできません。原則に戻って物質名で書くことになります。

同じ袋に光沢剤も並んでいます。光沢剤に使える11品目は、11品目ともガムベースの21品目の中にありました。ガムベース、光沢剤、リン酸一水素カルシウム。この3つが1つの袋に並ぶのは、由来の違う3種類の材料が入ったからとはかぎりません。目的が3通りに分かれたからでも、こうなります。

グレープにも同じ並びがありました。物質名で書かれているのは、20商品のうちこの2商品です。

公式ページで確かめられたのは、ガムベースがあるところまで

白い床に丸い石が三つ重なり銀の輪が立てかけてある

ここまでで分かったことと、分からなかったことを分けます。

分かったのは、32品目という範囲と、そのうち20品目には別の呼び名があるという成り立ちです。分からないのは、目の前の1商品がその32品目のどれを使ったかでした。20商品の公式ページのどこにも、品名の記載はありません。チクルなのか酢酸ビニル樹脂なのかは、表示からも公式ページからもたどれませんでした。

いくつかのメーカーは、原材料名を公開していません。

  • 丸川製菓は、公式の商品ラインナップにフーセンガムとマーブルガムが24商品並びますが、原材料名の記載がありませんでした
  • クラシエは、菓子のガムのページを開こうとしたところ取得できず、原材料名を確かめられませんでした
  • コリスは、公式サイトが商品一覧を後から組み立てる作りで、原材料名を取り出せませんでした

それから、数が多い少ないの話をひとつ。一括名が並ぶ商品ほど中身が多いとはかぎりません。ガムベースの5文字には32品目のうちの何品目かが入っていて、それが1品目でも5品目でも表示は同じ5文字です。逆に、明治チューインガムのように一括名が4つ続く表示は、目的ごとに分けて書いた結果でもあります。

もう1つ。ガムに「添加物0品目」の商品がない理由も、表示のしくみにあります。書かれていないことと使っていないことは同じではなく、加工助剤とキャリーオーバーは表示が免除されます。この免除の条文は加工助剤とキャリーオーバーの記事で読みました。

菓子全体でどこまで表示の短い商品が見つかるかは、クッキー・グミ・ガムを並べた記事とスーパーを一周した記事に書いています。

一括名を追いかけるのが面倒になったら、注文の前に原材料名を出している買い方に切り替える方法もあります。

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よくある質問

Q
「ガムベース」と書いてあれば、何が入っているか分かりますか?
A

分かりません。消費者庁の別添 添加物1-4によれば、ガムベースとして書ける添加物は32品目あります。名前が並ぶ指定添加物が11品目、既存添加物の一覧表で用途欄にガムベースとあるものが21品目です。どれを使っても表示は同じ5文字になります。今回の20商品では、公式ページにも品名の記載はありませんでした。

Q
ガムベースと光沢剤は、材料が違うのですか?
A

重なります。別添 添加物2-1で用途欄が「光沢剤」の11品目は、11品目ともガムベースの21品目に入っていました。ミツロウ、シェラック、カルナウバロウなどです。噛む土台に使えばガムベース、表面の仕上げに使えば光沢剤という書き分けになります。今回の20商品では、10商品に両方が並んでいました。

Q
ガム以外の食品にも「ガムベース」と書かれることはありますか?
A

定義が「チューインガム用の基材として使用される添加物製剤」なので、この5文字が使えるのはチューインガムに限られます。同じ物質をほかの食品に使った場合の表示は、目的に応じて乳化剤・光沢剤・膨脹剤のどれかになるか、物質名になりました。リン酸一水素カルシウムのように、4つの一括名に名前を持つ品目もあります。

Q
ガムベースが書かれていないガムはありますか?
A

今回写した20商品には、1つもありませんでした。ロッテ12商品、明治チューインガム6商品、江崎グリコ2商品のすべてに5文字が並びます。ただし丸川製菓、クラシエ、コリスの3社は、公式ページから原材料名を取り出せなかったので、この20商品には入っていません。

まとめ:「ガムベース」を決めているのは、物質ではなく目的だった

黒いスレートの上で銀の輪が二つ、鎖のように組み合う

通知と20商品を突き合わせて残ったのは、次の1行です。「ガムベース」の5文字で書ける添加物は32品目あり、そのうち20品目には別の呼び名も用意されていました。指定添加物が11品目、既存添加物が21品目。乳化剤にもイーストフードにも膨脹剤にも光沢剤にもなる品目が、その中に20あります。

消費者庁の通知は、範囲を「ガムベースとしての目的で使用する場合」と限っていました。だから同じリン酸一水素カルシウムでも、基材に使えばガムベースにまとめられ、別の目的で使えば物質名のまま袋に出ます。ロッテのキシリトールガム2商品が、その両方を1つの列に並べていました。

20商品を写して、20商品ともガムベースがありました。光沢剤は10商品、軟化剤は12商品、乳化剤は6商品です。明日やることは1つ。ガムを裏返して、ガムベースの隣に一括名がいくつ並んでいるかを見る。その数が、目的がいくつに分かれたかを表しています。

(PR)お試しセットなら、お安く始めることもできます。住んでいる地域で選べます。

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