ラベルさん先に結論です。かんすいとして原材料名に書ける添加物は16品目。そのうち8品目は、pH調整剤として書ける35品目にも載っています。同じ物質が、2つの名前を持っている状態です。
どちらの言葉が袋に出るかを決めているのは、物質ではありませんでした。消費者庁の通知は、pH調整剤の定義に「中華麺類にかんすいの目的で使用される場合を除く」という但し書きを置いています。中華麺にかんすいとして使えば「かんすい」、それ以外の食品でpHを保つために使えば「pH調整剤」。この記事では法令と通知の原文を読んだうえで、中華麺・ラーメン・焼そば15商品の原材料名を各社の公式ページで確かめ、品目数の順に並べます。書くのは表示の決まりだけで、体への良し悪しは扱いません。数字はすべて2026年9月5日に各社公式サイトで確認しました。
ひらがな3文字について、めんの会社が自社のウェブで説明している

明星食品・日本生活協同組合連合会・シマダヤの3社は、それぞれのウェブに「かんすいとは何か」という項目を置いています。3社の文章を読み比べると、原料についての説明は3社とも同じ内容でした。
明星食品のよくあるご質問には、原料の説明があります。
現代ではカリウムとナトリウムの炭酸塩およびリン酸塩を原料として製造され、これらのうち1種類以上の混合物が使用されています
出典:明星食品「かんすいとは何ですか?」(2026年9月5日確認)
日本生活協同組合連合会のコープ商品のQ&Aは、役割を書いています。
かんすいは、中華麺特有の食感(コシ)や色・風味を出すために用いる食品添加物(アルカリ剤)です
出典:日本生活協同組合連合会「かんすいとは何ですか。どのような目的で使うものですか。」(2026年9月5日確認)
シマダヤもよくあるご質問に同じ問いを立てています。会社が3社そろって自社で説明を出している言葉は、そう多くありません。原材料名にひらがな3文字しか出ないので、袋の裏では答えが完結しないということです。
そして明星食品の「カリウムとナトリウムの炭酸塩およびリン酸塩」というくだりは、会社が独自に決めた話ではありませんでした。ほぼ同じ文が、法令の下にある通知に載っています。
かんすいとして書けるのは16品目。うち8品目はpH調整剤にも載っていた

消費者庁の通知の別添を開いて、かんすいの項に並ぶ物質名を書き写しました。16品目あります。同じ別添にあるpH調整剤の項と1品目ずつ突き合わせています。
出どころは食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)の別表第七です。物質名を書かずに種類の名前で済ませてよい添加物が14種並んでいて、かんすいはその3番目にあります。この表には上欄と下欄があり、かんすいの行は上欄も下欄も同じ「かんすい」の3文字でした。膨張剤のように4通りの書き方が用意されている行もあるなかで、かんすいには言い換えが1つもありません。一括名という書き方の全体像は、2文字の後ろに3,000品目超が控える香料の記事でまとめています。
では、どんな添加物なら「かんすい」の3文字で済ませてよいのか。それは別添 添加物1-4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」の3番目に書かれています。
3 かんすい
(1)定 義 中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤で,炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム及びリン酸類のカリウム又はナトリウム塩のうち 1種以上を含むもの
(2)一括名 かんすい出典:消費者庁「食品表示基準について(別添 添加物関係)」別添 添加物1-4(2026年9月5日確認)
定義の1文目に「中華麺類の製造に用いられる」と、食品の名前が入っています。ここが後の話につながります。続く「(3)添加物の範囲」に、16品目の物質名が並んでいました。
| グループ | 物質名 | 品目 |
|---|---|---|
| 炭酸塩 | 炭酸カリウム(無水)/炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム | 3 |
| ピロリン酸塩 | ピロリン酸四カリウム/ピロリン酸二水素二ナトリウム/ピロリン酸四ナトリウム | 3 |
| ポリリン酸塩 | ポリリン酸カリウム/ポリリン酸ナトリウム | 2 |
| メタリン酸塩 | メタリン酸カリウム/メタリン酸ナトリウム | 2 |
| リン酸塩 | リン酸三カリウム/リン酸水素二カリウム/リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウム/リン酸三ナトリウム | 6 |
| 合計 | 16 | |
16品目のすべてが、カリウムかナトリウムの塩でした。定義が「カリウム又はナトリウム塩」と書いているので、カルシウムやマグネシウムの塩は1品目も入りません。ここは後で市販商品の表示にそのまま出てきます。
8品目は、pH調整剤の35品目にも同じ名前で載っている
同じ別添の13番目に、水素イオン濃度調整剤の項があります。こちらの範囲は35品目。16品目と35品目を1つずつ照合したところ、8品目が両方に載っていました。16品目のちょうど半分です。
| 状態 | 物質名 | 品目 |
|---|---|---|
| かんすいとpH調整剤の両方に載る | 炭酸カリウム(無水)/炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/ピロリン酸二水素二ナトリウム/リン酸水素二カリウム/リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウム | 8 |
| かんすいにだけ載る | ピロリン酸四カリウム/ピロリン酸四ナトリウム/ポリリン酸カリウム/ポリリン酸ナトリウム/メタリン酸カリウム/メタリン酸ナトリウム/リン酸三カリウム/リン酸三ナトリウム | 8 |
たとえば炭酸水素ナトリウムは、かんすいの3品目目にも、pH調整剤の19品目目にも、同じ文字で書かれています。同じ物質が2つの名簿に重ねて置かれているわけです。
名前を分けているのは、中華麺に使ったかどうかだった
では、両方に載っている8品目を使ったとき、袋にはどちらが印刷されるのか。答えは、pH調整剤の定義の但し書きにありました。
13 水素イオン濃度調整剤
(1)定 義 食品を適切な pH 領域に保つ目的で使用される添加物及びその製剤。ただし,中華麺類にかんすいの目的で使用される場合を除く。出典:消費者庁「食品表示基準について(別添 添加物関係)」別添 添加物1-4(2026年9月5日確認)
この但し書きが、2つの言葉の境目です。中華麺類にかんすいとして使えば「かんすい」、それ以外の食品でpHを保つために使えば「pH調整剤」。かんすいの定義も「以下の添加物をかんすいとしての目的で使用する場合」と書かれているので、両方が使った目的と食品を見ています。物質を見ているのではありません。
だから、炭酸ナトリウムが入った袋を2つ並べても、中華麺の袋には「かんすい」、パンや惣菜の袋には「pH調整剤」と書かれます。買う人からすると、名前が違えば別の物が入っていると読んでしまうところです。名前で中身をたどれないのは、調味料(アミノ酸等)でも同じでした。書き方が8通りに分かれる仕組みは「等」が付くと分類が2つ以上になる話にまとめてあります。
16品目はすべて指定添加物だった
16品目が、どの名簿に載っている添加物なのかも確かめました。公益財団法人日本食品化学研究振興財団が公開している指定添加物リスト(規則別表第1)を照合したところ、16品目とも指定添加物として番号が振られていました。同じ通知の別添にある既存添加物名簿収載品目リストには、16品目とも出てきません。
ついでに分かったのは、名簿に「かんすい」という品目が存在しないことです。名簿にあるのは炭酸カリウム(無水)やリン酸三ナトリウムといった物質名だけ。かんすいは物質の名前ではなく、表示のために作られた呼び名ということになります。
中華麺・ラーメン・焼そば15商品の原材料名を並べた

袋めん・カップめん・焼そば・生ラーメンの15商品の原材料名を、東洋水産・日清食品・サンヨー食品・明星食品・エースコック・イオン・桜井食品・創健社の公式ページで確かめました。スラッシュより後ろにある品目の数が少ない順に並べ、かんすいの3文字があるかを別の列にしています。
| 商品 | 会社 | 種類 | 添加物 | かんすい |
|---|---|---|---|---|
| 純正らーめん | 桜井食品 | 袋めん | 0品目 | なし |
| 醤油らーめん | 創健社 | 袋めん | 1品目 | なし |
| ソース焼そば | 創健社 | 袋焼そば | 1品目 | なし |
| マルちゃん焼そば 塩 3人前 | 東洋水産 | 蒸し焼そば | 6品目 | あり |
| トップバリュ 焼そば | イオン | カップ焼そば | 7品目 | あり |
| マルちゃん焼そば 3人前 | 東洋水産 | 蒸し焼そば | 7品目 | あり |
| チキンラーメン 5食パック | 日清食品 | 袋めん | 8品目 | あり |
| 麺の達人 もっちり生ラーメン 4人前 | 日清食品 | 生ラーメン | 9品目(めん) | あり |
| サッポロ一番 みそラーメン | サンヨー食品 | 袋めん | 11品目 | あり |
| スーパーカップ1.5倍 しょうゆラーメン | エースコック | カップめん | 12品目 | あり |
| マルちゃん正麺 醤油味 5食パック | 東洋水産 | 袋めん | 14品目 | あり |
| 日清焼そばU.F.O. | 日清食品 | カップ焼そば | 14品目 | あり |
| 明星 チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック | 明星食品 | 袋めん | 14品目 | あり |
| カップヌードル | 日清食品 | カップめん | 15品目 | あり |
| 日清のラーメン屋さん 旭川しょうゆ5食パック | 日清食品 | 袋めん | 15品目 | あり |
15商品のうち12商品にかんすいの表示があり、3商品にはありませんでした。麺の達人だけは公式ページに載っているのがめんの原材料名だけなので、めん側の9品目で並べています。
桜井食品の純正らーめんは、原材料名にスラッシュがなく、添加物の表示が0品目でした。ただし0品目は「使っていない」と同じ意味ではありません。加工助剤とキャリーオーバーにあたるものは表示が免除されるので、読み取れるのは「表示に出ていない」ところまでです。免除の条文は加工助剤とキャリーオーバーを原文で開いた記事で確かめています。
かんすいと書いた12商品で、16品目のどれかを書いた商品は0だった

次に、かんすいと書いた12商品の原材料名に、さきほどの16品目の物質名が1つでも出ているかを見ました。イオンだけは商品ページに添加物の用途と物質名を並べた表を置いているので、そこも合わせて読んでいます。
結果は12商品とも「かんすい」の3文字だけ。炭酸カリウムもリン酸三ナトリウムも、16品目のどの名前も原材料名には出てきません。数も分かりません。明星食品が書いているとおり、混ぜて使うのは1種類以上。1品目でも5品目でも、印刷されるのは同じ3文字です。
イオンの表は分かりやすい形で残っていました。トップバリュ 焼そばの添加物の表は、着色料の欄に「カラメル、クチナシ」と物質名を出しています。ところが同じ表のかんすいの欄は、物質名の欄も「かんすい」のままでした。物質名を公開している会社でも、一括名の内側までは開いていません。カップめんの添加物を品目数で並べた記録はカップラーメン6商品の記事にあります。
かんすいに入らない塩は、物質名で別に書かれていた
その一方で、16品目に入らない物質は、きちんと名前が出ていました。12商品のうち8商品が、かんすいとは別に炭酸Caまたは炭酸カルシウムを書いています。マルちゃん正麺、チキンラーメン、カップヌードル、日清焼そばU.F.O.、日清のラーメン屋さん、サッポロ一番 みそラーメン、チャルメラ、スーパーカップの8商品です。
かんすいの定義は「リン酸類のカリウム又はナトリウム塩」と書いていました。カルシウムの塩は、16品目のどこにもありません。だから炭酸カルシウムは「かんすい」にまとめられず、物質名のまま原材料名に並びます。日清食品の麺の達人はさらにはっきりしていて、めんの表示に焼成Caとリン酸Caが別々に出ていました。
同じ袋に、かんすいとpH調整剤が両方書かれた商品があった
その麺の達人 もっちり生ラーメン 4人前が、この記事の話をそのまま形にしています。めんの原材料名はこうです。
「めん」小麦粉(国内製造)、食塩、卵粉、水あめ、小麦たん白/酒精、加工でん粉、pH調整剤、かんすい、焼成Ca、トレハロース、リン酸Ca、酵素、クチナシ色素、(一部に小麦・卵を含む)
出典:日清食品「麺の達人 もっちり生ラーメン 4人前」(2026年9月5日確認)
pH調整剤とかんすいが、隣り合って印刷されています。但し書きは「中華麺類にかんすいの目的で使用される場合を除く」と書いているので、この生ラーメンの中では、かんすいのために使った分と、pHを保つために使った分が、別の言葉に振り分けられたことになります。1つの袋の中で、2つの名前に分けて書かれている、ということです。何がどちらに入ったのかは、ここからは追えません。
かんすいが出てこなかった3商品は、公式が「無かんすい」と書いていた

15商品のうち3商品の原材料名には、かんすいがありませんでした。桜井食品と創健社は、その3商品について公式ページに説明を出しています。何を書いているかを写しました。
桜井食品は純正らーめんの商品ページで、めんを無かんすいと説明しています。揚げ油に植物油を使うことも同じ場所に書いてありました。原材料名は油揚げめんと調味料が並ぶだけで、添加物の表示は0品目です。
創健社の醤油らーめんは「かん水を使用せずコシとツルツルの食感を出しました」と書き、めんの説明では「無かん水麺」と呼んでいます。原材料名にある添加物は酸化防止剤(ビタミンE)の1品目だけ。同じ会社のソース焼そばも同じ1品目で、めんは無かん水麺です。
ここで気づくのは、言葉の書き分けです。原材料名に印刷されるのはひらがなの「かんすい」1通りですが、商品の説明文では「かん水」「無かんすい」「無かん水麺」と表記が動きます。別表第七が決めているのは原材料名の書き方だけで、商品説明の言い回しまでは決めていません。
日本生活協同組合連合会も、さきほどのQ&Aで、かんすいを使った即席めんと使っていない即席めんの両方を扱っていると書いています。ただし味一番拉麺の原材料名の全文は商品ページになく、今回は確かめられませんでした。シマダヤの「中華めん 1食」と「流水麺」冷し中華 醤油味 2食も、公式ページに原材料名の全文がないため確かめられていません。この2商品は表に入れていません。かんすいの表示がない中華めんを売り場で探した記録は無添加のラーメン12商品の記事にあります。
品目が少ないほど良い、という並びではありません

今回の並びは、原材料名に書かれた品目の数の順です。0品目から15品目まで開きましたが、この数は商品の良し悪しを表すものではありません。読み方の限界を先に書いておきます。
まず、一括名は中身の数を書きません。かんすいと書いた12商品が16品目のうち何品目を使っているのかは表示に出ないので、3文字の後ろにある数は、どの商品の合計にも入っていません。0品目の桜井食品と15品目のカップヌードルを並べても、比べているのは書かれた言葉の数です。
もう1つ、かんすいの有無は、めんの種類の違いでもあります。日本生活協同組合連合会のQ&Aは、かんすいが中華麺の食感や色や風味のために使われると書いていました。無かん水麺と中華麺は、めんとして目指している状態が違うということです。表示の言葉だけで両者を上下に並べることはできません。
そのうえで、売り場でやることは1つに絞れます。原材料名のスラッシュより後ろに、ひらがなの「かんすい」があるかどうかを見る。あれば16品目のうち1品目以上が使われていて、どれかは分かりません。なければ、無かんすいと書かれた商品か、そもそも中華麺ではない商品です。近所の売り場を1周した記録はスーパーで無添加を探した記事にまとめました。
袋を裏返す回数を減らしたいなら、原材料名を先に出している宅食に頼る手もあります。
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よくある質問
- Qかんすいとは何ですか?
- A
食品表示基準の別表第七にある一括名の1つです。消費者庁の別添 添加物1-4は「中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤で,炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム及びリン酸類のカリウム又はナトリウム塩のうち 1種以上を含むもの」と定義しています。この範囲に入る添加物は16品目です。
- Q原材料名に「かんすい」とあれば、中身は分かりますか?
- A
原材料名からは追えません。16品目のうち1品目以上を使ったことまでは読めますが、どれを何品目使ったかは書かれていません。今回の12商品はすべて「かんすい」の3文字だけで、物質名を書いた商品は1つもありませんでした。添加物の用途と物質名を表で公開しているイオンでも、かんすいの欄は3文字のままです。
- QかんすいとpH調整剤は違うものですか?
- A
2つとも別表第七の一括名です。中身は8品目が重なります。かんすいの16品目とpH調整剤の35品目を照合すると、炭酸カリウム(無水)や炭酸水素ナトリウムなど8品目が両方に載っていました。pH調整剤の定義には「中華麺類にかんすいの目的で使用される場合を除く」という但し書きがあり、中華麺にかんすいとして使ったときだけ「かんすい」と書きます。
- Qかんすいは指定添加物ですか、既存添加物ですか?
- A
名簿に「かんすい」という品目はありません。載っているのは16品目の物質名で、16品目とも指定添加物リスト(規則別表第1)に番号が付いています。既存添加物名簿収載品目リストには16品目とも出てきませんでした。
まとめ:かんすいの3文字は、中華麺に使ったときだけの名前

法令と通知を突き合わせて出た答えは1つです。かんすいとして書ける16品目のうち8品目はpH調整剤にも載っていて、袋にどちらの名前が出るかは、中華麺に使ったかどうかで決まります。物質が名前を決めているのではありませんでした。
16品目はカリウムとナトリウムの塩だけで、カルシウムの塩は入りません。だから市販の12商品では、炭酸Caや焼成Caが「かんすい」とは別に物質名で印刷されていました。日清食品の麺の達人にいたっては、pH調整剤とかんすいが隣り合って並んでいます。同じ1袋の中で、目的ごとに言葉が振り分けられた形です。
そして、かんすいと書いた12商品のうち、16品目のどれを使ったかを書いた商品は0でした。イオンのように物質名を公開している会社でも、この3文字の内側までは開きません。明日やることは1つ。中華麺の袋を1つ裏返して、スラッシュより後ろに「かんすい」があるかを見る。その3文字が、16品目のどれかに置き換わって読める日は、いまの決まりでは来ません。
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