ラベルさん先に結論です。市販のインスタントコーヒー12商品は、原材料名がどれも「コーヒー豆」で始まり、そこで終わっていました。スラッシュも、添加物の名前もありません。「体に悪い」の理由として挙がるのは、乾かし方(製法)、焙煎でできるアクリルアミド、カフェインの3つですが、この3つはどれも原材料名の欄には現れません。
この記事では、うわさの出どころを先に整理してから、12商品の名称・原材料名・製法の書かれ方を並べます。表示は2026年9月2日に各社の公式ページで確認しました。
「インスタントは体に悪い」の出どころは、乾かし方・焙煎・カフェインの3つ

1つめは乾かし方です。インスタントコーヒーは、全日本コーヒー公正取引協議会の公正競争規約で「煎り豆又は煎り豆にコーヒー生豆を加えたものから得られる抽出液を乾燥した水溶性の粉状、顆粒状その他の固形状のもの」と決められています(第2条第3項)。工場で淹れた液を乾かした粉、ということです。乾かし方は、凍らせて水分を抜くフリーズドライと、熱風で飛ばすスプレードライの2通り。この「工場で乾かす」工程が、豆から淹れる場合との差として語られてきました。
2つめはアクリルアミドです。農林水産省は、食品中のアクリルアミドについて「炭水化物を多く含む原材料を高温(120℃以上)で加熱調理した食品に含まれる可能性があります」と説明し、「コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように、高温で焙煎した食品にもアクリルアミドが高濃度に含まれていることが報告されています」と書いています。同じページには、水に溶けやすいため抽出したコーヒーにも含まれることが確認されている、ともあります。この記事では健康への影響は扱いません。ここで大事なのは、できるのが「焙煎」のときだという1点です。
3つめはカフェインです。これは足したものではなく、コーヒー豆にもともと入っている成分です。AGFの公式ページでは栄養成分表示の欄に1杯分(2g)あたり80mgと書かれていて、原材料名の欄には出てきません。カフェインの体への働きも、この記事では扱いません。
3つに共通するのは、どれも「何を足したか」の話ではないことです。足したものが書かれる場所は原材料名の欄なので、まずそこを12商品ぶん並べます。
12商品の名称・原材料名・製法の書かれ方を並べた

AGF、UCC、キーコーヒー、ネスレ、トップバリュ、セブンプレミアム、CO・OPの7つから、瓶か袋の12商品を選びました。乳や砂糖が入るスティックのカフェオレは外しています。見たのは、名称の欄、原材料名の欄、製法がページのどこに書かれているか、の3つです。
| 商品 | 名称 | 原材料名 | 製法の書かれ方 | 添加物 |
|---|---|---|---|---|
| AGF ブレンディ 瓶80g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 記載なし | 0品目 |
| AGF ブレンディ エスプレッソ 袋70g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 記載なし | 0品目 |
| AGF マキシム 袋60g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 記載なし | 0品目 |
| AGF ちょっと贅沢な珈琲店 スペシャル・ブレンド 袋60g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 説明文にスプレードライ | 0品目 |
| UCC ザ・ブレンド 114 瓶70g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 記載なし | 0品目 |
| UCC 職人の珈琲 芳醇な味わい 瓶66g | インスタントコーヒー | コーヒー豆 | 記載なし | 0品目 |
| キーコーヒー スペシャルブレンド 瓶80g | インスタントコーヒー | コーヒー豆(生豆生産国名:ベトナム、メキシコ) | 説明文にフリーズドライ | 0品目 |
| キーコーヒー カフェインレス 瓶50g | インスタントコーヒー | コーヒー豆(生豆生産国名:メキシコ) | 説明文にスプレードライ | 0品目 |
| トップバリュ 芳醇な香りのインスタントコーヒー 120g | インスタントコーヒー | コーヒー豆(生豆生産国名:エチオピア、ブラジル、ベトナム) | 商品名にフリーズドライ | 0品目 |
| CO・OP 味わい豊かなインスタントコーヒー 90g | インスタントコーヒー | コーヒー豆(生豆生産国名:ベトナム) | 商品名にフリーズドライ | 0品目 |
| セブンプレミアム いつもの珈琲 70g | 記載なし | コーヒー豆(生豆生産国名:ブラジル) | 記載なし | 0品目 |
| ネスカフェ ゴールドブレンド 瓶 | 記載なし | コーヒー豆(輸入) | 説明文に挽き豆包み製法 | 0品目 |
表示はすべて、メーカーの商品ページから写しました。ブレンディ 瓶80g/ブレンディ エスプレッソ/マキシム/ちょっと贅沢な珈琲店 スペシャル・ブレンド/ザ・ブレンド 114/職人の珈琲 芳醇な味わい/キーコーヒー スペシャルブレンド/キーコーヒー カフェインレス/トップバリュ/CO・OP/セブンプレミアム/ネスカフェ ゴールドブレンド。
12商品すべて、原材料名にスラッシュが出てきません。添加物の名前が1つも並んでいないということです。CO・OPの商品情報検索には食品添加物の項目が別にありますが、そこも空欄でした。
ここでいう0品目は、原材料名の欄に添加物の文字がなかった、という意味に限ります。製造の途中で使って製品に残らない加工助剤と、原料から持ち込まれるキャリーオーバーの2つは、ルール上、書かなくてよいことになっているからです。
もう1つ、表の右から2つめ、製法がどこに書かれていたかの列を見てください。製法が書かれていた6商品のうち、その場所が原材料名だった商品は0でした。ここが、この記事でいちばん意外だったところです。
共通していたのは、製法が名称にも原材料名にも出ないこと

製法が書かれていたのは、商品名か説明文だけ
フリーズドライと書かれていたのは、キーコーヒーのスペシャルブレンド、トップバリュ、CO・OPの3商品。スプレードライは、AGFのちょっと贅沢な珈琲店とキーコーヒーのカフェインレスの2商品でした。ただし書かれていた場所は、商品名(トップバリュ、CO・OP)か、ページの説明文(キーコーヒー、AGF)です。残る6商品は、公式ページのどこにも製法の記載がありませんでした。
つまり、うわさの1つめである乾かし方は、表示の上では見分けが付きません。凍らせて乾かしても、熱風で乾かしても、原材料名に書かれるのは同じ「コーヒー豆」です。
名称の欄は、規約で「インスタントコーヒー」と決められている
これは偶然ではなく、書き方が決められているためです。公正競争規約の施行規則は、名称の欄にインスタントコーヒーについては「インスタントコーヒー」と表示し、原材料名は「コーヒー豆」と表示して括弧内に生豆生産国名を書く、と定めています。キーコーヒーやトップバリュに国名が付いているのは、この決まりによるものです。ただし今回の12商品では、セブンプレミアムのいつもの珈琲とネスカフェ ゴールドブレンドの2商品だけ、公式ページに名称の欄が載っていませんでした。決まりがかかるのは商品に貼る表示のほうで、通販ページに名称まで書くかどうかは各社で違います。
だから、乾かし方をどう変えても、名称の欄も原材料名の欄も変わりません。製法の違いは、そもそも表示からは読み取れません。
ネスカフェだけ、呼び方が違った
ネスカフェ ゴールドブレンドだけは、公式ページが商品タイプを「レギュラーソリュブルコーヒー」と呼び、微粉砕した豆の粒を包み込む「挽き豆包み製法」だと説明しています。規約には、抽出液にレギュラーコーヒーの粉末を混ぜて乾かしたものを「インスタントコーヒー(レギュラーコーヒー入り)」と表示する決まりもあります。呼び方は違っても、原材料名は「コーヒー豆(輸入)」の1つだけでした。
ただし、原材料名が豆だけ=体にいい、ではない

今回の表示から言えないことが、3つあります。
1つめ。アクリルアミドは、表示の項目ではありません。農林水産省は焙煎した食品にできると説明していますが、原材料名にも栄養成分表示にも書く欄がないので、袋や瓶を見ても分かりません。原材料名が豆だけであることと、アクリルアミドの有無は、別の話です。これは豆から淹れる場合も同じで、農林水産省の一覧には「レギュラーコーヒー(豆)」と「インスタントコーヒー(固体)」の両方が並んでいます。インスタントだけの話ではなく、焙煎という工程の話です。
2つめ。栄養成分表示は、コーヒーでは省略できます。施行規則に「コーヒーについては、栄養の供給源としての寄与の程度が小さいため、省略可能」とあります。実際に公式ページに栄養成分が載っていたのは、AGFの4商品、UCCの2商品、トップバリュの1商品の計7商品。1杯2gあたり6〜7kcal、炭水化物1.1〜1.4gと差はわずかで、カフェインの数字まで出ていたのはAGFだけです。表示がないことは、入っていないことを意味しません。
3つめ。製法の違いは、味と溶け方の話として書かれています。キーコーヒーはフリーズドライ製法を「風味豊かな味わい」の理由として説明し、AGFのちょっと贅沢な珈琲店はスプレードライを説明文に書いています。どちらの製法が体にいいという説明は、どのメーカーのページにもありませんでした。
コーヒーの表示が長くなるのは、粉の段階ではなく、乳や砂糖を混ぜてからです。缶の微糖12商品で原材料名の1番目が牛乳だった記事では、添加物が0品目から5品目まで開きました。白い1個の中身を油脂と書いた記事も同じで、何かを足すとそのぶん表示が増えます。
では、売り場で何を見て選ぶか

12商品の表示から、3つに絞ります。
1つめ。原材料名にスラッシュがあるかどうかだけを見る。今回の12商品には1つもありませんでした。スラッシュが出てくるのは、乳や砂糖を混ぜたスティックのカフェオレ系です。
2つめ。製法で選びたいなら、原材料名ではなく商品名と説明文を見る。表示の欄には出ないので、パッケージの表側か公式ページで確かめるしかありません。フリーズドライと書かれた3商品のうち2商品は、商品名にそのまま入っていました。
3つめ。「無添加」の3文字を探さない。その表記がなくても、12商品の原材料名は全部豆だけでした。この3文字に決まった定義がないことは無添加という言葉に法律の定義がない話に、売り場ごとの見つかりやすさは添加物0品目を7つの売り場で探した記事とコンビニ8商品で0品目が4つだった記事にまとめています。
コーヒーの粉は、原材料名が1行で済みました。ただ、味つけまで終わった惣菜の原材料名は、粉とは比べものにならない長さです。そこを毎日読むのがしんどいなら、添加物を使わずに作った惣菜を届けてもらう手もあります。
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よくある質問

- Qインスタントコーヒーに添加物は入っていますか?
- A
今回の12商品では、原材料名に添加物の名前は1つも書かれていませんでした。7社とも「コーヒー豆」で始まり、生産国名が括弧で付く商品があるほかは、それ以上の文字がありません。加工助剤とキャリーオーバーは表示の対象外なので、表示に出ていないという意味です。
- Qフリーズドライとスプレードライは、どちらが体にいいですか?
- A
表示からは判断できません。どちらの製法でも名称も原材料名も同じです。メーカーの説明文にあるのは味と溶け方の違いで、体にいいという説明はどのページにもありませんでした。
- Qアクリルアミドはインスタントコーヒーだけの話ですか?
- A
ちがいます。農林水産省は、120℃以上で加熱した食品にできると説明し、高温で焙煎した食品の例としてコーヒー豆を挙げています。一覧にはレギュラーコーヒー(豆)とインスタントコーヒー(固体)の両方が載っています。健康への影響は、この記事では扱っていません。
- Qネスカフェは「インスタントコーヒー」ではないのですか?
- A
ネスカフェ ゴールドブレンドの公式ページは、商品タイプを「レギュラーソリュブルコーヒー」と呼んでいます。微粉砕した豆を包み込む製法の説明が付いていますが、原材料名は「コーヒー豆(輸入)」の1つだけで、ほかの11商品と同じです。
まとめ:原材料名は豆だけ。うわさの3つは、表示の外にあった

12商品を並べて分かったことは1つです。原材料名は7社とも「コーヒー豆」だけで、添加物の名前はどこにもありませんでした。うわさの出どころだった乾かし方は商品名か説明文にしか書かれず、アクリルアミドは表示の項目にそもそもなく、カフェインは一部のメーカーが栄養成分の欄に数字を出しているだけです。3つとも、原材料名の外にありました。
次に買うときにやることは1つです。瓶を裏返して、原材料名にスラッシュがないことを見る。乾かし方が気になるなら、原材料名ではなく表側の商品名を見てください。
粉の1行で済んだぶん、おかずを見直したい日は、宅配という選び方もあります。5社の宅配を原材料名で横に置いた記事にまとめています。
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原材料名と製法の記載は、2026年9月2日に各社の公式ページで確認しました。表示は変わることがあるので、買う前に手元の瓶や袋でも確かめてください。

