ラベルさん先に結論です。カニカマ14商品のすべてに着色料が書かれていました。赤い色は色素で付けています。いっぽうで赤色106号のような合成着色料は、14商品のどこにもありません。書かれていたのはトマト、パプリカ、紅麹、カロチノイド、ラックという、植物や菌や虫から取った色でした。
保存料も14商品のどこにも書かれていません。添加物の品目数は3から8。商品ごとに違ったのはどの色素で赤を作っているかでした。数字はすべて2026年9月2日に各社公式サイトで確認しました。
「カニカマは体に悪い」と言われる出どころは、赤い色と「かに風味」の4文字

疑われる理由は2つあります。1つめは見た目です。白いすり身の表面だけが赤い。カニの殻の色をまねているのが一目で分かるので、何かで塗ったのだろうと思われます。紀文の練りもの図鑑は、スティックタイプの作り方を、シート状のかまぼこを繊維状に細断して束ね、表面を赤く着色する、と説明しています。着色しているのはメーカーも公言している事実です。
2つめは名前です。袋に大きく書かれているのはカニですが、原材料名の1番目はどの商品も魚肉でした。「かに風味かまぼこ」という名前が、本物ではないという印象につながります。
2024年の春からは、もう1つ気にされることが増えました。紅麹の原料を使った健康食品の問題です。原材料名に「紅麹」の文字があるカニカマは、それだけで避けられるようになりました。日本食品添加物協会は2024年3月29日に食品添加物「ベニコウジ色素」についての見解を出し、4月26日には紅麹原料とベニコウジ色素の比較表を追加しています。色素と健康食品の原料は別のものだ、という説明です。
では、赤はどの色素で付けているのか。原材料名を14商品ぶん並べたほうが早いです。
カニカマ14商品を、添加物の品目数で並べる

上下の順番は、次の2つで決めました。味の好みは見ていません。
- 原材料名のスラッシュ(/)より後ろ、または「添加物」の欄に書かれた品目がいくつあるか。着色料(トマト色素、パプリカ色素)のように色素が2つ書かれていれば2品目とします
- 品目数が並んだら、100gに直した食塩相当量の多い順にする
かに酢が付いている商品は、かに風味かまぼこ本体の表示だけを見ました。並べたのは、原材料名を公式サイトに載せている7社の14商品です。
| 順位 | 商品 | 品目数 | 色に使っているもの | 食塩相当量(100g) | たんぱく質(100g) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 一正蒲鉾 オホーツク | 8 | トマト色素 | 2.40g | 9.6g |
| 2 | スギヨ 大人のカニカマ | 8 | トマト色素、パプリカ色素 | 2.22g | 11.6g |
| 3 | コープ ずわい蟹風カニカマ(かに酢付) | 8 | トマト色素、パプリカ色素 | 2.00g | 10.7g |
| 4 | 紀文 マリーン3パック | 8 | パプリカ色素、トマト色素 | 1.82g | 9.5g |
| 5 | 一正蒲鉾 サラダスティック | 8 | 紅麹 | 1.00g | 7.6g |
| 6 | スギヨ 香り箱 極 | 7 | トマト色素、パプリカ色素 | 2.00g | 11.5g |
| 7 | 紀文 カニかまにしたらば | 7 | ベニコウジ色素、パプリカ色素 | 1.71g | 7.9g |
| 8 | トップバリュ かに風味かまぼこロングスティック | 6 | 紅麹、カロチノイド、ラック | 2.35g | 8.8g |
| 9 | コープ 蟹足風カニカマ ダブルパック | 6 | トマト色素、パプリカ色素 | 2.12g | 12.0g |
| 10 | スギヨ 香り箱 | 6 | トマト色素、パプリカ色素 | 2.08g | 11.8g |
| 11 | 堀川 アラスカ 焼きがに風味 | 5 | 紅麹色素 | 2.67g | 10.7g |
| 12 | 堀川 アラスカ | 5 | 紅麹色素 | 1.20g | 10.7g |
| 13 | カネテツ ほぼカニ | 4 | カロチノイド色素 | 2.31g | 9.0g |
| 14 | トップバリュ FISH CAKE BAR かに風味かまぼこ | 3 | カロチノイド色素 | 2.00g | 10.0g |

食塩相当量とたんぱく質は、公式の表示値を100gあたりに直しました。表示の単位が商品ごとに違うためです。香り箱は12本96g、香り箱 極は10本130g、大人のカニカマは5本63g。カニかまにしたらばは1本70g、マリーン3パックは4本44g。サラダスティックは1パック70g、オホーツクは1本12.5g。アラスカと焼きがに風味は1本7.5g。ロングスティックは1本17g、FISH CAKE BARは1本70g。蟹足風カニカマは1パック42.5g、ずわい蟹風カニカマは本体1本15g。ほぼカニだけは、かに酢6gを含む78gの値しか公式にないため、かに酢込みの数字です。
1本7.5gの表示を100gに直すと13倍になります。表示は小数1桁までなので、堀川の2商品の数字は、ほかより幅を持って読んでください。
先に断っておきます。この順位は表示されている品目の多い順であって、体に悪い順ではありません。それでも、表の4つめの列、着色料を上から読むと、はっきりした違いがありました。
14商品に共通していたのは、着色料があること。違ったのは赤の原料

表の4つめの列、着色料の欄に空欄はありません。14商品のすべてに、色を付ける添加物が書かれていました。同じ魚のすり身でも、ちくわ・かまぼこで着色料がゼロだった回とは正反対の結果です。
ただし、書かれている色素はどれも合成ではありません。厚生労働省の既存添加物名簿に、トマト色素はトマトの果実から、ベニコウジ色素はベニコウジカビの培養液から、ラック色素はラックカイガラムシの分泌液から得たもの、と載っています。パプリカ色素は同じ名簿のトウガラシ色素にあたります。魚肉ソーセージで赤色106号が3商品に出た回と比べると、カニカマは赤の作り方がまるで違いました。
トマト系の色素で赤を作る7商品
いちばん多かったのは、トマト色素とパプリカ色素の組み合わせです。スギヨの香り箱、香り箱 極、大人のカニカマ、紀文のマリーン3パック、コープの蟹足風カニカマとずわい蟹風カニカマの6商品。一正蒲鉾のオホーツクはトマト色素だけで、公式ページにトマトリコピン色素を使っていると書かれています。合わせて7商品がトマト系でした。
コープの蟹足風カニカマも製造者はスギヨで、自社名の商品と同じ組み合わせでした。
紅麹で赤を作る4商品
一正蒲鉾のサラダスティック、堀川のアラスカと焼きがに風味の3商品は紅麹だけ。紀文のカニかまにしたらばは、ベニコウジ色素とパプリカ色素の2つでした。原材料名の書き方は「紅麹」「紅麹色素」「ベニコウジ色素」と3通りありますが、既存添加物名簿では同じベニコウジ色素です。トップバリュのロングスティックにも紅麹の文字がありますが、ほかの色素と混ぜているので次の項目で扱います。紅麹かベニコウジと書かれていた商品は、これを入れると5商品です。
カロチノイド色素だけの2商品と、3種を混ぜた1商品
トップバリュのFISH CAKE BARとカネテツのほぼカニは、カロチノイド色素と1つだけ書いてあります。カロチノイドは色素の仲間の名前で、トマトもパプリカもこの仲間に入ります。どの植物から取ったかまでは、この書き方では分かりません。
トップバリュのロングスティックだけは、紅麹、カロチノイド、ラックの3つを混ぜていました。ラック色素は14商品でここだけで、由来は植物ではなく虫です。製造はフジミツと書かれています。
着色料のほかに、14商品すべてに調味料が書かれていました。香料は12商品、加工でん粉は13商品。保存料は14商品のどこにもありません。カニカマが名指しされる理由と、実際に書かれているものの違いは、合成かどうかでした。
ただし、品目が多い商品=体に悪い商品、ではない

品目数の多さと体への影響を一緒にすると、選び方をまちがえます。日本で使用が認められている添加物には使い方の決まりがあり、書かれている品目が多いことは、そのまま口に入る量の多さではありません。
今回の表でも、そうなっています。品目数8で5位のサラダスティックは、100gあたりの食塩相当量が1.00gで14商品の最少でした。公式ページには日本食品標準成分表2020のかに風味かまぼこと比べて塩分を50%カットした、とあります。逆に品目数5の焼きがに風味は2.67gで最多。品目数3のFISH CAKE BARも2.00gで、真ん中あたりです。
毎日の体に積み上がるのは、むしろ食塩のほうです。文部科学省の食品成分データベースで、かに風味かまぼこの食塩相当量は100gあたり2.2g。今回の14商品は1.00gから2.67gで、この2.2gをまたいで散らばっていました。厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、食塩相当量の1日の目標量は18歳以上の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。100g食べると目標の3割前後になります。ただしスティック1本は7.5gから17gなので、1本なら0.1gから0.4gです。
脂質は差になりませんでした。100gあたり0gから2.67gで、いちばん多い焼きがに風味でも3gに届きません。たんぱく質は7.6gから12.0g。品目数からは赤の作り方が、食塩相当量からは塩の量が分かります。この2つの順位は重なりません。
では、売り場で何を見て選ぶか

原材料名の「着色料」か「色素」のあとに書かれた名前を読みます。3つに分けて書きます。
1つめ。合成着色料を避けたい人は、赤色◯号という文字を探す。今回の14商品には1つもなかったので、スーパーで手に取る商品なら、まずそこで引っかかりません。
2つめ。紅麹の文字を避けたい人は、「紅麹」「ベニコウジ」のどちらかが書かれていないかを見る。14商品では5商品にありました。トマト系の色素で赤を作っている商品は7つあるので、置きかえは難しくありません。
3つめ。虫から取った色を避けたい人は、「ラック」の文字を見る。14商品で1商品だけでした。
食塩を先に見たい日は、袋の食塩相当量を内容量で割って100gに直します。サラダスティックの1.00gと焼きがに風味の2.67gでは、同じ量を食べても2.7倍の差になります。袋の表に「無添加」とあっても、色素の欄は裏でしか確かめられません。表の言葉の扱いは無添加と名乗るときの決まりを消費者庁資料で確かめた記事にあります。
ただし限界もあります。色素を選び分けても、カニカマはサラダに乗せるか、弁当のすき間に入れるくらいです。スティック1本が7.5gから17gの食品なので、1品減らしても、その日のおかずは決まらないままです。
おかずのほうを添加物なしにしたいなら、作るところからまかせてしまう手もあります。添加物を使わずに味つけまで終えた惣菜を、家まで届けてもらうやり方です。
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よくある質問
- Qカニカマに保存料は入っていますか?
- A
今回の14商品には、保存料は1つも書かれていませんでした。スラッシュより後ろに並んでいたのは、調味料・加工でん粉・着色料・香料・pH調整剤・炭酸Caなどです。
- Qカニカマの赤い色は着色料ですか?
- A
14商品すべてで着色料でした。ただし赤色106号のような合成着色料は1つもなく、トマト系の色素が7商品、紅麹だけが4商品、カロチノイド色素が2商品、紅麹とカロチノイドとラックを混ぜた商品が1つです。
- Q紅麹が入っていないカニカマはありますか?
- A
あります。14商品のうち9商品には紅麹の表示がありません。スギヨの香り箱と香り箱 極と大人のカニカマ、紀文のマリーン3パック、一正蒲鉾のオホーツク、コープの2商品はトマト系の色素、トップバリュのFISH CAKE BARとカネテツのほぼカニはカロチノイド色素です。
- Qカニカマにカニは入っていますか?
- A
カニの身を原材料名に書いている商品はありませんでした。原材料名の1番目は14商品とも魚肉で、風味はかにエキスや魚介エキスで付けています。名称の欄に「魚肉ねり製品」と書かれていた商品もあり、「かに風味かまぼこ」は魚のすり身の食品です。
まとめ:赤は全部が着色料、でも合成はゼロだった

14商品を並べて分かったことは2つです。赤い色は14商品すべてが着色料で、そのすべてが植物か菌か虫から取った色でした。合成着色料も保存料も、どこにも書かれていません。
ここでの「合成はゼロ」は、14商品の原材料名に赤色◯号などの合成着色料の文字がなかった、という意味です。作る途中で使って製品に残らないものや、原料から持ち込まれた分は書かなくてよい決まりがあるので、色を付けるものが一切使われていないという話ではありません。
そして品目数が多いから食塩も多い、とはなっていません。品目数8のサラダスティックが食塩1.00gで最少、品目数5の焼きがに風味が2.67gで最多でした。色素で選ぶか、食塩で選ぶかは、その日の使い方で変わります。
次に買うときにやることは1つです。袋を裏返して、着色料の欄に何色素と書いてあるかを読む。トマト系なら7商品、紅麹なら5商品、ラックなら1商品。文字が読めれば、選び分けはそこで終わります。
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