【卵に原材料名の欄はない】平飼い卵は体に悪い?15商品の表示を見た

厚手のクリーム色の布の上の白い角鉢に、丸い白い玉が一つ入っている 体に悪い?食品査定
ラベルさんラベルさん
「平飼い卵は体に悪い」って検索されてるんだって。じゃあ聞くけど、卵のパックの原材料名、なんて書いてあった?
うーめんうーめん
思い出せなかったので、公式サイトを15商品ぶん開いた。答えは「原材料名の欄がない」。15商品とも、卵に何が入っているかは書かれていなかった。

先に結論です。殻付きの卵には、原材料名も添加物も表示されません。書かれていないのではなく、書く決まりがありません。殻付き鶏卵は食品表示基準で生鮮食品に分類されていて、生鮮食品に義務づけられているのは名称と原産地だからです。

だから「平飼い卵に何が入っているか」を表示から読むことはできません。この記事では15商品の公式ページを1つずつ開いて何の欄があったかを並べ、そのうえで卵のパックで実際に何を見ればいいのかを書きます。表示の内容はすべて2026年9月3日に各社公式サイトで確認したものです。

「平飼い卵は体に悪い」という話は、どこから出てきたのか

クリーム色の布の上に、白い角ばった小鉢が1つ置かれている

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この検索が生まれる理由は、たぶん値段です。平飼いと書かれた卵は、同じ売り場の普通の卵より高く付いています。高いほうに理由があるなら、安いほうには何かあるのではないか。そこから「どっちかが体に悪いのでは」という話になります。

もうひとつは、言葉の強さです。「平飼い」「オーガニック」「ビタミンE入り」。言葉が多いほど、裏に何が書いてあるのかを確かめたくなります。

ところが、その確かめ方が卵では通用しません。ほかの食品なら原材料名の行を読めば済むところ、卵にはその行がないからです。まずはそれを、商品ページで見ていきます。

15商品の公式ページを開いたら、原材料名の欄が1つもなかった

白いざらついた面に、正方形の白い皿が2枚ならべてある

並べ方は単純です。トップバリュとセブンプレミアムの卵の商品ページを開き、そこにどの欄があったかを書き写しました。飼い方の表記が書かれているものを先に並べています。

商品ブランド名称の欄原材料名の欄飼い方の表記
平飼いたまご(エイビアリー)北海道トップバリュ鶏卵(生食用)欄がない平飼い(エイビアリー)
平飼いたまご(エイビアリー)東北〜東海・北陸信越トップバリュ鶏卵(生食用)欄がない平飼い(エイビアリー)
平飼いたまご(エイビアリー)九州トップバリュ鶏卵(生食用)欄がない平飼い(エイビアリー)
ナチュラル 平飼いたまごトップバリュ鶏卵(生食用)欄がない平飼い
アグリコラ オーガニック平飼いたまごトップバリュ有機鶏卵(生食用)欄がない平飼い・有機
オーガニックたまご 店直トップバリュ有機鶏卵(生食用)欄がない有機(外語表記のみCage-Free)
昔ながらの平飼いたまご 6個入セブンプレミアムページに記載なし欄がない平飼い
葉酸入りたまごトップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
オメガ3入りたまごトップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
ビタミンD入りたまごトップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
ビタミンE入りたまご 八千代ポートリートップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
ビタミンE入りたまご(三重県)トップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
ビタミンE入りたまご(岩手県・群馬県ほか)トップバリュ鶏卵(生食用)欄がない記載なし
まいにち新鮮たまご 10個入セブンプレミアムページに記載なし欄がない記載なし
こだわり新鮮たまご 10個入セブンプレミアムページに記載なし欄がない記載なし

15商品ぜんぶ同じ結果でした。平飼いでも、有機でも、ビタミンE入りでも、原材料名の欄は出てきません。添加物の表記も1つもありません。

そのかわりトップバリュの12商品には、共通して同じ欄が並んでいました。名称、保存方法、栄養成分、選別包装者、採卵農場です。中身の内訳ではなく、どこの鶏が産んでどこで詰めたかが書かれています。

同じ卵でも、加工したものには原材料名がついていた

比べると分かりやすいのが、セブンプレミアムの平飼いたまごの温たま 4個入です。こちらは同じ平飼いの卵を使いながら、原材料の行がきちんと出ています。

「鶏卵(国産)、タレ(しょうゆ、ぶどう糖果糖液糖、発酵調味料、だし(鰹、昆布、ちりめん))」。温泉卵に仕上げてタレを添えた時点で、この商品は加工食品になります。加工食品には原材料名の表示義務があるので、行が現れます。

逆にいえば、殻のまま売られている卵に原材料名がないのは、加工していないからです。隠しているのではなく、書く対象がありません。

卵のパックに書く決まりがあるのは、8つの事がらだけ

格子の光がさす白いタオル地に、クリーム色の丸い玉が8つ一列に並ぶ

では卵のパックには何が書かれているのか。ここは業界の取り決めがはっきりしています。鶏卵の表示に関する公正競争規約の第3条が、容器包装に表示しなければならない事がらを8つ挙げています。

卵パックの表示ラベルに書く8項目と、そこにない原材料名欄を対比した図解
  1. 名称(「鶏卵」と書く。栄養強化卵は「栄養強化卵」でもよい)
  2. 原産地名(国産である旨、または都道府県名などの地名)
  3. 内容量(LLからSSまでの区分、重さの範囲、個数など)
  4. 等級(規定の箱詰め品のみ)
  5. 賞味期限
  6. 保存方法・使用方法
  7. 採卵者または選別包装者の氏名・名称と住所
  8. 卵重計量責任者の氏名(規定のパック詰め品のみ)

原材料名も添加物も、この8つに入っていません。公式ページで15商品ぶん見た結果は、この決まりのとおりだったということになります。

ちなみに賞味期限の意味も、同じ規約が定めています。「鶏卵の生食が可能である期限」という書き方です。トップバリュの12商品は、保存方法の欄がすべて「ご購入後は冷蔵庫(10℃以下)で保存してください」で揃っていました。

「平飼い」という言葉に、広さの決まりはない

ここがいちばん誤解されているところだと思います。食品表示基準を通しで検索しても、「平飼い」という言葉は1回も出てきません。法令に定義がないということです。

定義があるのは、さきほどの公正競争規約のほうです。施行規則にはこう書かれています。平飼いとは「鶏舎内又は屋外において、鶏が床面又は地面を自由に運動できるようにして飼育した場合」。

読み返すと分かりますが、1羽あたり何平方メートル、という数字がありません。屋外に出す義務もありません。床の上を自由に動ければ平飼いです。数字が出てくるのは「放飼い」のほうで、日中の過半を屋外で飼い、120日齢以降は1平方メートルあたり5羽以下、と定められています。

もうひとつ。規約はエイビアリー(多段式平飼い)も平飼いに含めると書いたうえで、その場合は「平飼い(エイビアリー)」などと明瞭に記載しなさい、としています。トップバリュの3商品に「(エイビアリー)」と付いていたのは、このためです。鶏舎の中に何段かの床を組んで飼う方式で、絵に描いたような庭ではありません。書いてあるとおりに書いてあったわけです。

ただし、表示がない=中身が分からない、ではない

うすい黄色の面に、白いふた付きの丸い器が1つ置かれている

原材料名の欄がないことと、中身が分からないことを一緒にすると、判断をまちがえます。原材料名の欄がないことは、何が入っているか分からないという意味ではありません。殻付きの卵は、鶏が産んだものがそのまま入っているだけです。混ぜるものがないから、書く行もありません。

同じ理由で、この記事は「平飼いのほうが安全」とも「栄養がある」とも言いません。飼い方の表記から中身の良し悪しは読み取れないからです。表の栄養成分を見ても、平飼いの商品も普通の商品も1個あたり60kcal前後、たんぱく質5.5g前後で並びます。差が付いていたのは、飼い方ではなく飼料で高めた栄養のほうでした。

その仕組みは、セブンプレミアムが商品説明ではっきり書いています。まいにち新鮮たまごは「鶏にマリーゴールドを配合した飼料を与えて育てたビタミンEが普通卵の5〜10倍豊富な生たまご」。卵に何かを足すのではなく、鶏に食べさせるものを変えて、数字を変えているということです。

加工した卵のほうにも、断りが要ります。原材料名には書かなくてよいものがあるからです。作るときだけ使って製品には残らない加工助剤と、原材料からもち込まれたキャリーオーバーは、表示を省くことが認められています。行に並んだ言葉が、中身のすべてではありません。添加物についても、消費者庁は食品安全委員会の評価を受けたうえで成分の規格と使用の基準を定め、その範囲で使用を認めていると説明しています。

では、卵売り場で何を見て選ぶか

ふわふわの白い布の上に、クリーム色の丸い玉が3つ転がっている

原材料名を探しても出てこないので、見る場所を変えます。今回の15商品から言えるのは、読む意味があるのは3行だけということです。

  • 賞味期限。生で食べられる期限なので、いちばん実用的です
  • 選別包装者と採卵農場。どこの鶏が産んで、どこで詰めたかが分かります
  • 飼い方の表記。平飼いを選びたいなら、「(エイビアリー)」の有無まで見る

逆に、値段の差を「体にいい・悪い」で説明しようとするとつまずきます。差が出ているのは飼い方と飼料と流通で、そのどれも安全性の話ではないからです。

次に気にするなら、卵を使った加工品です。マヨネーズは分かりやすい例で、平飼い卵をうたった商品でも添加物の書かれ方が分かれました。14商品を少ない順に並べたマヨネーズの裏の行を比べた記事に詳しく書いています。「無添加」という言葉が何を指しているのかは無添加とは?にまとめました。

買う場所ごとの傾向を先に知りたいなら、こちらが早いです。スーパーで買える無添加食品をまとめた記事と、今回の卵と同じブランドを扱ったイオンの無添加商品を確かめた記事です。

そのうえで、おかずのほうを丸ごと入れ替える手もあります。添加物を使わずに作った惣菜を、家まで届けてもらうやり方です。

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よくある質問

卵の表示について、よく聞かれることをまとめました。

Q
平飼い卵のパックに原材料名が書かれていないのはなぜですか?
A

殻付きの鶏卵は食品表示基準で生鮮食品に分類されるからです。生鮮食品に義務づけられているのは名称と原産地で、原材料名は加工食品の表示事項です。同じ卵でも温泉卵のように加工すると、原材料名の行が現れます。

Q
「平飼い」と名乗るのに決まりはありますか?
A

食品表示基準には「平飼い」という言葉が出てきません。定義があるのは鶏卵の表示に関する公正競争規約のほうで、鶏舎内または屋外で鶏が床面や地面を自由に運動できるようにして飼育した場合、とされています。広さの数字はありません。

Q
「平飼い(エイビアリー)」と書いてあるものは何が違いますか?
A

エイビアリーは多段式の平飼いです。公正競争規約は平飼いに含めたうえで、その場合はエイビアリーであることを明瞭に記載しなければならないと定めています。今回の15商品では、トップバリュの3商品が商品名に併記していました。

Q
卵のパックで必ず書かれているのはどの項目ですか?
A

公正競争規約は8つを挙げています。名称、原産地名、内容量、等級、賞味期限、保存方法・使用方法、採卵者または選別包装者の氏名と住所、卵重計量責任者の氏名です。等級と卵重計量責任者は規定の商品に限られます。

まとめ:平飼い卵の表示に、添加物の欄はない

明るい窓辺の台に、白い角皿が3枚重ねて置かれている

15商品を開いて分かったことは1つです。殻付きの卵には原材料名の欄がなく、添加物の表記もない。平飼いでも、有機でも、ビタミンE入りでも同じでした。生鮮食品なので、そもそも書く決まりがありません。

「平飼い」という言葉にも、広さの数字はありませんでした。決まっているのは、鶏が床の上を自由に動けること。多段式のエイビアリーも平飼いに入ります。言葉は同じでも、鶏の飼い方は1つではないということです。

次に買うときにやることは1つです。卵を手に取ったら、パックの側面の3行だけ見る。賞味期限、選別包装者と採卵農場、飼い方の表記。原材料名を探して見つからなくても、それは表示漏れではありません。

気になるのが卵ではなく毎日のおかずのほうなら、近所の売り場で無添加を探す手順を先に読んでおくと、迷う時間が減ります。

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※記載の内容は2026年9月3日時点のものです

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