「無添加の甘酒」を探すとき、原材料名の長さを数えても答えは出ません。米麹だけか、酒粕を使うか。この一行で、砂糖が何番目に来るかが変わります。
甘酒9商品、野菜ジュース6商品、りんご酢7商品。合計22商品の表示を、各社の公式ページから転記しています。表示の取得日はすべて2026年8月30日です。
3種類のうち、名前に決まりがないのは甘酒だけでした。りんご酢には数字の条件があります。まず、そこから書きます。
りんご酢には名乗る条件があり、甘酒にはない

りんご酢という名前は、どの商品にも付けられるわけではありません。使うりんごの量に下限があるからです。
食品表示基準の別表第三は、りんご酢をこう定めています。
りんご酢 果実酢のうち、りんごの搾汁の使用量が果実酢一リットルにつき三百グラム以上のものをいう。
条文はe-Gov法令検索で読めます。同じ別表には、果実酢の条件も入っています。果実の搾汁として1リットルにつき300グラム以上、という数字です。
さらに、醸造酢と合成酢の区別もあります。醸造酢は、氷酢酸または酢酸を使っていないものです。合成酢は逆で、氷酢酸か酢酸の希釈液に砂糖類や酸味料を足したものを指します。
農林水産省の規格も、同じところで区切っています。醸造酢の日本農林規格の第3条は、酸度を4.0パーセント以上としました。穀物酢は4.2パーセント、果実酢は4.5パーセントです。
この規格の全文は農林水産省のPDFで公開されています。告示の日付は昭和54年6月8日、番号は農林水産省告示第801号。最終改正は平成28年2月24日の告示第489号です。
では甘酒はどうか。食品表示基準の条文と別表を通しで探しても、「甘酒」の3文字は1か所も出てきません。定義の項目がないためです。
業界の自主ルールにもありません。全国公正取引協議会連合会が出している公正競争規約の一覧に、食酢の規約はありますが、甘酒の規約は載っていません。
野菜ジュースはどちらとも言えません。「野菜ジュース」という名称に定義はありませんが、トマトが主原料なら「トマトミックスジュース」の定義がかかります。
だから甘酒の各社は、名称の欄を自分で決めています。メロディアンは「清涼飲料水 甘酒」、福光屋は「甘酒(清涼飲料水)」、大関は分類の欄に「清涼飲料水」と入れました。呼び方が社ごとに揺れるのは、そろえる決まりがないからです。
甘酒9商品で、砂糖が1番目に来たのは酒粕を使うほうだった

甘酒には、もとになる材料が2通りあります。米麹だけのものと、酒粕を使うものです。9商品の表示を各社の公式ページから転記しました。
まず、米麹だけの5商品です。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 添加物 | アルコール分 |
|---|---|---|---|
| 森永製菓 米麹甘酒 1000ml | 米麹(国内製造)、米、米粉、食塩 | 0品目 | 0.00% |
| マルコメ プラス糀 糀甘酒LL 1000ml | 甘酒(国内製造)(米、米こうじ、食塩) | 0品目 | 公式ページに記載なし |
| マルコメ プラス糀 糀甘酒LL 糀リッチ粒 1000ml | 甘酒(国内製造(米、米こうじ)) | 0品目 | 公式ページに記載なし |
| 福光屋 糖質45%オフ 糀甘酒 350g | 米(国産)、米麹 | 0品目 | 0.00% |
| メロディアン 米糀甘酒 1000ml | 米糀加工品(米、米糀、食塩)、砂糖、澱粉、食塩/安定剤(増粘多糖類) | 1品目 | 公式表記は「アルコール ゼロ」 |
5商品のうち4商品は、原材料名に砂糖の文字がありません。米と米麹と食塩で終わります。福光屋にいたっては、米と米麹の2つだけでした。
例外がメロディアンです。米糀加工品が1番目で、砂糖はその次に入ります。米麹だけの商品でも、砂糖が入らないとは限りません。
次に、酒粕を使う4商品です。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 添加物 | アルコール分 |
|---|---|---|---|
| 森永製菓 甘酒 190g | 砂糖(国内製造)、酒粕、米麹、食塩/酸味料 | 1品目 | 1%未満 |
| 森永製菓 甘酒糖質50%オフ 185g | 酒粕(国内製造)、米麹、酒粕粉末、食塩/安定剤(増粘多糖類)、酸味料、甘味料(ステビア、スクラロース、ラカンカ)、香料 | 4品目 | 0.05%未満 |
| 大関 甘酒 1L | 砂糖(国内製造)、酒粕、生姜汁、澱粉、蜂蜜、食塩/酸味料 | 1品目 | 1%未満 |
| メロディアン 酒粕甘酒 195g | 砂糖(国内製造)、酒粕、澱粉、食塩 | 0品目 | 1%未満 |
4商品のうち3商品は、砂糖が1番目です。酒粕に甘さがないため、糖を足して味を作ります。
残る1商品が森永の糖質50%オフです。ここだけ酒粕が1番目で、甘さは甘味料に置き換わっています。添加物4品目は9商品の最多でした。

添加物の表示が0品目だったのは5商品です。米麹だけの4商品と、酒粕のメロディアンでした。原材料名にスラッシュがありません。
ここで断っておきます。加工助剤の扱いになるものや、キャリーオーバーの分は、原材料名に書かなくてよいとされています。ですから0品目とは、書くことが求められる添加物が並ばなかった、という意味になります。
甘酒の数字は、各社の商品ページから写しました。森永の米麹甘酒、森永の甘酒190g、森永の糖質50%オフ、マルコメの糀甘酒LL、マルコメの糀リッチ粒。
残る4商品はこちらです。大関の甘酒、福光屋の糖質45%オフ、メロディアンの米糀甘酒、メロディアンの酒粕甘酒。いずれも2026年8月30日に写しました。
アルコール分の線は、酒税法の「一度」で引かれている

甘酒の商品ページには、アルコール分の数字が添えられています。1%未満、0.05%未満、0.00%。この書き分けには根拠があります。
酒税法の第二条が、酒類の範囲をこう定めています。
この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(略)をいう。
出典はe-Gov法令検索の酒税法です。続く第三条は、アルコール分を温度15度のときの容量パーセントと定義しています。
一度、つまり1%に届かなければ酒類にはあたりません。だから各社は「1%未満」と書き、分類の欄に清涼飲料水と入れています。
今回の9商品では、酒粕を使う4商品のうち3商品が1%未満でした。森永の糖質50%オフだけ0.05%未満です。
米麹だけの商品は数字が下がります。森永と福光屋は0.00%、メロディアンは「アルコール ゼロ」と書いています。マルコメの2商品は商品ページに記載がありませんでした。
ここで注意したいのは、0.00%が実際に測った数字で、1%未満は酒類にならない上限を書いたものだということです。同じ意味ではありません。
野菜ジュースの「食塩無添加」は、量ではなく足したかどうかの話

野菜ジュースの表側には「食塩無添加」「砂糖不使用」の文字が並びます。この2つは、どちらも足していないことを示す表示です。含まれる量の上限ではありません。
食品表示基準の第7条が、条件を2組に書き分けています。食塩のほうの条件は2つです。ナトリウム塩を足していないこと、そしてその代わりになる原材料や添加物も使っていないこと。
砂糖のほうは条件が4つに増えます。うち最後の1つがこれです。
四 当該食品の百グラム若しくは百ミリリットル又は一食分、一包装その他の一単位当たりの糖類の含有量を表示していること。
この四号が2つの違いです。砂糖のほうは糖類の含有量を必ず書かなければなりません。食塩のほうに、その決まりはありません。
6商品の表示はこうなりました。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 添加物 | 食塩相当量 |
|---|---|---|---|
| カゴメ 野菜一日これ一本 200ml | 野菜(トマト、にんじんほか30種)、レモン果汁 | 0品目 | 0〜0.4g/200ml |
| キリン 無添加野菜 48種の濃い野菜100% 200ml | トマトジュース(濃縮トマト還元)、野菜ジュース(にんじんほか47種)、レモン果汁(濃縮還元)、セロリシード、こしょう | 0品目 | 0.03〜0.21g/本 |
| トップバリュ 15種類の野菜 野菜ジュース 食塩不使用 900g | トマトジュース(濃縮トマト還元)、野菜ジュース(にんじんほか14種)、レモン果汁、香辛料 | 0品目 | 0〜0.26g/180ml |
| 伊藤園 1日分の野菜 紙パック200ml | 野菜汁(にんじん、トマトほか30種)、レモン果汁、食物繊維、海藻カルシウム、ライスマグネシウム/ビタミンC | 1品目 | 0.02〜0.67g/本 |
| カゴメ 糖質オフ野菜ジュース 200ml | 野菜(はくさい、セロリほか16種)、レモン果汁/香料、香辛料 | 2品目 | 0.06〜0.5g/200ml |
| カゴメ 野菜生活100 グリーンサラダ 720ml | 野菜(にんじんほか15種)、果実(りんごほか5種)、食物繊維/香料、乳酸カルシウム、ビタミンC、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、ピロリン酸第二鉄 | 6品目 | 0.02〜0.3g/200ml |
添加物が0品目だったのは3商品です。カゴメの野菜一日これ一本、キリンの無添加野菜、トップバリュの食塩不使用でした。
最多はカゴメの野菜生活100グリーンサラダで6品目です。色素が2つ、鉄が1つ。色と栄養素を後から足すぶん行が伸びます。
面白いのは、野菜汁100%でも添加物が入る商品があることです。カゴメの糖質オフ野菜ジュースは、野菜16種とレモン果汁のあとに香料と香辛料が続きます。
原材料名の書き方が2通りに分かれたのも、名称の違いによるものです。トップバリュの名称は「トマトミックスジュース」でした。この名称のとき、別表第四は野菜の部分を「野菜ジュース」の文字と括弧で書くよう求めています。
食塩相当量にも幅がありました。上は伊藤園の1本あたり0.67グラム、下はカゴメとトップバリュの0グラムです。食塩を足していない商品でも、野菜に入っているナトリウムで数字は変わります。
同じ「食塩無添加」の一語は、トマトジュースの表示でも同じ意味で使われていました。13商品のうち9つが食塩なしだった内訳は食塩の有無で分かれたトマトジュース13商品にあります。
野菜ジュースの数字は、この6ページから写しました。カゴメの野菜一日これ一本、カゴメの糖質オフ野菜ジュース、カゴメの野菜生活100グリーンサラダ、伊藤園の1日分の野菜、キリンの無添加野菜、トップバリュの食塩不使用。いずれも2026年8月30日に写しました。
りんご酢は「純」の一字で、アルコールの行が消える

りんご酢の原材料名は、2行もいりません。多くても2つ、少なければ1つです。差が出るのはアルコールの有無でした。
7商品の表示はこうなりました。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 添加物 | 酸度 |
|---|---|---|---|
| ミツカン 純リンゴ酢 500ml | りんご果汁(国内製造) | 0品目 | 公式ページに記載なし |
| 内堀醸造 国産純りんご酢 500ml | りんご果汁 | 0品目 | 4.5% |
| 純正食品マルシマ 純りんご酢 500ml | りんご果汁(りんご(国産)) | 0品目 | 4.8% |
| ミツカン リンゴ酢 500ml | りんご果汁(外国製造)、アルコール | 0品目 | 公式ページに記載なし |
| 内堀醸造 りんご酢 500ml | りんご果汁、アルコール | 0品目 | 5.0% |
| トップバリュ りんご酢 500ml | りんご果汁(外国製造)、アルコール | 0品目 | 公式ページに記載なし |
| ミツカン マインズ〈毎飲酢〉りんご酢ドリンク 1000ml | りんご酢(国内製造)、りんご果汁、ハチミツ/乳酸Ca、香料、クエン酸、炭酸K、ビタミンC、グルコン酸K、甘味料(スクラロース) | 7品目 | 公式ページに記載なし |
ミツカン、内堀醸造、マルシマの3商品には、商品名に「純」が入ります。原材料名はりんご果汁の1行だけでした。
ミツカンのリンゴ酢、内堀醸造のりんご酢、トップバリュのりんご酢の3商品には「純」がありません。りんご果汁のあとにアルコールが続きます。醸造酢の日本農林規格が、原材料にアルコールを認めているためです。
ここでいうアルコールは、でん粉や砂糖類をアルコール発酵させて蒸留したものに限られます。規格の原材料の欄にそう書いてあります。
酸度にも差が出ました。公式に数字を出しているのは3商品です。内堀醸造の国産純りんご酢が4.5パーセント、マルシマが4.8パーセント。内堀醸造のりんご酢は5.0パーセントでした。
果実酢の下限が4.5パーセントですから、3商品ともそれを上回っています。りんご酢を名乗るには、りんごの搾汁が1リットルにつき300グラム以上いる、という条件も同時にかかります。
残る1商品だけ、中身が違います。マインズ〈毎飲酢〉は名前にりんご酢が入りますが、そのまま飲む特定保健用食品です。添加物は7品目でした。
調味酢のほうも似ていました。食酢が1番目に来る甘酢のシリーズでは、同じ名前でも1番目が果糖ぶどう糖液糖に入れ替わる商品がありました。
りんご酢の数字は、この7ページから写しました。ミツカンの純リンゴ酢、ミツカンのリンゴ酢、ミツカンのマインズ、内堀醸造の国産純りんご酢、内堀醸造のりんご酢、マルシマの純りんご酢、トップバリュのりんご酢。いずれも2026年8月30日に写しました。
どこで買うか、そして何を手がかりに決めるか

22商品は、買える場所で3つに区切れます。全国流通のメーカー品、プライベートブランド、通販が主軸のものです。
全国流通は森永製菓、マルコメ、大関、カゴメ、伊藤園、キリン、ミツカンの7社、22商品のうち14商品です。
プライベートブランドはトップバリュの2商品です。野菜ジュースの食塩不使用とりんご酢は、いずれも販売者がイオン株式会社でした。イオン系の店で手に入ります。
通販が主軸なのはメロディアン、内堀醸造、マルシマの5商品で、3社とも公式サイトに注文の入口があります。
1つだけ、事情が違う商品がありました。福光屋の糖質45%オフ糀甘酒です。ニュースリリースの販売店の欄に、直営店とオンラインショップでは扱っていないと書かれています。食品販売店だけの取り扱いです。
選ぶときに確認するのは3か所です。
- 名称の欄/甘酒なら「清涼飲料水」、酢なら「りんご酢」か「果実酢」か
- 原材料名の1番目/甘酒は米麹か砂糖か、りんご酢はアルコールの行があるか
- スラッシュの右側/添加物が何品目あるか
1つめの名称の欄で、いちばん早く候補が減ります。りんご酢と書けるのはりんごの搾汁が1リットルに300グラム以上の商品だけ。この一語で候補が絞れます。
2つめが原材料名の1番目です。甘酒で砂糖が先頭なら酒粕を使う商品、米や米麹が先頭なら米麹だけの商品と考えて、ほぼ外れませんでした。
3つめがスラッシュの右側です。22商品のうち、ここが空だったのは14商品でした。甘酒5、野菜ジュース3、りんご酢6です。
飲みもの以外もまとめて決めたい人は、飲みもの以外の売り場でも同じ見方が使えるかを先に読むと迷いが減ります。
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明日の買い物で手がかりにするのは、名称の欄の一語

りんご酢には、名乗るための数字が法令にありました。りんごの搾汁が1リットルにつき300グラム以上です。
甘酒には、その条件がありません。食品表示基準にも公正競争規約にも項目がなく、名称の欄は社ごとに揺れます。違いが出るのは米麹だけか酒粕を使うかの1点で、砂糖が1番目に来たのは酒粕を使う3商品でした。
野菜ジュースの「食塩無添加」と「砂糖不使用」は、足していないことを示す表示です。糖類のほうだけ、含有量の表示が義務になります。
明日やることは1つ。名称の欄を先に確かめて、それから原材料名の1番目に目を移してください。順番を逆にすると、候補が増えて決まりません。
飲みものだけでなく夕食のおかずも同じ基準にしたいなら、原材料の考え方を公表している宅配を1回だけ試す手もあります。
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