「無添加のトマトジュースを探す」という言い方は、空振りしやすいです。名称が「トマトジュース」の商品は、入れてよいものが法令で3つに限られているからです。トマト、濃縮トマト、食塩。この3つだけです。
市販13商品の原材料名を、メーカーの公式ページから書き写しました。添加物の表示があったのは1商品でした。しかもその1商品を、公式ページは「トマトジュース」とは呼んでいません。
では何で差がつくのか。食塩です。ここでは13商品を食塩の有無で2つに区切り、どんな売り場に置かれているかまで整理します。
名称が「トマトジュース」なら、入れてよいものは3つだけ

トマトジュースと名乗る商品に使えるのは、トマト、濃縮トマト、食塩の3つです。保存料や着色料を原材料名で探しても、まず出てきません。入れられないからです。
理由は、この名前が食品表示基準で定義されているからです。同基準の別表第三は、トマトジュースをこう定めています。
一 トマトの搾汁又はこれに食塩を加えたもの
二 濃縮トマト(略)を希釈して搾汁の状態に戻したもの又はこれに食塩を加えたもの
出典はe-Gov法令検索の食品表示基準で、2026年4月1日施行の条文の8月29日時点の内容です。
農林水産省のJAS規格も同じです。トマト加工品の日本農林規格の第3条は、トマトジュースの原材料をこう書いています。
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1 トマト
2 濃縮トマト
3 食塩
原文は農林水産省が公開しているPDFにあります。昭和54年10月11日農林水産省告示第1419号です。
JAS規格には濃さの決まりもあります。トマトジュースは無塩可溶性固形分が4.5パーセント以上です。薄めた液を「トマトジュース」として売れないようにするための決まりです。
ただしJAS規格は任意の制度で、格付けを受けた商品にマークが付きます。一方の食品表示基準は、すべての加工食品にかかる決まりです。
紛らわしいのが「トマト果汁飲料」です。こちらはトマトの搾汁が50パーセント以上あればよく、砂糖類や香辛料を足せます。名称の欄が違えば、中身の決まりも違います。
13商品の原材料名を、食塩の有無で2つに区切りました

各社の公式ページに載っている原材料名を、そのまま書き写しました。食塩の表示がなかったのは9商品です。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 食塩相当量 |
|---|---|---|
| カゴメトマトジュース 食塩無添加(720ml) | トマト(輸入又は国産(5%未満)) | 0〜0.18g/200ml |
| カゴメトマトジュースプレミアム 食塩無添加(160g) | トマト(国産) | 0g/160g |
| デルモンテ 食塩無添加トマトジュース(800ml) | トマト(輸入) | 0.0〜0.19g/200ml |
| トップバリュ 完熟トマト14個分トマトジュース 食塩不使用(900g) | トマト(アメリカ産、チリ産) | 0〜0.21g/180ml |
| トップバリュ オーガニックトマトジュース 食塩不使用 | 有機トマト(アメリカ産) | 0〜0.13g/180ml |
| ナガノトマト 信州のトマトジュース 食塩無添加(190g) | トマト(長野県) | 0g/190g |
| ゴールドパック 信州・安曇野トマトジュース(無塩)(ストレート)(190g) | トマト(長野県) | 0g/190g |
| 長野興農 信州まるごとトマトジュース シーズンパック 無塩(190g) | トマト(長野県) | 公式ページに記載なし |
| 伊藤園 充実野菜 理想のトマト(PET740g) | トマトジュース(濃縮トマト還元)、濃縮トマト汁 | 0〜0.55g/180ml |
9商品とも、原材料名にトマト以外の食材が出てきません。食塩の文字もありません。
食塩の表示があったのは4商品でした。
| 商品 | 原材料名(公式表記) | 食塩相当量 |
|---|---|---|
| カゴメトマトジュース 低塩(720ml) | トマト(輸入又は国産(5%未満))、食塩 | 0.31〜0.60g/200ml |
| デルモンテ トマトジュース(800ml) | トマト(輸入)、食塩 | 0.52〜0.88g/200ml |
| デルモンテ トマトジュース CLASSIC(190g缶) | トマト(輸入)、食塩 | 0.72g/190g |
| デルモンテ 塩トマト(800ml) | トマト(アメリカ)、食塩/ビタミンC | 0.21〜0.36g/200ml |
13商品のうち、添加物の表示があったのはデルモンテの塩トマトだけです。スラッシュの右側にあるビタミンCが添加物にあたります。
この商品について、キッコーマンの公式ページは「トマト飲料」と説明しています。「トマトジュース」という言葉は使っていません。名称の決まりに沿った書き分けです。
13商品を通して分かるのは、原材料名の行数が最初から短いことです。食塩が入っている商品でも、トマトと食塩の2語で終わっています。他の加工食品なら添加物が並ぶ位置に、何も書かれていません。
そのぶん、商品ごとの差は原材料名ではないところに出ます。食塩相当量の数字、原産地、濃縮還元かストレートか。この3つで選ぶことになります。

出典は各社の商品ページです。カゴメ食塩無添加、カゴメ低塩、カゴメプレミアム、デルモンテ食塩無添加、デルモンテトマトジュース、同CLASSIC、塩トマト、トップバリュ完熟トマト14個分。
産地ものとプライベートブランドはこちらです。トップバリュのオーガニック、ナガノトマト、ゴールドパック、長野興農、伊藤園。ゴールドパックは2026年9月2日、それ以外は2026年8月29日に確認しました。
ゴールドパックの公式ページでは、この商品名の後ろに「機能性表示食品(GABA)」が付いています。上の表では名前を短く書いていますが、同じ商品です。ページに載っている原材料名は「トマト(長野県)」の1つだけ、内容量は190グラム、食塩相当量は1缶190グラム当たり0グラムでした。
「食塩無添加」と「無塩」は、書ける条件が同じではない

この2つの言葉は、同じ意味ではありません。食品表示基準が、別々の条件を当てているからです。
「無塩」は、栄養成分を含まない旨の表示にあたります。同基準の別表第十三は、ナトリウムの基準値を5ミリグラムとしています。食品100グラム、飲料なら100ミリリットルあたりの量です。この値に満たないときだけ書けます。
いっぽう「食塩無添加」と「食塩不使用」は、ナトリウム塩を添加していない旨の表示です。条件は2つあります。いかなるナトリウム塩も添加されていないこと。ナトリウム塩に代わる原材料や添加物を使っていないこと。含有量の上限は、ここに書かれていません。
数字にも差が出ます。カゴメの食塩無添加は200ミリリットルあたり0〜0.18グラム。デルモンテの食塩無添加は0.0〜0.19グラムです。デルモンテの公式ページには「食塩相当量はトマト由来です」という注記があります。トマト自体にナトリウムがあるため、足さなくても0にはなりません。
これに対し、ナガノトマトとゴールドパックは0グラムでした。栄養成分表示に0と書けるのは、100グラムあたりのナトリウムが5ミリグラムに満たないときです。飲料は100ミリリットルあたりで判定します。別表第九の定めです。
足していないことだけ知りたいなら「食塩無添加」「食塩不使用」で足ります。食塩相当量の数字を小さくしたいなら、「無塩」か0グラム表示を手がかりにしてください。
濃縮還元かストレートかは、名称の欄で分かれる

名称の欄に「(濃縮トマト還元)」の文字があれば濃縮還元、なければストレートです。原材料名では分かりません。
食品表示基準の別表第四が、名称の書き方をこう決めています。
ただし、濃縮トマトを希釈して製造したトマトジュースにあっては、「トマトジュース(濃縮トマト還元)」又は「トマトジュース(濃縮還元)」と表示する。
実物でも一致します。トップバリュの2商品は、名称の欄が「トマトジュース(濃縮トマト還元)」「有機トマトジュース(濃縮トマト還元)」です。ナガノトマトの商品ページには「ストレートタイプのトマトジュースです」と書かれています。
原材料名があてにならないのは、同じ別表第四に理由があります。「トマトの搾汁及び濃縮トマトは、『トマト』と表示することができる」とあるためです。搾ったままでも、濃縮して戻しても、原材料名は「トマト」の一語で済みます。
作られ方の傾向は、農林水産省の2014年の規格調査資料にあります。ストレートには主に国産トマトが使われ、輸入した濃縮トマトを使う還元ジュースと差をつけている、という説明です。原文は農林水産省の資料にあります。
今回の13商品でも同じでした。原材料名が「トマト(長野県)」だった3商品は、いずれも公式ページにストレートと書かれています。長野興農の商品は「ストレート果汁100%」、ゴールドパックの商品は名称に「ストレート」が入っています。
売り場ごとに、置いてある顔ぶれが変わる

13商品は、置かれる場所で3つに区切れます。
1つめは全国流通のメーカー品です。カゴメ、デルモンテ、伊藤園の3社で、今回の13商品のうち8商品を占めます。3社とも公式サイトに原材料名と食塩相当量を出しているので、店に向かう前に中身が読める状態です。伊藤園の商品ページには取扱店舗の検索もあります。
2つめはプライベートブランドです。トップバリュの2商品は、公式ページの販売者がイオン株式会社です。イオン系の店で手に入ります。食塩不使用が通常品と有機の2種類ありました。
3つめは産地ものです。ナガノトマト、ゴールドパック、長野興農の3商品は、いずれも原材料名が「トマト(長野県)」でした。ナガノトマトと長野興農は、公式サイトに通販の入口があります。ゴールドパックも公式サイトに商品ページがあり、原材料名と栄養成分を読めます。容量は3商品とも190グラム缶でした。
容量にも傾向があります。全国流通品は720ミリリットルから900グラムの大容量が中心で、産地ものは190グラム缶が中心でした。1本を何日で飲みきるかで、選ぶ商品が変わります。
飲料以外もまとめて片づけたい人は、トマトジュース以外の売り場をどうまわるかを先に読んでおくと早く済みます。
買う前に決めることを3つに絞る

銘柄を覚える必要はありません。売り場で確認するのは3か所だけです。
- 名称の欄/「トマトジュース」かどうか
- 原材料名/「食塩」の2文字があるかどうか
- 食塩相当量/0グラムか、0.1グラム台か、0.5グラム台か
1つめは名称の欄です。「トマトジュース」なら、入れてよいものはトマトと濃縮トマトと食塩の3つに限られます。ここが「トマト果汁飲料」や「トマト飲料」だと、砂糖類や添加物が入ることもあります。
2つめは原材料名です。「食塩」の2文字があるかどうかだけを確認します。今回の13商品では、この1点で9商品と4商品に分かれました。
3つめは食塩相当量の数字です。0グラムなのか、0.1グラム台なのか、0.5グラム台なのか。今回の幅は0グラムから0.88グラムまででした。同じ200ミリリットルでも、いちばん多い商品といちばん少ない商品でこれだけ違います。
この3か所だけで、13商品はきれいに区切れました。パッケージの表側にある言葉より、裏側の3行のほうが速く決まります。
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よくある質問
- Q「食塩無添加」と書いてあるのに、食塩相当量が0グラムにならないのはなぜですか?
- A
トマトにもともとナトリウムがあるからです。カゴメの食塩無添加は200ミリリットルあたり0〜0.18グラム、デルモンテの食塩無添加は0.0〜0.19グラムでした。デルモンテの公式ページには「食塩相当量はトマト由来です」という注記が付いています。足していなくても、ゼロまでは下がりません。
- Q「トマト果汁飲料」と書かれたものは、トマトジュースとどこが違いますか?
- A
名称の欄が違うと、中身の決まりも変わります。トマト果汁飲料はトマトの搾汁が50パーセント以上あればよく、砂糖類や香辛料を足せます。名称が「トマトジュース」の商品に使えるのは、トマトと濃縮トマトと食塩の3つだけです。
- Q原材料名を読めば、ストレートか濃縮還元かは分かりますか?
- A
分かりません。食品表示基準の別表第四に「トマトの搾汁及び濃縮トマトは、『トマト』と表示することができる」とあるためです。見るのは名称の欄で、「(濃縮トマト還元)」の文字があれば濃縮還元、なければストレートになります。
- Q長野の産地ものが近くの店に置いていないときは、どうすればよいですか?
- A
ナガノトマトと長野興農は、公式サイトに通販の入口があります。ゴールドパックも公式サイトに商品ページがあり、原材料名と栄養成分を注文の前に読めます。この3商品はいずれも190グラム缶で、原材料名は「トマト(長野県)」でした。
明日の売り場で確認するのは、裏面の3行

トマトジュースは、原材料名がもともと短い商品です。名前で名乗れる範囲が法令で決まっているためです。今回の13商品でも、添加物の表示は1商品だけでした。
分かれるのは食塩です。食塩の表示がなかったのは9商品、あったのは4商品。食塩無添加でも0グラムになるとは限らず、200ミリリットルあたり0.19グラムまで幅がありました。
明日やることは1つです。名称の欄、原材料名、食塩相当量。この3行を確認してから、かごに入れてください。
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