ラベルさん離乳食やベビーフードのパッケージに「無添加」と書いた商品は、大手メーカーの公式ページには出てきません。今回18商品ぶんの原材料名を写しましたが、その3文字は1つもありませんでした。
かわりに出てきたのは、業界団体が持っている1枚のリストです。日本ベビーフード協議会の自主規格は、ベビーフードに使える食品添加物を22品目に限っています。一般の食品で使える指定添加物は476品目です。
この記事で扱うのは、表示に何が書いてあるかだけです。何か月から与えるか、量をどうするかという話は扱いません。栄養や進め方の相談先は、かかりつけの小児科や自治体の窓口です。
瓶詰・レトルト・粉末で表示がどう違うか、そしてどこで買えるかを書きます。
無添加の離乳食・ベビーフードはどこで買えるか

離乳食の売り場を回る前に、答えを書きます。添加物の表示が0品目のベビーフードは、ドラッグストアとスーパーのベビー用品の通路、そして各社の通販で買えます。専門店を探す必要はありません。
18商品のうち、原材料名にスラッシュより後ろの表示がなかったのは8商品でした。瓶詰で3つ、レトルトで4つ、粉末で1つです。
売り場はメーカー自身が公式ページに書いています。キユーピーは「お近くの専門店、ドラッグストア、スーパーまたはオンライン」と案内しています(公式商品ページ)。
形ごとに、置いてある場所の傾向は次のようになります。
- 瓶詰:ドラッグストアのベビー用品の通路。1瓶70g前後で、常温で並びます
- レトルト:同じ通路の隣。50gから100gの小さいパウチが中心です
- 粉末・フリーズドライ:同じ通路の下段や、通販のまとめ買い
- 通販:各社の公式オンラインと大手モール。まとめ買いの単位が大きくなります
大人向けの食品で0品目がどこまで広がるかは、大人の買い物で0品目がどこまで広がるかにまとめています。
ベビーフードに使える添加物は22品目に決めてある

ベビーフードには、一般の食品より厳しい決まりが先にかかっています。
日本ベビーフード協議会が1984年につくった自主規格があります。最新版は2024年9月2日発行の第Ⅵ版です(ベビーフード自主規格 第Ⅵ版)。
その第Ⅰ章7の条文は、次の1行です。
食品添加物の使用は必要不可欠な場合に限り、最小限とする。使用できる食品添加物は「ベビーフード添加物リスト」で定める。ただし加工助剤およびキャリーオーバーに該当するものはこの限りではない。
出典:日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」(2024年9月)
そのリストがベビーフード添加物リストです。A4で1枚しかありません。載っている品目を数え上げると、次のようになりました。
| 主な用途 | 載っている品目 | 品目数 |
|---|---|---|
| 乳化剤 | ショ糖脂肪酸エステル | 1 |
| 安定剤 | カロブビーンガム、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム | 4 |
| 増粘剤 | 加工デンプン4種、カードラン | 5 |
| 酸化防止剤 | L-アスコルビン酸、抽出トコフェロール | 2 |
| 調味料 | クエン酸三ナトリウム | 1 |
| 酸味料 | クエン酸 | 1 |
| 製造用剤 | 水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、トレハロース、豆腐用凝固剤5種 | 8 |
| 合計 | ― | 22品目 |
| 栄養強化(補給)剤 | カルシウム3、鉄2、ビタミンC1、ビタミンD1 | 7品目 |

比べる相手も書いておきます。一般の食品で使える指定添加物は、食品衛生法施行規則の別表第一に並びます。ここを数え上げると476品目ありました(e-Gov 食品衛生法施行規則)。
476と22。ベビーフードの原材料名が短いのは、この差があるからです。袋の表に「無添加」と書いてあるからではありません。
ナトリウムの上限も自主規格に書いてある
同じ自主規格には、摂食時のナトリウム含量の上限も入っています。原文はこうです。
摂食時におけるナトリウム含量は、別に定める試験法により試験したとき、乳児に供する食品にあっては100g当り200mg以下、幼児に供する食品にあっては100g当り300mg以下であること。ただし果実類への食塩の添加は認めない。
出典:同上、第Ⅰ章3-1
果実類への食塩添加を認めない、という一文まで入っています。
リストは3つに分かれている
ここは間違えやすいところです。協議会のリストは1つではありません。ベビーフード・ベビーおやつ・ベビー飲料で別々に定めてあります。
たとえばペクチンは、ベビーフードのリストにはありませんが、ベビーおやつ添加物リストにはゲル化剤として載っています。β-カロテンも、おやつのリストにだけ入っています。
また、自主規格が対象にするのは「ベビーフード」と表示して売る食品です。会員企業は6社です(アサヒグループ食品、江崎グリコ、キユーピー、ピジョン、森永乳業、雪印ビーンスターク)。名簿は協議会の公式ページにあります。
瓶詰・レトルト・粉末、18商品の原材料名はこうなっていた

メーカー公式の商品ページから、原材料名と食塩相当量をそのまま写しました。スラッシュより後ろが添加物の欄です。
| 形 | 商品と内容量 | 原材料名(要約) | スラッシュより後ろ | 品目数 | 食塩相当量 | 出どころ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 瓶詰 | キユーピー こだわりのひとさじ 国産りんご 70g | りんご(国産)、濃縮りんご果汁、コーンスターチ、寒天 | 酸化防止剤(ビタミンC) | 1品目 | 0.009g | 公式商品ページ |
| 瓶詰 | キユーピー こだわりのひとさじ 野菜たっぷり鶏ささみとトマトのソース 70g | 野菜、鶏肉加工品、トマトピューレー、コーンスターチほか | 表示なし | 0品目 | 0.2g | 公式商品ページ |
| 瓶詰 | キユーピー こだわりのひとさじ 野菜たっぷり鮭の豆乳ホワイトソース風 70g | 野菜、豆乳、鮭そぼろ、コーンスターチほか | 表示なし | 0品目 | 0.1g | 公式商品ページ |
| 瓶詰 | キユーピー こだわりのひとさじ 鶏レバーと緑黄色野菜 70g | 野菜、コーンスターチ、鶏レバーそぼろほか | ピロリン酸鉄 | 1品目 | 0.06g | 公式商品ページ |
| 瓶詰 | キユーピー にこにこボックス おさかなセット 120g | 野菜、コーンスターチ、かれい、しょうゆ、寒天ほか | 表示なし | 0品目 | 0.07g | 公式商品ページ |
| レトルト | 和光堂 1食分の野菜が摂れるグーグーキッチン ラタトゥイユ 100g | 野菜、じゃがいも、トマトケチャップほか | 表示なし | 0品目 | 0.34g | 公式商品ページ |
| レトルト | 和光堂 1食分の野菜が摂れるグーグーキッチン 八宝菜 100g | 野菜、じゃがいも、鶏ほぐし身ほか | 増粘剤(加工でん粉) | 1品目 | 0.34g | 公式商品ページ |
| レトルト | 和光堂 素材を楽しむ離乳食 ブロッコリー 50g | ブロッコリー(国産)、でん粉 | 表示なし | 0品目 | 0.0048g | 公式商品ページ |
| レトルト | 和光堂 1食分の野菜入り そのまま素材 定番野菜 80g | にんじん(国産)、たまねぎ、じゃがいも、だし、でん粉 | 表示なし | 0品目 | 0.029g | 公式商品ページ |
| レトルト | ピジョン うらごしシリーズ かぼちゃとにんじん 50g | かぼちゃペースト、うらごし人参、でん粉、砂糖 | 表示なし | 0品目 | ― | 公式商品ページ |
| レトルト | ピジョン うらごしシリーズ 北海道産コーン 50g | コーンペースト(北海道)、でん粉、砂糖 | 酸化防止剤(ビタミンC) | 1品目 | ― | 公式商品ページ |
| レトルト | ピジョン 管理栄養士のこだわりレシピ 牛肉と豆腐のすき焼き 80g | 野菜、豆腐、牛肉、こんにゃく、しょうゆほか | 増粘剤(加工でん粉)、豆腐用凝固剤、水酸化カルシウム | 3品目 | ― | 公式商品ページ |
| レトルト | 森永乳業 はじめてのベビーフード 緑黄色野菜とさつまいも 70g | 野菜4種、でんぷん、寒天 | ゲル化剤(増粘多糖類)、クエン酸 | 2品目 | 0.017〜0.170g | 公式商品ページ |
| 粉末 | 和光堂 手作り応援 ほうれん草と小松菜 2.0g | 野菜、じゃがいも、小麦粉、デキストリン、食用油脂 | 酸化防止剤(ビタミンE) | 1品目 | 0.00041g | 公式商品ページ |
| 粉末 | 和光堂 手作り応援 とろみのもと 2.8g | デキストリン(国内製造)、でん粉 | 増粘剤(加工でん粉) | 1品目 | 0.00049g | 公式商品ページ |
| 粉末 | 和光堂 はじめてのシリアル 8種の緑黄色野菜 8g | 米粉・オーツ麦粉のパフ、野菜粉末ほか | 表示なし | 0品目 | 0〜0.007g | 公式商品ページ |
| 粉末 | 和光堂 はじめてのシリアル 玄米×オーツ麦 緑黄色野菜 5g | 玄米粉、オーツ麦粉、麦芽糖、砂糖、野菜粉末 | 炭酸カルシウム、ピロリン酸鉄、酸化防止剤(ビタミンE) | 3品目 | 0〜0.004g | 公式商品ページ |
| 粉末 | ピジョン かんたん粉末+鉄 和風だし 50g | デキストリン、乳糖、かつお節エキスパウダーほか | クエン酸第一鉄ナトリウム | 1品目 | ― | 公式商品ページ |
※各社の公式商品ページの表示によります。取得日は2026年8月30日。原材料は変更されることがあるため、購入時は手元の商品の表示をご確認ください。
形ごとの傾向
3つの形で、出てくるものが違いました。
- 瓶詰:果物の瓶に酸化防止剤(ビタミンC)が付きます。野菜と肉の瓶では、スラッシュ自体がありませんでした
- レトルト:うらごしタイプは原材料が2つから4つ。ごはんやおかずになると増粘剤(加工でん粉)が入ります
- 粉末:フレーク状のものに酸化防止剤(ビタミンE)。栄養強化のカルシウムや鉄が付く商品もあります
そして、大事なことがひとつあります。18商品に出てきた添加物は、すべて協議会のリストに載っている品目でした。
ビタミンCはL-アスコルビン酸、ビタミンEは抽出トコフェロールです。ピロリン酸鉄と炭酸カルシウムは栄養強化の欄に、豆腐用凝固剤と水酸化カルシウムは製造用剤の欄にあります。
加工でん粉には上限もあります。製品中に残る量は5%を超えてはならない、と注記されています。
食塩相当量の幅も書いておきます。もっとも少ないのは和光堂 手作り応援 とろみのもとの0.00049g。もっとも多いのはキユーピー こだわりのひとさじ 野菜たっぷり鶏ささみとトマトのソースの0.2gでした。粉末は1袋が2g前後なので、そのまま比べることはできません。
「乳児用規格適用食品」は放射性物質の話だった

パッケージで見かける「乳児用規格適用食品」という表記があります。この言葉の中身は法令に書いてあります。
根拠は平成27年内閣府令第10号、いわゆる食品表示基準です。その別表に、こうあります。
「乳児用規格適用食品」の文字又はその旨を的確に示す文言を表示する。ただし、乳児用規格適用食品であることが容易に判別できるものにあっては、乳児用規格適用食品である旨の表示を省略することができる。
出典:e-Gov 食品表示基準
定義の本体は、放射性物質の規格を指しています。原文には「内閣総理大臣が定める放射性物質(平成24年厚生労働省告示第129号)」の規格が適用される食品、とあります。
その基準値は食品の区分ごとに決まっています。
| 食品区分 | 放射性セシウムの基準値 |
|---|---|
| 飲料水 | 10 Bq/kg |
| 乳児用食品 | 50 Bq/kg |
| 牛乳 | 50 Bq/kg |
| 一般食品 | 100 Bq/kg |
出典:東京都保健医療局「食品中の放射性物質の規格基準の設定について」(2012年4月施行)
協議会の自主規格も、製品中の放射性セシウムを50Bq/kg以下としています。
この6文字が何を指しているかを、はっきりさせておきます。「乳児用規格適用食品」は放射性物質の区分を示す言葉で、味や硬さの適否を示すものではありません。
そして、ベビーフードにはこの表示が出てこないことがあります。自主規格の表示基準に「『ベビーフード』にあっては表示を省略できる」と書いてあるためです。書いていないことは、適用外という意味ではありません。
メーカーは「無添加」とは書いていない

18商品の公式ページに、「無添加」の3文字はありませんでした。
かわりに書いてあったのは、対象をはっきりさせた不使用表示でした。
- キユーピー:商品ページの注意書きに「着色料・香料不使用」(今回の6商品すべて)
- 和光堂 素材を楽しむ離乳食:「味付けはせず、シンプルな原材料で」
- ピジョン うらごしシリーズ:原材料が3つから4つで、説明に不使用の語なし
この書き分けには理由があります。2022年3月30日、消費者庁から不使用表示のガイドラインが出ています。
ガイドラインは、注意が必要な不使用表示を10の類型に整理しました。類型1は、何が無添加なのかを書いていない表示です。
対象を明示せず単に無添加と表示をすると、何を添加していないのかが不明確である(中略)内容物を誤認させるおそれがある。
出典:消費者庁のガイドライン 類型1
もうひとつ、この記事に関係してくるのが類型6です。健康や安全と関連付けた不使用表示を挙げています。
食品添加物は、安全性について評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って国において使用を認めていることから、事業者が独自に健康及び安全について科学的な検証を行い、それらの用語と関連付けることは困難であり、実際のものより優良又は有利であると誤認させるおそれがある。
出典:同ガイドライン 類型6
つまり「無添加だから安心」という書き方は、メーカー側も使えません。この記事も同じようにします。この記事は、表示に何が書いてあるかだけを扱います。
ガイドラインは期限も示しました。「2年程度(令和6年3月末)の間に、適宜、表示の見直しを行うことが求められる」という一文です。2024年3月末を境に、包装から3文字が消えました。
協議会の自主規格も、2024年の第Ⅵ版でこのガイドラインを取り込みました。
この3文字がどんな扱いになっているかは、2024年3月末に何が変わったのかの整理にまとめています。
表示で分からないことは、かかりつけの小児科や自治体の窓口へ

ここまでの内容は、すべて表示の話です。
原材料名が示すのは、何が入っているかだけです。その子に合うかどうか、どのくらいの量にするか、どう進めるかは、表示には書いてありません。
相談先は3つあります。
- かかりつけの小児科:アレルギーや体調にかかわることは、まずここへ
- お住まいの自治体の窓口:乳幼児健診や保健センターの栄養相談
- メーカーのお客様相談室:商品についての質問。自主規格で連絡先の明記が求められています
3つめは、あまり知られていないかもしれません。協議会の表示基準には「消費者の質問に対応する機関を社内に設け、その連絡先を明記する」とあります。
原材料名は変わることがあります。手元の商品の表示が、いつでもいちばん新しい情報になります。
まとめ
この記事で写した内容を5行にします。

- 18商品の公式ページに「無添加」の3文字はなかった。かわりに「着色料・香料不使用」のような対象つきの表示が並ぶ
- 日本ベビーフード協議会の自主規格は、ベビーフードに使える添加物を22品目に限っている。栄養強化剤は別に7品目
- 一般の食品で使える指定添加物は476品目。使ってよい範囲がそもそも違う
- 18商品のうち8商品は、原材料名にスラッシュより後ろの表示がなかった
- 「乳児用規格適用食品」は放射性物質の区分を示す言葉。乳児用食品の基準値は50Bq/kg
売り場での手順は1つに絞れます。原材料名のスラッシュより後ろに、何が並んでいるか。それだけです。袋の表の言葉ではなく、裏の1行に答えが書いてあります。
離乳の進め方や量については、この記事では扱いません。気になることがあれば、かかりつけの小児科や自治体の相談窓口へお尋ねください。
大人の食事のほうで手を抜きたいときは、原材料名を先に公開している宅配を使う手もあります。
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