ラベルさん先に結論です。原材料名の「セルロース」は簡略名で、消費者庁の一覧表で簡略名が「セルロース」になっている品目は8つありました。木材パルプから作るものもあれば、海藻やサツマイモ、ナタデココから作るものもあります。どれが使われたのかは、袋の表示からは分かりません。
市販14商品の原材料名をメーカー公式ページから写したところ、セルロースが書かれていたのは11商品でした。この記事では、書かれていた11商品と書かれていなかった3商品を並べ、なぜ用途を書かずに4文字で済むのかを制度の原文から確かめます。数字はすべて2026年9月5日に各社公式サイトで確認しました。
「セルロースは木のパルプ」と言われる出どころ

この言葉を最初に見るのは、たいてい細切りチーズの袋です。原材料名が「ナチュラルチーズ」だけで終わる商品と、そのあとにスラッシュを挟んで「セルロース」と続く商品があります。名前だけでは何のことか分からないので、検索する人が多くなります。
メーカーは目的を書いています。六甲バターは公式サイトのよくある質問で「シュレッドチーズの原材料名にあるセルロースとは何ですか?」に答えていて、「『食物繊維』と呼ばれるもので、天然の植物を原料として作られます。主に、シュレッドしたチーズ同士がくっつかないようにする目的で使用しています」と書いています。味を変えるためでも、日もちさせるためでもありません。
「木のパルプ」という話が広まったのも理由があります。厚生労働省の既存添加物名簿には「粉末セルロース」があり、その中身が「パルプを分解して得られた、セルロースを主成分とするものをいう」と書かれています。「微小繊維状セルロース」も「パルプ又は綿を微小繊維状にして得られた」となっています。原文にパルプと書いてあるので、パルプの話として伝わっていきます。
ただし、これは8つのうちの2つです。同じ名簿と一覧表をたどると、パルプとも綿とも関係のない品目が同じ4文字になっていました。
もう一点、探しにくくしている事情があります。「セルロース」という名前の添加物は、名簿のどこにもありません。名簿に載っているのは微結晶セルロースや粉末セルロースといった長い名前で、袋に出る4文字はそれを短くした呼び名です。名簿を名前で引いても当たらないので、検索した人が知恵袋や個人の解説にたどり着きます。ここから先は、短くしてよい名前を決めている一覧表を開く必要があります。
消費者庁の一覧表で「セルロース」と書ける品目は8つあった

添加物には、正式な名前である物質名と、短く書いてよい名前があります。消費者庁は食品表示基準の通知に別添 添加物1-1「簡略名又は類別名一覧表」を付けていて、どの物質をどう短くしてよいかを品目ごとに決めています。この一覧表で、簡略名または類別名の欄が「セルロース」になっている品目を拾うと8つでした。
| 品名 | どの名簿に載っているか | 一覧表の用途欄 |
|---|---|---|
| 微結晶セルロース(別名 結晶セルロース) | 既存添加物 | 製造用剤 |
| 微小繊維状セルロース | 既存添加物 | 増粘安定剤/製造用剤 |
| 粉末セルロース | 既存添加物 | 製造用剤 |
| リンターセルロース | 既存添加物 | 製造用剤 |
| 海藻セルロース | 一般飲食物添加物 | 増粘安定剤 |
| サツマイモセルロース | 一般飲食物添加物 | 製造用剤/増粘安定剤 |
| トウモロコシセルロース(別名 コーンセルロース) | 一般飲食物添加物 | 製造用剤 |
| ナタデココ(別名 醸造セルロース・発酵セルロース) | 一般飲食物添加物 | 増粘安定剤/製造用剤 |
上の4つは既存添加物名簿に載っています。これは平成8年4月16日の厚生省告示第120号で、令和7年8月25日の改正後は327品目です。名簿の説明を読むと、リンターセルロースは「ワタの単毛から得られた」もので、綿が原料です。木でも綿でも、袋には同じ「セルロース」と書かれます。
下の4つは、もともと食べ物として使われてきたものを添加物として使う場合の扱いです。海藻を乾かして砕いたもの、サツマイモの塊根から得たもの、トウモロコシの種皮から得たものが並びます。いちばん意外だったのはナタデココでした。一覧表では別名が「醸造セルロース」「発酵セルロース」で、簡略名は「セルロース」です。デザートで食べているものと、原材料名の4文字が同じ言葉でつながります。
既存添加物と一般飲食物添加物は、名簿の入口が違う
この8つは、2つの名簿に分かれて載っています。既存添加物は、法律で指定する仕組みができる前から日本で使われていた品目を、告示でまとめて認めたものです。数は327品目で、新しく増えることはありません。一般飲食物添加物は、ふだん食べ物として売られているものを、添加物として使う場合の呼び名です。ナタデココや海藻がここに入るのは、そのまま食べる商品が先にあるからです。
入口は違いますが、袋の上での扱いは同じです。どちらの名簿から来ても、簡略名の欄が「セルロース」なら、そう書けます。読み手は、その4文字を見て名簿の名前まで戻ることはできません。
どれが使われたかは、公式ページにも書かれていなかった
今回当たった商品の中で、8つのうちどれを使ったかを書いている公式ページは1つもありませんでした。用途を説明しているメーカーはあっても、原料が木か綿か海藻かまでは公開されていません。ここは確かめられませんでした。読み手にできるのは「セルロースと書いてある」までで、その先は表示から追えません。
市販14商品の原材料名を公式ページから写した

集めたのは、スーパーで手に入りやすいチーズと、同じ売り場の代替品、それに錠剤の栄養補助食品です。原材料名はすべてメーカー公式サイトの商品ページから写しました。
並べ方の決まりは2つだけです。味と値段は入れていません。
- セルロースの4文字が原材料名にあるかどうかで先に分ける(添加物を別の欄に分けている商品は、その欄を見る)
- あった商品は、チーズ、チーズ以外の細切り商品、錠剤の栄養補助食品の順に置く
公式ページに原材料名が出ていない商品は外しました。冷凍ピザや惣菜も当たりましたが、公式ページに原材料名が載っておらず、ここは確かめられませんでした。そのため今回は、表示が公開されている商品だけで組んでいます。
| 商品 | セルロースの表示 | 原材料名(公式ページのまま) |
|---|---|---|
| 雪印メグミルク とろけるナチュラルチーズ | あり | ナチュラルチーズ(オーストラリア製造)/セルロース |
| 雪印メグミルク とろけるナチュラルチーズ ピザ用 | あり | ナチュラルチーズ(オーストラリア製造)/セルロース |
| 明治北海道十勝熟成3種の細切りチーズ 120g | あり | ナチュラルチーズ(国内製造)/セルロース |
| 明治北海道十勝熟成3種のチーズ 120g | あり | ナチュラルチーズ(国内製造)/セルロース |
| 明治北海道十勝パルメザンチーズ 80g | あり | ナチュラルチーズ(国内製造)/セルロース |
| セブンプレミアム とろけるミックスチーズ 60g | あり | ナチュラルチーズ(ニュージーランド製造)/セルロース |
| トップバリュ かける細切りチーズ | あり | ナチュラルチーズ(乳成分を含む)(ニュージーランド製造、アメリカ製造)/添加物の欄はセルロース、カロテノイド色素 |
| トップバリュ ラヴィセーヌ コレステロール98%カットシュレッド | あり | 食用植物油脂(国内製造)、乳たん白、でん粉、食塩、チーズフード(乳成分を含む)、乳たん白質分解物/添加物の欄は加工でん粉、pH調整剤、セルロース、調味料(アミノ酸等)、リン酸Na、増粘多糖類、香料(乳由来)、着色料(カロテン) |
| ネイチャーメイド マルチビタミン | あり | 乳糖、寒天、セルロース、V.C、アカシアガム、V.E、グリセリン脂肪酸エステル、微粒酸化ケイ素、ナイアシンアミド、パントテン酸Ca、V.B6、V.B2、V.B1、V.A、葉酸、ビオチン、V.D、V.B12 |
| ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル | あり | セレン酵母、クロム酵母、セルロース、サンゴカルシウム、酸化Mg、V.C、グルコン酸亜鉛、酢酸V.E、ショ糖脂肪酸エステル、ナイアシンアミド、硫酸鉄、HPMC、パントテン酸Ca、グルコン酸銅、V.B6、V.B1、V.B2、β-カロテン(ゼラチンを含む)、V.A、葉酸、ビオチン、V.D、V.B12 |
| ネイチャーメイド ビタミンC | あり | 乳糖(ニュージーランド製造)、ローズヒップ、V.C、セルロース、HPMC、ショ糖脂肪酸エステル、微粒酸化ケイ素 |
| 森永乳業 クラフト 100%パルメザンチーズ80g | なし | 生乳、食塩 |
| よつ葉乳業 北海道十勝 3種のチーズ《贅沢モッツァレラブレンド》 | なし | ナチュラルチーズ(北海道製造) |
| 六甲バター Q・B・B Pシュレッド チェダー風味150g | なし | 植物油脂(国内製造)、アーモンドペースト、食塩、発酵調味料/安定剤(加工デンプン)、乳化剤、pH調整剤、香料、カロテン色素 |
14商品のうち11商品にセルロースが書かれていました。書かれていない3商品のうち、よつ葉乳業は商品ページでセルロースを使っていないと明記しています。森永乳業のパルメザンチーズは原材料名が生乳と食塩の2つで終わります。
六甲バターのPシュレッドは、名称の欄が「油脂加工食品」でチーズではありません。セルロースの代わりに安定剤(加工デンプン)が入っていました。1つ抜けば、そこに何も入らないとは限りません。
原材料名が2つで終わる商品と、8つ並ぶ商品があった
表を上から下まで見ると、幅が大きいことが分かります。雪印メグミルクと明治とセブンプレミアムの6商品は、原材料名が「ナチュラルチーズ」と「セルロース」の2つで終わります。乳から作ったものに、くっつき防止の1品目を足しただけです。
いちばん長かったのは、トップバリュのラヴィセーヌ コレステロール98%カットシュレッドでした。名称が「乳等を主要原料とする食品」で、原材料名に6つ、添加物の欄に8つ並びます。チーズの形に近づけるために、油脂やでん粉やたん白を組み合わせているからです。同じ売り場に並ぶ細切りの袋でも、表示の長さは中身の作り方で決まります。
11商品に共通していたのは、セルロースに用途名が付いていないこと

11商品を見ると、書き方がそろっています。どれも「セルロース」だけで、前にも後ろにも用途の言葉が付いていません。理由は制度にあります。
消費者庁の通知にある別添 添加物1-3は、用途名を併記する対象を8つに区切っています。甘味料、着色料、保存料、増粘剤・安定剤・ゲル化剤または糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤または防ばい剤の8つです。ここに当たる使い方をしたときだけ「保存料(ソルビン酸K)」のように用途と名前を並べます。
さきほどの8品目の用途欄は、製造用剤と増粘安定剤でした。製造用剤は、用途名を併記する8つに入っていません。くっつくのを防ぐために使ったセルロースには用途名が要らないので、物質名だけが残ります。逆に、とろみを付けるために使えば増粘剤に当たるので、書き方が変わります。
製造用剤という言葉は、袋には出てきません。一覧表の用途欄で使われている整理の言葉で、作るときの都合で使うものがここに入ります。用途名を併記する8つは、食べる人が選ぶときに関わる働きばかりです。甘いのか、色を付けたのか、日もちさせたのか、とろみを付けたのか。くっつくのを防ぐ働きは、その8つのどれにも当たりません。だから名前だけが残ります。
同じ袋の中に「増粘多糖類」と「セルロース」が別々に並んでいた
それがそのまま出ていたのが、トップバリュのラヴィセーヌ コレステロール98%カットシュレッドです。添加物の欄には増粘多糖類とセルロースが別々に書かれていました。とろみを付けるために使ったものには用途の言葉が付き、そうでないセルロースには付いていません。同じ商品の中で、書き分けが起きています。
「CMC」「HPMC」も名前にセルロースが入っている
ネイチャーメイドのビタミンCは、原材料名にセルロースとHPMCが並んでいました。HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースの簡略名です。マルチビタミン&ミネラルにも同じHPMCがありました。
この2つは名簿が違います。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは指定添加物で、簡略名の一覧表で決められている短い名前がHPMCです。同じ一覧表で、カルボキシメチルセルロースナトリウムはCMC-Na、繊維素グリコール酸Na、CMCと書いてよいことになっています。カルボキシメチルセルロースカルシウムはCMC-Ca、繊維素グリコール酸Caです。どれも名前にセルロースが入っているのに、「セルロース」とは書けません。
この書き分けは、一括名で決まる調味料(アミノ酸等)の書き方と同じ仕組みです。何のために使ったかで名前が変わる例は調味料(アミノ酸等)が別表第七で8通りになる話にまとめました。
「入っている=悪い」ではないので、ここから先は書けない

この記事で並べたのは表示だけです。品目の多い少ないで良し悪しは決められないので、順位も付けていません。
セルロースが書かれていた11商品と、書かれていなかった3商品を比べても、どちらが良いという結論にはなりません。表示から分かるのは「何が使われたと書いてあるか」までです。書かれていない商品にも、油脂や加工デンプンで形を保っているものがあります。
もうひとつ、断っておくことがあります。森永乳業のパルメザンチーズのように原材料名が生乳と食塩で終わる商品は、スラッシュの後ろに何も書かれていないという意味です。加工助剤とキャリーオーバーは表示が免除されるので、工程で何にも触れていないという証明にはなりません。免除の決まりは加工助剤とキャリーオーバーで表示が消える条件で条文から確かめています。
チーズを主役にして見た話もあります。溶かして固め直すプロセスチーズに乳化剤が要る理由はスライスチーズと6Pチーズ6商品の表示に、0品目のチーズがどの種類別に集まるかはチーズ20商品を種類別で仕分けた記事に書きました。
売り場では、袋の2か所を見れば足ります

見るのは2か所だけです。
- 名称または種類別の欄を見る。ナチュラルチーズなのか、油脂加工食品や乳等を主要原料とする食品なのかで、並ぶ添加物が変わります
- スラッシュの後ろ、または添加物の欄を見る。セルロースはここに出ます。トップバリュのように添加物を別の欄に分けている商品もあります
今回の14商品では、セルロースが出たのは細切りや粉末にしたチーズ、その代替品、錠剤の栄養補助食品でした。どれも小さく分けた形の商品です。ひとかたまりのままなら、くっつかないようにする必要がありません。
同じメーカーでも商品によって変わります。明治は細切りとパルメザンの3商品にセルロースがありましたが、よつ葉乳業は細切りの商品で使っていないと書いています。メーカーで決め打ちせず、その袋を見るほうが早いです。値段の高い安いとも関係がありませんでした。
売り場で裏返す手間を減らしたいなら、原材料名を先に公開している売り方を選ぶ手もあります。同じ売り場で無添加と呼べる商品がどこまで見つかるかはスーパーで無添加を探した記事、宅配5社が原材料名をどこまで公開しているかはおかず宅配5社を当たった記事にあります。
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よくある質問
- Qセルロースは何のために入っているのですか?
- A
細切りチーズでは、チーズ同士がくっつかないようにするためです。六甲バターが公式サイトのよくある質問でそう説明しています。錠剤の栄養補助食品での目的は、今回当たった公式ページには書かれていませんでした。
- Q「セルロース」と書いてあれば、どの物質か分かりますか?
- A
分かりません。消費者庁の簡略名又は類別名一覧表で、簡略名が「セルロース」になる品目は8つあります。パルプから作る微結晶セルロースや粉末セルロースのほか、海藻セルロース、サツマイモセルロース、トウモロコシセルロース、ナタデココも同じ4文字で表示できます。
- Qセルロースが入っていない商品はありますか?
- A
今回の14商品では3商品です。よつ葉乳業の北海道十勝 3種のチーズ《贅沢モッツァレラブレンド》は、商品ページで使っていないと明記しています。ただし六甲バターのPシュレッドのように、セルロースはなくても安定剤(加工デンプン)が入っている商品もあります。
- QCMCやHPMCもセルロースですか?
- A
名前にはセルロースが入っていますが、表示では別の言葉になります。HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロース、CMCはカルボキシメチルセルロースナトリウムの簡略名です。どちらも指定添加物で、簡略名又は類別名一覧表では「セルロース」と書くことは認められていません。
まとめ:「セルロース」の4文字は、8つの品目の共通の呼び名だった

制度と表示を突き合わせて出た答えは1つです。原材料名の「セルロース」は8つの品目に共通する簡略名で、どれが使われたかは表示からは追えません。木のパルプも綿も海藻もナタデココも、袋の上では同じ4文字になります。
14商品のうち11商品にその4文字がありました。用途の言葉が付いていないのは、くっつくのを防ぐ使い方が、用途名を併記する8つの用途に当たらないからです。とろみを付けるために使えば増粘剤として書かれ、名前の似たHPMCやCMCは最初から別の呼び名になります。
明日やることは1つ。細切りチーズの袋を裏返して、種類別の欄とスラッシュの後ろを見る。それだけで、同じ売り場の商品の違いが分かります。
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