結論から書きます。「オーガニック」は法律で中身が決められた言葉で、「無添加」は決められていない言葉です。同じ売り場に並んでいても、後ろ盾がまったく違います。
オーガニックには国の規格と認証機関があり、認証なしで名乗ると命令や罰則の対象になります。無添加にあるのは、事業者が自分で点検するための目安だけです。
そしてもう一つ。有機加工食品には、使ってよい添加物が61品目あります。有機JASマークは、添加物ゼロの印ではありません。この記事では、規格の原文と市販14商品の原材料名から、どこまで認められているのかを整理します。
オーガニックには法律の定義があり、無添加にはない

2つの言葉の違いは、次の5つです。
| 項目 | オーガニック(有機) | 無添加 |
|---|---|---|
| 根拠 | 日本農林規格等に関する法律 | 法律の定義はない |
| 認証 | 登録認証機関の認証が必要 | 認証する仕組みがない |
| マーク | 有機JASマーク | マークはない |
| 守らせ方 | 除去命令と罰則 | 事業者の自己点検 |
| 添加物 | 61品目まで使える | 何を抜くかは商品ごと |
この表の中身と本文で引く法令・規格の原文、市販14商品のうち10商品の原材料名は、2026年9月11日に国と各社の公式サイトで確認しました。
この5つのうち、無添加の欄に何か書けるのは添加物の1行だけです。オーガニックは作り方の証明で、無添加は中身の宣言。役割が違います。
だから、どちらが上かを比べても意味がありません。有機JASマークがあっても添加物が入る商品はありますし、添加物0品目でも有機とは限りません。ここから順に、根拠を出していきます。
「有機」と書くには認証がいる

「有機」「オーガニック」は、誰でも書ける言葉ではありません。飲食料品では、認証を受けていないと表示すること自体が禁じられています。
根拠は日本農林規格等に関する法律の第63条第1項です。指定農林物資に格付の表示が付いていない場合、その名称の表示を付してはならない、と定めています。これと紛らわしい表示も同じ扱いです。
指定農林物資が何かは、同法の施行令第18条にあります。有機の農産物、畜産物、そしてそれらを原料とする飲食料品です。つまり有機加工食品も、この禁止の対象に入ります。
決まりがあるのは、マークも同じです。第37条は、認証を受けた事業者などが付ける場合を除き、農林物資やその包装に格付の表示を付してはならないと定めます。第4項では、紛らわしい表示も禁止です。
罰則もあります。第37条に違反すると、第78条第5号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。法人の業務としての違反なら、第83条第1号で1億円以下の罰金が科されます。
第63条に違反した場合は、第64条で主務大臣が表示の除去や抹消、販売の禁止を命じることができます。その処分に従わないと、第78条第14号で同じ罰則です。
農林水産省の有機食品の検査認証制度のページにも、同じことが書かれています。有機JASマークがない農産物、畜産物、加工食品に「有機」「オーガニック」などと書くことは、法律で禁止されている。そう書かれています。
検査するのは国ではなく、農林水産省の登録を受けた認証機関です。第三者が工程を検査し、通った事業者だけがマークを付けられる。これが有機の仕組みです。
有機加工食品に使える添加物は61品目

ここは読み違えやすいところです。有機加工食品は、添加物ゼロを条件にしていません。使ってよい添加物が、規格の中に名指しで載っています。
その規格が有機加工食品の日本農林規格(JAS 1606:2024)です。附属書Aの表A.1が、有機酒類以外の有機加工食品で使える添加物のリストにあたります。
表A.1に載っている添加物は61品目でした。有機酒類は別で、表B.1に39品目です。害虫の防除などに使う薬剤は、表C.1に12品目あります。
61品目には、たとえばこんなものが入っています。
- クエン酸。pH調整剤として使うか、野菜や果実の加工品に使う場合に限られます
- ペクチン。ジャムのとろみに使われる、おなじみの成分です
- 塩化マグネシウム。豆腐の凝固剤、いわゆるにがりです
- 炭酸水素ナトリウム。菓子類や麺・パン類などに使えます
- 香料。化学的に合成されたものでないこと、という条件が付きます
ほとんどの品目に、こうした使い方の条件が付いています。「使ってよい」ではなく「この用途でだけ使ってよい」という書き方です。
量にも上限があります。規格の5.2では、原材料と添加物の重量に占める有機以外のものの割合を、5%以下と決めています。食塩と水はこの計算の外です。
規格の冒頭には、生産の原則も書かれています。物理的または生物の機能を利用した加工方法を用いること。そして、化学的に合成された添加物及び薬剤の使用を避けることを基本とする、という内容です。
避けることが基本、そのうえで61品目までは認める。有機加工食品の添加物は、この二段構えになっています。
有機JASの14商品、5つに添加物があった

規格の話だけでは、実際の売り場は分かりません。そこで、有機JASの加工食品14商品について、メーカーが公表している原材料名を1品ずつ写しました。
結果は、14商品のうち5つに添加物の表示があり、9つは0品目でした。
| 商品名(内容量) | 添加物 | スラッシュの後ろ |
|---|---|---|
| アサヒコ 有機豆腐 濃い絹(350g) | 1品目 | 凝固剤(塩化マグネシウム含有物(にがり)) |
| アサヒコ 有機豆腐 濃い木綿(350g) | 1品目 | 凝固剤(塩化マグネシウム含有物(にがり)) |
| ソントン 有機ブルーベリージャム(145g) | 2品目 | ゲル化剤(ペクチン)、酸味料 |
| ソントン 有機いちごジャム(145g) | 2品目 | ゲル化剤(ペクチン)、酸味料 |
| ノルマンディ オーガニックビスケット オーツ麦(5枚×3袋) | 2品目 | 膨張剤、バニラ香料 |
| デルモンテ 有機トマトケチャップ(285g) | 0品目 | 表示なし |
| ハグルマ 有機JASトマトケチャップ(300g) | 0品目 | 表示なし |
| パパヤソース 有機トマトケチャップ(300g) | 0品目 | 表示なし |
| アルチェネロ 有機パスタソース トマト&香味野菜(350g) | 0品目 | 表示なし |
| マルサンアイ 有機豆乳無調整(200ml×3P) | 0品目 | 表示なし |
| キッコーマン 特選有機しょうゆ(500ml) | 0品目 | 表示なし |
| 日食 オーガニックコーンフレーク プレーン(180g) | 0品目 | 表示なし |
| 日食 オーガニックピュアオートミール(330g) | 0品目 | 表示なし |
| あづま食品 有機そだち 小粒納豆カップ2(30g×2) | 0品目 | 表示なし(たれ・からしにも表示なし) |
数字は各社の商品ページの表示によります(2026年8月時点)。アサヒコ、ソントン食品、キッコーマン、日本食品製造、あづま食品の各ページです。
添加物が出てきたのは、豆腐とジャムとビスケットでした。どれも、その食品を作るのに必要なものです。
豆腐は凝固剤がないと固まりません。ジャムはペクチンでとろみを作り、ビスケットは膨張剤で生地をふくらませます。有機かどうかとは関係なく、作るために入っています。
そして、この5商品に出てきた凝固剤、ペクチン、酸味料、膨張剤、香料は、いずれも表A.1に載っているものです。規格どおりに作った結果、添加物の表示が出ているということです。
逆に0品目だった9商品も、無添加をうたっているわけではありません。しょうゆは有機大豆と有機小麦と食塩、オートミールは有機オーツ麦だけ。もともと添加物のいらない作り方だった、というだけのことです。
品目数の話に、1つ断りを入れます。加工助剤とキャリーオーバーは、原材料名に書かなくてよいことになっています。ここで0品目と書いたのは、表示に出ている数が0という意味です。作るときに何も使っていないという意味ではありません。
無添加を支えているのは自己点検の目安だけ

では、無添加には何があるのか。あるのは消費者庁のガイドライン1本だけで、認証機関もマークもありません。
そのガイドラインは消費者庁が令和4年3月30日に公表したものです。何をするための文書なのかが、背景の項に明記されています。
食品関連事業者等が自己点検を行う際に用いることができるもの、と書かれています。何の点検かというと、食品表示基準第9条の表示禁止事項に当たるかどうかです。審査でも許可でもなく、会社が自分で確かめるための資料だと書いてあります。
ここが有機JASとの決定的な差です。有機は第三者が検査し、無添加は事業者が自分で点検する。同じ「国のルール」でも、中身がまるで違います。
適用の範囲も限られています。対象になるのは、容器包装に入った一般用の加工食品だけです。量り売りの惣菜や外食の表示は、この枠の外に置かれています。
つまり無添加には、名乗るための審査がありません。だから商品ごとに中身が変わり、買う側が原材料名で確かめるしかありません。この言葉の成り立ちは消費者庁のガイドラインをもとに整理した記事にまとめました。
どちらを見て選ぶか

売り場での結論はこうです。作り方が気になるなら有機JASマーク、添加物が気になるなら原材料名のスラッシュより後ろ。この2つは別々の場所にあります。
手順にすると3つです。
- 気にしているものを1つ決める。農薬や化学肥料なのか、添加物なのか。ここが決まらないと表示は選べません
- 農薬や化学肥料が気になるなら、表の有機JASマークを探す。マークがあれば、第三者の検査を通った商品です
- 添加物が気になるなら、裏のスラッシュより後ろを確認する。マークの有無とは関係なく、そこに書いてあるものが答えです
もう1つ、まぎらわしい表示があります。「有機○○使用」は、製品全体が有機という意味ではありません。
たとえばカゴメ有機トマト使用トマトケチャップ(300g)の原材料名は6つです。
- 有機トマト
- 砂糖
- 醸造酢
- 食塩
- 有機たまねぎ
- 香辛料
有機の文字が付くのは、トマトとたまねぎだけです。砂糖と醸造酢には付いていません。原材料の一部が有機である、という意味の表示になります。
一方、有機加工食品として認証された商品は、商品名が「有機○○」または「オーガニック○○」になります。規格の6.1.1が、その書き方を決めているからです。商品名の頭に「有機」が付いているかどうかが、見分け方です。
輸入品にも決まりがあります。日本が有機の同等性を結んでいるのは、米国、カナダ、EU加盟国、スイス、英国、台湾などです。その仕組みで入ってきた商品にも、有機JASマークが付きます。海外の認証マークだけが単独で刷られている場合は、日本の制度とは別のものです。
農産物には、有機JASとは別の目安もあります。農林水産省の特別栽培農産物に係る表示ガイドラインです。節減対象農薬の使用回数と化学肥料の窒素成分量が、どちらも慣行レベルの5割以下であることが条件になります。
適用の範囲は、野菜や果実などの農産物です。加工したものは、この範囲から外れます。こちらは加工食品ではなく、生鮮の売り場の話です。
このガイドラインには、表示禁止事項も定められています。次の4つは、表示しないものとする、とされている用語です。
- 無農薬栽培農産物
- 無化学肥料栽培農産物
- 減農薬栽培農産物
- 減化学肥料栽培農産物
使ってよいのは「特別栽培農産物」という名前のほうです。あいまいな言い方を残さず、条件を満たした呼び名だけを使う。無添加の表示で起きたことと同じです。
実際の売り場でどうだったかも調べています。スーパーの7売り場をまわった実データもあわせてどうぞ。
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よくある質問
- Q有機JASマークが付いていれば、添加物は入っていませんか?
- A
そうとは限りません。有機加工食品の規格には使える添加物が61品目あり、当サイトで原材料名を写した14商品でも、5つに表示がありました。豆腐の凝固剤やジャムのペクチンがその例です。
- Q認証を受けずに「有機」と書くと、どうなりますか?
- A
日本農林規格等に関する法律の第64条で、表示の除去や販売の禁止を命じられることがあります。その命令に従わない場合や、認証なしにマークを付けた場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。
- Q「有機トマト使用」と「有機トマトケチャップ」は同じ意味ですか?
- A
違います。前者は原材料の一部が有機という意味で、後者は製品が有機加工食品として認証されているという意味です。規格の6.1.1が、認証を受けた商品の名称の書き方を定めています。
- Q添加物が気になる場合、有機JASマークは目印になりますか?
- A
目印にはなりません。マークが示すのは農薬や化学肥料を使わない作り方であって、添加物の有無ではないためです。添加物を確認するなら、裏の原材料名のスラッシュより後ろになります。
まとめ:マークは表、添加物は裏

無添加とオーガニックの違いは、ひとことで言えば後ろ盾の差です。オーガニックには法律の定義と認証マークがあり、無添加にはどちらもありません。
そのうえで、オーガニックは添加物ゼロの印ではありません。有機加工食品の規格には61品目の添加物が載っていて、市販14商品のうち5つには実際に表示がありました。

売り場ですることは2つに分かれます。表で有機JASマークの有無を確認する。裏のスラッシュより後ろで、添加物の中身を確認する。表と裏で、分かることが違います。
2つの言葉を並べて悩む必要はありません。気にしているものが農薬なら表、添加物なら裏。それだけで、売り場での迷いはかなり減ります。
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