【ゼンブ9商品は0品目】ベースブレッドとゼンブブレッドは体に悪い?

黒い器に赤い粉を敷き、白い四角のかたまりをのせてある 体に悪い?食品査定
ラベルさんラベルさん
「完全栄養食のパン」って、体に悪いって言われがちだよね。……そもそも完全栄養食って、誰が決めた言葉か知ってる?
うーめんうーめん
知らなかったので、法令の本文を全文検索した。「完全栄養食」も「完全食」も、食品表示基準には一度も出てこない。そのうえで22商品の原材料名を並べた。

先に結論です。ベースブレッド・ゼンブブレッド・完全メシ BREAD・市販のロールパンの22商品を並べたところ、原材料名に書かれた添加物は0品目から28品目まで開きました。いちばん長かった完全メシ BREAD カレーの28品目のうち、14品目はビタミンとミネラルの名前です。いっぽうゼンブブレッド9商品は、9商品とも0品目でした。

この開きを作っているのは、味でも品質でもありません。足した栄養素を原材料名に書いたか、書かなくてよい決まりを使ったかです。この記事では法令の本文と22商品の実データを並べて、その理由まで書きます。数字はすべて2026年9月4日に各社公式サイトとe-Gov法令検索で確認しました。

「完全栄養食のパン」と呼ばれている3つは、中身の決まりが違っていた

赤い起毛の面に、白い三角の板を三枚離して置いた

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「体に悪い」という話が出てくるのは、たいてい原材料名が長いからです。ところが同じ売り場でひとくくりにされている3ブランドは、公式サイトの説明からしてそろっていません。

ベースフードは公式ショップの商品ページで、ベースブレッドを「1食(2袋)で1日に必要な33種類の栄養素の1/3がバランスよくとれる完全栄養のパン」と説明しています。日清食品は完全メシ BREAD チョコクリームの商品ページで、完全メシを「日本人の食事摂取基準および栄養学的知見等を参考に、18歳から64歳の方を対象に主要な栄養素がバランスよく適切に調整された最適化栄養食」としています。

3つめのゼンブブレッドは、そもそも立ち位置が別です。ZENBの公式ページは黄えんどう豆を主原料にした豆粉のパンとして紹介していて、完全栄養という言い方をしていません。検索でまとめて調べられている3ブランドのうち、1つは完全栄養食を名乗っていないということです。

では、そろっていない言葉のほうに定義はあるのか。法令から確かめます。

「完全栄養食」という言葉は、食品表示基準に一度も出てこない

赤い起毛の面に、黒い細い輪を二つ横に並べて置いた

食品の表示のことを決めているのは、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)です。e-Gov法令検索から本文をまるごと取り出して、語句を探しました。結果はこうです。

  • 「完全栄養」……0件
  • 「完全食」……0件

つまり「完全栄養食」は法令の用語ではありません。何をもって完全とするかは、各社が自分で決めて自分の言葉で説明している状態です。ベースフードの「1日に必要な33種類の栄養素の1/3」と、日清食品の「最適化栄養食」が並び立つのは、そのためです。

いっぽう、同じ府令には定義された数値の基準があります。第2条第1項第十二号の栄養素等表示基準値です。

国民の健康の維持増進等を図るために示されている性別及び年齢階級別の栄養成分の摂取量の基準を性及び年齢階級(十八歳以上に限る。)ごとの人口により加重平均した値であって別表第十の上欄の区分に応じそれぞれ同表の下欄に掲げる値をいう

出典:食品表示基準 第2条第1項第十二号(e-Gov法令検索・2026年9月4日取得)

「1日に必要な量の3分の1」という言い方は、この基準値を分母にした割合の話です。ベースフードも公式ショップの注記で、1食分が栄養素等表示基準値に基づく1日分の3分の1以上にあたる旨を示しています。基準の数値は法令にあるが、それを何点満たせば完全と名乗ってよいかは決まっていない。これが今回の前提です。

ちなみに、栄養をひととおり満たす食品として法令の許可を受ける道は別にあります。消費者庁の特別用途食品という制度で、病者用食品の中に総合栄養食品という区分が置かれています。こちらには許可の基準があります。市販の完全栄養食のパンは、この許可を受けたものではありません。

「無添加」という言葉にも法律上の定義がないことは、無添加という表示に何が求められるかをまとめた記事で条文から追いました。定義のない言葉が売り場に並ぶのは、めずらしいことではありません。

22商品の原材料名を、添加物の品目数で並べた

黒い壁と床の前に、赤い細長い板を並べて立てた

並べ方の決まりは2つ置きました。味の良し悪しは入れていません。

  • 原材料名の中からスラッシュ(/)を探し、その記号より後に印刷された品目がいくつかを見る
  • 同じ品目数のときは、公式サイトが示す食品単位あたりのエネルギーが高いほうを上に置く

括弧でくくられた中身(たとえば「増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類)」)は、括弧の外の1品目として扱いました。対象は、公式サイトに原材料名が載っている22商品です。

順位商品添加物の品目数うちビタミン・ミネラルエネルギー食塩相当量食品単位
1日清食品 完全メシ BREAD カレー28品目14品目213kcal0.8g1個
2日清食品 完全メシ BREAD チョコクリーム26品目14品目216kcal0.3g1個
3ベースフード BASE BREAD カレー8品目0品目271kcal1.0g1袋(1個)
4ベースフード BASE BREAD メープル6品目0品目251kcal0.3g1袋(2個)
5ベースフード BASE BREAD ミルク6品目0品目250kcal0.3g1袋(2個)
6ベースフード BASE BREAD ストロベリー6品目0品目248kcal0.3g1袋(1個)
7ベースフード BASE BREAD チョコレート5品目0品目266kcal0.3g1袋(1個)
8ベースフード BASE BREAD シナモン5品目0品目260kcal0.3g1袋(2個)
9ベースフード BASE BREAD ミニ食パン・プレーン4品目0品目229kcal0.7g1袋(2枚)
10ベースフード BASE BREAD プレーン4品目0品目200kcal0.3g1袋(1個)
11ZENB ゼンブブレッド 焼きカレーパン0品目0品目180kcal公式に記載なし1個59g
12ZENB ゼンブブレッド きなこあんぱん0品目0品目174kcal公式に記載なし1個54g
13ZENB ゼンブブレッド 黒ごまあんぱん0品目0品目173kcal公式に記載なし1個54g
14ZENB ゼンブブレッド くるみ&レーズン0品目0品目163kcal公式に記載なし1個51g
15ZENB ゼンブブレッド 北海道産 金時豆ぱん0品目0品目161kcal公式に記載なし1個53g
16ZENB ゼンブブレッド 3種の雑穀0品目0品目150kcal公式に記載なし1個51g
17ZENB ゼンブブレッド ふわもちロール0品目0品目136kcal公式に記載なし1個50g
18ZENB ゼンブブレッド カカオ0品目0品目135kcal公式に記載なし1個51g
19ZENB ゼンブブレッド 紅茶&オレンジ0品目0品目132kcal公式に記載なし1個51g
20Pasco 超熟ロールレーズン0品目0品目114kcal0.3g1個
21Pasco 超熟ロール全粒粉&オーツ麦入り0品目0品目111kcal0.4g1個
22Pasco 超熟ロール0品目0品目107kcal0.3g1個
完全栄養食のパン22商品の添加物の品目数を比べた図。最多は28品目、12商品は0品目

出典は日清食品の完全メシ BREAD カレー、ベースフードの商品ページ、ZENBの商品ページ、敷島製パンの超熟ロールほか各商品ページです。ゼンブブレッドは公式の栄養成分にエネルギー・たんぱく質・脂質・糖質・食物繊維が並び、食塩相当量の欄がありません。そこは空欄にせず、記載なしと書きました。

先に断っておきます。この並びは表示に出ている品目が多い順で、安全性の順番ではありません。そのうえで22商品を順に読むと、なぜここまで開くのかが分かります。

品目数を分けていたのは、足した栄養素を書いたかどうかだった

黒い台の上に、白い半円の板を赤い面の前で重ねて並べた

完全メシ BREADは、ビタミンとミネラルの名前が原材料名に並ぶ

1位の完全メシ BREAD カレーで、スラッシュより後ろに並んでいた28品目のうち14品目はこれです。リン酸Ca、V.C、酸化Mg、ピロリン酸鉄、ナイアシン、V.E、パントテン酸Ca、V.B6、V.B2、V.B1、V.A、葉酸、V.D、V.B12。ここにアミノ酸のリジンも加わります。

2位のチョコクリームも同じ14品目です。残りの12品目を見ると、乳化剤・加工でん粉・香料・甘味料といった、ほかの菓子パンにも出てくるものでした。長さの半分以上は、栄養素の名前が占めていたことになります。

ベースブレッドの原材料名に、ビタミンの名前は出てこない

3位から10位のベースブレッド8商品では、スラッシュより後ろにビタミンもミネラルも1つも出てきません。プレーンの4品目は増粘剤(加工でん粉、キサンタン)、調味料(有機酸等)、酸味料、乳化剤。いちばん長いカレーの8品目でも、増粘剤・ソルビット・酸味料・調味料・乳化剤・着色料・香辛料抽出物・香料でした。

それでいて、商品ページには26種類のビタミン・ミネラルを含む旨が書かれています。原材料名を読むと、小麦全粒粉・米ぬか粉・昆布粉末・チアシード・ミルクカルシウムなどが並びます。ベースフードは公式サイトで「BASE FOODには食物繊維やビタミンなどの栄養素が豊富な全粒粉や、ミネラルや鉄の豊富な昆布、オメガ3脂肪酸の豊富なチアシードなど、10種以上の主に自然由来の原材料が使用されています」と説明しています。

パンは、栄養強化のために足した分を書かなくてよい食品に入っている

ここで法令に戻ります。消費者庁の資料「栄養強化目的で使用した添加物の表示について」(令和6年1月・食品表示企画課)に、制度の説明があります。

食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条(横断的義務表示)第1項の規定により、栄養強化目的で使用した食品添加物は、その表示が不要とされている(特別用途食品及び機能性表示食品を除く)。ただし、食品表示基準別表第4に規定する食品は表示が必要とされている

出典:消費者庁「栄養強化目的で使用した添加物の表示について」(2026年9月4日取得)

同じ資料に、書く必要がある食品の一覧が挙がっています。農産物漬物、ジャム類、乾めん類、即席めん、マカロニ類、ハム類、プレスハム、混合プレスハム、ソーセージ、混合ソーセージ、ベーコン類、魚肉ハム及び魚肉ソーセージ、ウスターソース類、乾燥スープ、食用植物油脂、マーガリン類、調理冷凍食品、チルドハンバーグステーキ、チルドミートボール、果実飲料、豆乳類。この22品目に、パンは入っていません。

対象になる添加物の範囲も、同じ資料が示しています。食品衛生法施行規則別表第1に挙がる添加物のうち、ビタミン類・ミネラル類・アミノ酸類などを強化剤として使うもの。つまりパンでは、栄養素を足しても原材料名に書かないという選び方が制度上できます。書いたのが完全メシ BREAD、書いていないのがベースブレッドです。

ただしこの免除は、いま消えかけています。同じ資料の後半に食品表示基準の改正案があり、第3条第1項の免除から「栄養強化の目的で使用されるもの」を削除すると書かれています。実際、2026年9月4日にe-Gov法令検索で現行の条文を取り出すと、除かれているのは加工助剤とキャリーオーバーの2つだけで、栄養強化の目的という文言は本文に残っていません。附則第2条には、令和12年(2030年)3月31日までに製造される加工食品は従前の例によることができる、と経過措置が置かれています。

2030年3月末までは、足した栄養素を書いたパンと書いていないパンが、同じ売り場に並びます。原材料名の長さだけで2商品を比べても、そろわない理由がここにあります。

ただし、書かれている品目が多い=体に悪い、ではない

赤い面に黒い輪を一つ立て、窓の影が斜めに差している

品目数の多さと体への悪さ、この2つを結び付けると、買うものを見誤ります。国は成分の規格と使用の基準を定めたうえで使用を認めていて、原材料名の行数がそのまま口に入る量になるわけではありません。ビタミンやミネラルの名前が並べば行数は増えますが、それで中身が悪くなったわけではありません。

並べ替えると順位は入れ替わります。食塩相当量でいちばん多かったのは、28品目の完全メシ BREAD カレー(0.8g)ではなく、8品目のベースブレッド カレー(1袋1.0g)でした。ベースフードは1食を2袋としているので、1食では2.0gになります。厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、食塩相当量の1日の目標量は18歳以上の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。朝の1食で、その4分の1を超えることになります。

エネルギーも同じです。0品目のゼンブブレッド 焼きカレーパンは1個180kcalで、26品目の完全メシ BREAD チョコクリーム(216kcal)と大きくは変わりません。品目数の順位とエネルギーの順位は、22商品のどこを見ても一致しませんでした。

0品目という数字にも、言えることの範囲があります。ここでの0品目は、原材料名に印刷する義務のある添加物が1つもなかった、というところまでを指します。加工の途中だけではたらいて製品に残らないもの(加工助剤)と、原材料に付いてきた量がわずかなもの(キャリーオーバー)は、書かなくてよいことになっているからです。工場で何も使っていない証明にはなりません。ゼンブブレッドについては、ZENBが公式の質問回答で、日持ちの理由を原材料の配合と容器の材質、袋に同封した品質保持剤で説明したうえで、原材料に保存料等の添加物は使用していないと書いています。

同じ見方は、ごはん系の商品でも変わりませんでした。ごはんに混ぜる商品の原材料名を並べた記事では品目数より炊き方のほうが差になり、1食分に区切った商品の食塩相当量を並べた記事では、量を先に決めてある商品ほど数字が読みやすいという結果でした。

では、朝のパンをどう選ぶか

夕暮れの窓辺の暗い床に、赤い細長い帯が三本垂れている

やることは2つです。まず袋の裏でスラッシュを探し、その後ろにビタミンやミネラルの名前があるかどうかを見る。名前があれば、足した分を書いた商品です。名前がなくても足していないとは決まりません。ここまでが、いまの制度で表示から読み取れる範囲です。

そのうえで、価格の桁が違うことも見ておきます。2026年9月4日時点の公式サイトで、ベースブレッドは1袋186円から231円(継続コース・税込)、ゼンブブレッド 3種の雑穀は1個298円(税込)、完全メシ BREADは希望小売価格298円(税別)。同じ日のPasco 超熟ロールは6個入りです。1個あたりで見ると、完全栄養をうたうパンは市販のロールパンの数倍になります。

袋入りのパンとパン屋で表示の付き方が変わることは、パン屋の表示義務を条文から追った記事に整理しました。やわらかさが何から来ているのかは、食パン6商品の原材料名をたどった記事にあります。

ただし弱点もあります。朝のパンを1つ替えても、昼と夜のおかずはまだ決まっていません。完全栄養食のパンが選ばれる理由の多くは、忙しくて食事を組み立てる時間がないことにあります。

だからおかずにも同じやり方が使えます。表示に出る添加物を使わない方針で作られた惣菜を、家まで運んでもらうやり方です。

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よくある質問

Q
「完全栄養食」に法律上の定義はありますか?
A

ありません。食品表示基準の本文を全文検索しても「完全栄養」「完全食」はどちらも0件でした。定義されているのは栄養素等表示基準値という数値の基準で、それを何点満たせば完全と名乗れるかは決まっていません。

Q
ベースブレッドの原材料名にビタミンの名前が出てこないのはなぜですか?
A

公式サイトは全粒粉・昆布・チアシードなど自然由来の原材料を使うと説明しています。あわせて制度の面では、栄養強化のために足した添加物はパンでは表示が不要とされてきました。表示に出ていないことは、足していないことの証明にはなりません。

Q
ゼンブブレッドは9商品とも添加物0品目でしたか?
A

公式サイトの原材料名にスラッシュがなく、9商品とも0品目でした。ただしこれは印刷の義務がある添加物がなかったという意味までです。加工助剤とキャリーオーバーは書かなくてよいことになっています。

Q
品目数が少ないパンを選べば安心ですか?
A

言えません。品目数は表示の長さであって、安全性の順番ではないからです。今回も食塩相当量が最も多かったのは28品目の商品ではなく、8品目のベースブレッド カレー(1袋1.0g)でした。

まとめ:長さを作っていたのは、栄養素を書いたかどうかだった

赤い起毛の面の中央に、白い平たい板が一枚だけ置かれている

22商品を並べて出た答えは3つです。

  • 「完全栄養食」は食品表示基準に出てこない言葉で、何を満たせば名乗れるかの決まりはない
  • 添加物の品目数は0品目から28品目まで開き、最多の28品目のうち14品目はビタミンとミネラルの名前だった
  • パンは栄養強化のために足した分を書かなくてよい食品にあたる。書いた商品と書いていない商品が、2030年3月末までは同じ売り場に並ぶ

明日やることは1つ。袋の裏でスラッシュを探して、その後ろにビタミンの名前があるかどうかを見る。あれば足した分を書いた商品、なければ表示からは決められない商品です。それだけで、長い原材料名の読み方が変わります。

売り場のどこに0品目の商品があるのかは、スーパーを一周して0品目の商品を探した記事にまとめてあります。

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