【一律禁止ではない】「無添加」表示のガイドライン10類型を原文で読んだ

木目の床に置いた角材の前に細い三角の板が立つ画像 添加物辞典
ラベルさんラベルさん
「無添加」って書くの、国が禁止したんでしょ? 売り場から文字が減ったのは、そのせいだって聞いたけど。
うーめんうーめん
禁止はしていない。消費者庁が出したのは、誤解されやすい書き方を10に分けた文書だ。9ページしかないから、原文を通して読んだ。

先に結論です。消費者庁のガイドラインは、「無添加」や「不使用」と書くことを禁じていません。原文に、不使用表示を一律に禁止するものではないと書いてあります。まとめられているのは、消費者に誤解を与えるおそれが高い書き方を10の類型に分けた一覧でした。

この記事では、その10類型を原文の見出しのまま並べます。そのうえで、売り場で商品を選ぶ人に関わりが深い類型4と類型8を長めに取り上げます。引用と類型名は、2026年9月5日に消費者庁のサイトで読んだPDFから写しました。

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「無添加と書いてはいけない」という決まりはありません

白木の床に、四角い木の塊がひとつ置いてある

読んだのは、消費者庁が令和4年3月30日に公表した食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(PDF・全9ページ)です。この文書が何を決めた文書なのかは、2ページ目にはっきり書かれています。

本ガイドラインは、食品添加物の不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項をまとめたものであり、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではない。

出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日/2026年9月5日に閲覧)

この文書の立ち位置も原文にあります。根拠は食品表示基準の第9条で、例外として禁じているのは3つ。第1項第1号が実際の食品より著しく優良または有利だと思わせる表示、第2号が義務表示の中身と食い違う表示、第13号が内容物を思い違いさせる表示です。ただし、どこからがそれに当たるのかは条文に書いてありません。そこを事業者が自分で点検できるように並べたのが、10の類型でした。

適用の範囲も限られています。原文が対象にしているのは一般用加工食品の容器包装に書かれた不使用表示です。テレビ広告やチラシの文言を直接しばる文書ではありません。「無添加」という言葉に法律上の定義がない話は、定義のない3文字をどう読むかをまとめた記事に書きました。

注意が必要な書き方は、10の類型に分かれています

木目の板に、細長い白木のくさびが五本並べてある

原文の「3.」に、10の類型が番号つきで並んでいます。見出しは1文字も変えずに写しました。右の列は、原文がその類型の例として挙げている表示です。

番号原文の見出し原文が挙げている例
類型1単なる「無添加」の表示無添加となる対象が消費者にとって不明確な表示
類型2食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示「人工甘味料不使用」など、人工・合成・化学・天然の語を使った表示
類型3食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」と表示
類型4同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示日持ち向上目的で保存料以外の添加物を使った食品に「保存料不使用」
類型5同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示アミノ酸を含有する抽出物を使った食品に、調味料を使っていない旨を表示
類型6健康、安全と関連付ける表示体に良いこと、安全であることの理由として無添加を表示
類型7健康、安全以外と関連付ける表示おいしい理由として無添加あるいは不使用を表示
類型8食品添加物の使用が予期されていない食品への表示元来の色をしている食品に「着色料不使用」と表示
類型9加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示原材料の一部に保存料を使いながら、最終製品に「保存料不使用」
類型10過度に強調された表示商品の多くの箇所に、過剰に目立つ色で不使用と記載する

出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」および10類型イラスト(いずれも2026年9月5日に閲覧)

不使用表示の10類型を番号順に並べた図。類型4と類型8に印がある

10のうち、類型9だけは食品表示基準の条文まで戻らないと読めません。表示が免除される加工助剤とキャリーオーバーの話なので、免除の条文を原文で読んだ記事のほうに分けて書いてあります。

類型4は、別の添加物に置き換えて「不使用」と書く形です

木の床の継ぎ目に、白木の細い棒が二本のせてある

10類型のうち、原材料名を読む人にいちばん関わるのがここです。原文の定義はこうなっています。

この類型は、「〇〇無添加」、「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同一機能、類似機能を有する他の食品添加物を使用している食品への表示をいう。

出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」類型4(2026年9月5日に閲覧)

抜いた添加物の代わりに、同じ働きをする別の添加物が入っている。原文が挙げている例は2つで、1つ目が日持ち向上目的で保存料以外の食品添加物を使用した食品に「保存料不使用」と表示、2つ目が既存添加物の着色料を使った食品に指定添加物の着色料が不使用である旨を表示、です。

消費者庁のイラスト資料には、この類型4の絵としておにぎりが使われています。原材料名の欄にはうるち米と調味梅干し、スラッシュの後ろにグリシン。絵の横には、日持ち向上効果が期待されるグリシンが使用されている、と注釈が入っています。表に「保存料不使用」と刷ってあっても、日持ちさせるはたらきの添加物が別の名前で裏に書かれていることがある、という絵です。

類型5は、この置き換え先が添加物ではなく原材料になった形です。イラスト資料の絵は白だしで、表に「調味料(アミノ酸等)無添加」、原材料名には酵母エキス。アミノ酸が主成分である酵母エキスが使われている、と注釈があります。酵母エキスと調味料(アミノ酸等)が表示のうえでどう違うかは、一括名の中身を調べた記事にまとめました。

類型4と類型5には、どちらにも同じ参考が付いています。強調表示に関するコーデックス一般ガイドライン(CXG 1-1979)では、同程度に顕著な表現で明示されている場合を除き、その食品に同等な特質を与える他の物質で代替されているときには強調表示を使えない、という考え方です。置き換えたのなら、置き換え先も同じ大きさで書く。国際的な決まりのほうが先にあり、日本の10類型はその考え方を一部参考にしたと原文の脚注に書かれています。

読む側にできることは1つだけです。表の「〇〇不使用」を見たら、裏の原材料名でスラッシュの後ろを最後まで読む。抜いた名前は表に、入れた名前は裏に書かれます。

類型8は、もともと入らない食品に「不使用」と書く形です

日ざしの入る白木の床に、丸い木の台が三つ並んでいる

もう1つ、読む人に関わりが深いのが類型8です。原文の定義を写します。

この類型は、消費者が、通常、当該食品添加物が使用されていることを予期していない食品への無添加あるいは不使用の表示をいう。

出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」類型8(2026年9月5日に閲覧)

そもそも使われていないものを、わざわざ「使っていません」と書く形です。原文の例は2つあります。1つ目が、同種の製品で一般的に着色料が使われておらず、かつ食品元来の色をしている食品への「着色料不使用」。2つ目には、消費者が使用を予期していない例としてミネラルウォーターに保存料、ミネラルウォーターに着色料が挙げられています。

原文が心配しているのは、書いた側の意図ではなく読んだ側の受け取り方です。その添加物が入った商品を避けたい人からすると、不使用と書いてある商品だけが優れているように読めてしまう。実際には、書いていない商品にも入っていません。ここにもコーデックスの参考が付いていて、通常その食品の中にあると消費者が予期していない場合は強調表示を使えない、とされています。

似た形が類型3です。こちらは法令でそもそも使えない場合で、原文の例は清涼飲料水への「ソルビン酸不使用」。清涼飲料水にソルビン酸を使うことは使用基準違反だと、原文がかっこ書きで説明しています。イラスト資料ではマヨネーズが絵になっていて、マヨネーズには調味料(アミノ酸等)、酸味料及び香辛料抽出物以外の添加物は使用できない、と注釈が付いていました。

類型3と類型8を並べると、同じことが見えてきます。「〇〇不使用」と書いていない商品に〇〇が入っている、とはかぎらない。書いていないだけのこともあり、書けないこともあり、書く必要がないこともある。売り場で商品の上下を決めるには、表の文字は材料が足りません。

売り場で何が変わったかは、2件が公表されています

木の壁ぎわに、白木の板が二枚立てかけてある

実際に表示が変わった例のうち、当事者が自分で公表しているものを2件そろえました。どちらも各団体・各社の公式ページで読めます。

1件目はパンです。一般社団法人日本パン工業会は令和元年6月20日に「『イーストフード、乳化剤不使用』等の強調表示の自粛に関するお知らせ」を出し、自主基準を作り、イーストフードと乳化剤の強調表示のうち、買う人に思い違いをさせるおそれがあるものを自粛すると公表しました。ガイドラインの公表より3年近く早い動きで、売り場の袋からこの文字が減ったのはこの時期です。この4文字の中身と、消えるまでの流れは別の記事にまとめてあります。

2件目は調味料の言い方です。株式会社創健社は2022年9月22日付のお知らせで、「化学調味料」の用語は今後使用せず、「調味料(アミノ酸等)不使用」の記載や、商品によっては「不使用」表示自体をやめて「素材の風味を活かす」などの商品特長の記載に変更していく、と公表しています。これが類型2に当たる話です。

類型2の中身も原文にあります。食品表示基準における人工と合成の用語は令和2年7月に削除され、化学調味料の用語はかつてJAS規格にありましたが平成元年に削除されていて、食品表示基準では一度も使われたことがない。「化学調味料不使用」という書き方は、法律の言葉ではない語を使っています。売り場で「化学調味料」の文字を見かけなくなった理由が、ここにあります。パンの原材料名を並べた結果は無添加に近い食パンを探した記事にあります。

類型に当てはまる=違反、という読み方はできません

障子の光が差す木の床に、細い木片が四本散っている

ここを外すと読み違えます。原文は、10類型に当てはまれば表示禁止事項に該当する、とは書いていません。

該当するかどうかは、類型に当てはまることだけで決まるものではなく、商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容などをもとに、一つずつ全体として判断すると原文に書かれています。だからこの記事でも、実在する商品の表示を挙げて違反だと言うことはしていません。判断するのは行政です。

見直しの期限についても、原文に一節が割かれています。ガイドラインは第9条に新しい規定を作ったものではないので、本来なら経過措置期間は要らない。そのうえで、包装資材の切替えに時間がかかることを考え、2年程度(令和6年3月末)の間に、適宜、表示の見直しを行うことが求められると書かれています。この期間に作られた商品が見直し前の表示で流通することはやむを得ない、という一文も付いていました。2026年9月現在、この2年はすでに過ぎています。

そして、この文書のどこにも安全性の順位は出てきません。類型6は、健康や安全の用語と不使用表示を結びつける書き方を、注意が必要な形として挙げているほうです。食品添加物は安全性の評価を受けて国が使用を認めているので、事業者が独自に健康や安全と結びつけるのは難しい、というのがその理由でした。ガイドラインは表示の書き方の文書であって、何が体に良いかを決めた文書ではありません。有機JASのような認証との違いは、マークと表示を分けて比べた記事で扱いました。

読むのは表の4文字ではなく、裏の1行です

白木の床板に、厚みのある木の板が二枚重ねてある

10類型を通して読んで残る作業は、2つだけです。どちらも売り場でその場でできます。

  • 表に「〇〇不使用」とあったら、裏の原材料名でスラッシュ(/)より後ろを最後まで読む。類型4と類型5は、抜いた名前が表に、入れた名前が裏に書かれる形です
  • 表の文字の大きさで判断しない。類型10は、一括表示欄より過度に強調された文字が、裏を見る妨げになる形を挙げています

裏まで読んでも、限界は残ります。表示が免除されている加工助剤とキャリーオーバーがあるためです。原材料名の行が短い商品でも、書く義務がなかった添加物が製造の途中で使われていることはあります。行が短い=工程で何も使っていない、ではないという意味です。類型9が扱っているのは、まさにこの部分でした。裏返す手順はスーパーで無添加に近い商品を探す手順の記事に書いてあります。

そのうえで、店頭で1つずつ裏返す時間が取れないこともあります。商品ページに原材料名を先に出している宅配なら、届く前に同じ1行を読めます。

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各社の表示を同じ条件で並べたのはおかず宅配5社の原材料名を写した記事です。

よくある質問

Q
「無添加」と書くことは禁止されたのですか?
A

禁止されていません。ガイドラインの原文に、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではないと書かれています。まとめられているのは、誤認を与えるおそれが高い書き方を10の類型に分けた一覧です。

Q
10類型に当てはまる表示は、違反ということですか?
A

そうはなりません。原文は、類型に当てはまることだけでなく、商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法などをもとに全体として判断すると書いています。10の類型は、事業者が自分の商品の表示を見直すときの手がかりとして並べられたものです。

Q
表示を見直す期限はいつでしたか?
A

原文には、2年程度(令和6年3月末)の間に適宜、表示の見直しを行うことが求められると書かれています。新しい規定を設けたものではないため本来は経過措置期間を要しない、という説明も同じ箇所にあります。

Q
このガイドラインは、どこまでの食品に当てはまりますか?
A

原文の「2.適用範囲」には、一般用加工食品の容器包装における食品添加物の不使用表示に適用すると書かれています。食品表示基準の第14条と第17条により第9条第1項を準用する場合にも準用されます。

まとめ:国が引いたのは線ではなく、10本の目印だった

木の面の上で、細い白木の棒が十字に組んである

9ページを通して読んで出た答えは1つです。国は「無添加と書くな」とは言っておらず、誤解されやすい書き方を10の類型として並べただけでした。類型4は別の添加物に置き換えて不使用と書く形、類型8はもともと入らないものに不使用と書く形。どちらも、表の文字だけでは見分けがつきません。

だから残る作業も1つです。商品を手に取ったら、裏面の原材料名で/の後ろを最後まで目で追う。「無添加」の4文字だけでは、何を抜いたかまでは分かりません。それが分かるのは、裏の1行のほうです。

参照した原文:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)/同「10類型イラスト」。いずれも2026年9月5日に消費者庁のサイトで閲覧しました。

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