ラベルさん先に結論です。トレハロースはでん粉などから作る糖ですが、原材料名では砂糖と同じ並びに入れてもらえません。スラッシュ(/)の後ろに「トレハロース」と名前のまま刷られます。この書き方は、作っている会社が自社サイトではっきり指示しているものです。
メーカー公式サイトで原材料名の全文を確かめられた市販35商品は、35商品とも「トレハロース」の6文字だけでした。用途名が付いた例は1つもありません。そのうち23商品では、スラッシュのすぐ後ろ、添加物の1番目に刷られていました。この記事では、名簿の原文と35商品の表示を突き合わせます。安全かどうかの評価はしません。書くのは表示の話だけです。数字はすべて2026年9月5日に各社公式サイトで確認しました。
トレハロースは、食べ物なのか添加物なのか

迷いが起きるのは、名前の見た目が糖だからです。実際に糖です。それでも、食品として扱われるのか添加物として扱われるのかは、好みや印象では決まりません。国が持っている名簿に名前があるかどうかで決まります。
指定添加物のリストに、トレハロースの名前はない
厚生労働省は、日本で使える添加物を4つに分けています。厚生労働大臣が指定した指定添加物、長く使われてきた既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物です。
まず指定添加物から見ます。指定添加物リスト(食品衛生法施行規則別表第1)は令和6年3月1日改正で476品目。「ト」で始まるのは銅塩類、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、dl-α-トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、d-α-トコフェロール酢酸エステル、DL-トリプトファン、L-トリプトファン、トリメチルアミン、2,3,5-トリメチルピラジン、DL-トレオニン、L-トレオニンの12品目。トレハロースはここにありません。
既存添加物名簿には、用途まで書いてある
名前があったのは、もう1つの名簿です。既存添加物名簿(平成8年4月16日厚生省告示第120号)に「トレハロース」が収載されています。この名簿を品目ごとに整理した既存添加物名簿収載品目リストでは、令和7年8月25日の改正後の版で205番、用途の欄は製造用剤です。いまの版は成分規格に従う印が付くだけで、基原の説明は載っていません。番号は改正のたびに振り直され、令和2年2月26日改正の版(公益財団法人日本食品化学研究振興財団・全357品目)では222番でした。その版には基原と用途が、こう書かれています。
担子菌(Aguricus等)、細菌(Arthrobacter , Brevibacterium , Pimelobacter , Pseudomonas , Thermus等)又は酵母(Saccharomyces等)の培養ろ液又は菌体より、水若しくはアルコールで抽出して得られたもの、これを酵素によるでん粉の糖化液より分離して得られたもの、又はマルトースを酵素処理して得られたものである。成分はトレハロースである。
用途:製造用剤出典:日本食品化学研究振興財団「既存添加物名簿収載品目リスト」(令和2年2月26日改正版)222 トレハロース(2026年9月5日確認)
作り方が3通り書かれていて、そのうち2つがでん粉と麦芽糖から出発します。名簿に載っている以上、これを食品に加えれば添加物として扱われます。同じ袋の中で、砂糖は食材として前半に刷られ、トレハロースは添加物として後半に刷られる。名前が糖でも、置かれる場所は分かれます。
作っている会社が「糖類とまとめて書くな」と説明している

書き方を決めているのは、食品会社の判断だけではありません。原料を売っている会社が、使う側に向けて書き方を指定しています。
トレハロースを日本で作っているのはナガセヴィータ株式会社(岡山市)で、商品名は「トレハ」です。同社のTREHA Webのよくあるご質問に、表示の指定が載っています。
トレハ®の表示名称は、「トレハロース」です。食品添加物の区分に物質名で「トレハロース」と表示してください。糖類と一括表示したり、糖類(砂糖、トレハロース)などの表示は適切ではありません。
出典:ナガセヴィータ「TREHA Web よくあるご質問」(2026年9月5日確認)
糖類の欄に混ぜて書くな、と原料の会社が言っています。同じページには原料が「でん粉(コーンスターチ他)」と書かれ、甘さは砂糖の「約40%」、熱量は砂糖と同じ「約4kcal/g」と説明されています。いずれも公式サイトの表記です。砂糖の2〜3割を置き換える使い方をすすめている会社が、書くときは砂糖と並べるなと指定している。ここが、読む側の混乱の出どころです。
用途名が付かないのは、当てはまる用途が用意されていないから
添加物の中には、名前の前に用途が付くものがあります。着色料(カラメル)、保存料(ソルビン酸)のような書き方です。消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」は、用途名を併記する対象を8つ挙げています。
甘味料・着色料・保存料・増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料・酸化防止剤・発色剤・漂白剤・防かび剤又は防ばい剤
出典:消費者庁「食品表示の内容を正しく理解するための“食品添加物表示に関するマメ知識”」
既存添加物名簿がトレハロースに与えている用途は「製造用剤」でした。8つの中に製造用剤はありません。名前をまとめて書ける一括名も14種類決まっていますが、イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、チューインガム軟化剤、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、水素イオン濃度調整剤、膨張剤のどれにも当てはまりません。
用途名の受け皿も、一括名の受け皿もない。だから物質名がそのまま刷られます。この仕組みは名前ごとに違っていて、「等」の1文字で分類の数まで決まる調味料の書き方や、2文字で3,000品目超をまとめてしまう香料の書き方とは正反対の位置にあります。
どこに刷られるかは、重さの順で決まる
東京都保健医療局は、添加物の書き方をこう説明しています。「原則として、全ての添加物の物質名を添加物に占める重量の割合の高いものから順に表示します」。添加物どうしを重い順に並べる決まりなので、スラッシュのすぐ後ろに来た添加物は、その商品でいちばん重い添加物ということになります。何番目に刷られているかには、意味があります。
市販35商品で、トレハロースは添加物の何番目に刷られていたか

ここからは実物です。集め方は2つだけ決めました。
- メーカー公式サイトの商品ページに原材料名の全文が載っている商品だけを対象にする。通販サイトやまとめサイトの写しは使わない
- スラッシュ(/)より後ろ、または添加物の欄の中で、トレハロースが何番目に刷られているかを見る。複数の中身が入った詰め合わせは、トレハロースが出てきた側の並びで数える
対象になったのは、日本生活協同組合連合会のコープ商品26商品、味の素冷凍食品7商品、ニチレイフーズ2商品の合計35商品です。順番は、トレハロースが刷られていた位置が早い順に並べました。

1番目が23商品、2番目が4商品、3番目が3商品、4番目が4商品、8番目が1商品。35商品のうち23商品で、トレハロースは添加物の先頭に刷られていました。
公式サイトに原材料名が出ていない売り場もあった
確かめられなかった会社も書いておきます。山崎製パン、敷島製パン(Pasco)、井村屋の商品ページを開きましたが、載っているのは栄養成分やアレルギー情報で、原材料名の全文は公開されていませんでした。トレハロースは和菓子やパンでよく話題に出る名前ですが、その売り場のうち何社かは、ウェブでは1商品も確かめられません。ここは推測で埋めず、確かめられなかったと書いておきます。
35商品とも、書き方は「トレハロース」の6文字だけだった

35商品を並べて、いちばんはっきりした共通点はこれでした。甘味料(トレハロース)と書かれた商品は1つもありません。糖類(砂糖、トレハロース)のようにまとめられた商品もゼロです。原料の会社が指定したとおり、35商品とも名前だけが刷られていました。
糖の欄と添加物の欄が、1行の中で分かれている商品がある
その分かれ方が1行で見えるのが、コープの和歌山県産南高梅使用 梅酒の梅のドライフルーツです。原材料名の全文を写します。
梅酒梅(梅(和歌山県)、砂糖、酒精)、糖類(砂糖、ぶどう糖)/トレハロース
出典:日本生活協同組合連合会 コープ商品情報検索「和歌山県産南高梅使用 梅酒の梅のドライフルーツ 42g」(2026年9月5日確認)
スラッシュの前に「糖類(砂糖、ぶどう糖)」があります。糖はここにまとめられます。ところがトレハロースは、その中に入れてもらえずスラッシュの後ろに1つで立っています。この商品に刷られた添加物は、トレハロース1品目だけです。
味の素冷凍食品のバスクチーズケーキも短く、添加物はトレハロースと香料の2品目でした。コープのみたらし餡が入ったお餅は、麦芽糖・砂糖・水あめ・粉あめと4つの糖が前半に並んだあとで、スラッシュの後ろにトレハロースが出てきます。糖を4つも使っている商品でも、トレハロースだけは後半に回されます。
ドライフルーツ4商品は、全部が先頭だった
売り場でそろっていたのがドライフルーツです。コープの南高梅、梅酒の梅、瀬戸内産レモン、産直信州産ふじりんごの4商品とも、トレハロースが添加物の1番目でした。りんごの表示は「トレハロース、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)、乳酸Ca」。4品目のうち先頭です。
和菓子でもそろいました。あんころ餅、みたらし餡が入ったお餅、一口最中三種詰合せ、和菓子バラエティーパックの4商品とも先頭です。もち米やあんを使った商品で、いちばん重い添加物がトレハロースになるという並び方でした。
ずっと後ろに刷られている商品もある
いちばん後ろだったのは、ニチレイフーズの梅しそささみ天で8番目です。加工でん粉、クエン酸Na、調味料(アミノ酸)、炭酸Na、酸味料、ベーキングパウダー、塩化Kのあとに刷られていました。味の素冷凍食品の黒豚大餃子や米粉でつくったギョーザは3番目で、前に加工でん粉と調味料(アミノ酸等)が来ます。同じ名前でも、商品によって位置は先頭から8番目まで動きます。
先頭に刷られていても、たくさん入っているとはかぎらない

ここは正確に書きます。重い順に並べる決まりがあるので、1番目に刷られていれば添加物の中ではいちばん重い。ただしそれは添加物どうしを比べた順番で、商品全体に対してどれだけ入っているかは、原材料名からは読み取れません。添加物ぜんぶ合わせて商品の1%にも満たない商品と、5%入っている商品が、同じ「1番目」と刷られます。
順位の意味も限られます。この並びは重さの順であって、体への影響の順ではありません。この記事では安全性の評価をしないので、多い少ないの話はここまでにします。
コープのパン100商品では、刷られていたのは1商品だけ
では、どれくらいの商品に入っているのか。日本生活協同組合連合会のコープ商品情報検索で、パンの分類100商品と菓子・珍味の分類280商品、合わせて380商品の原材料名を1商品ずつ確認しました。トレハロースが刷られていたのは次のとおりです。
| 分類 | 確認した商品数 | トレハロースが刷られていた商品 |
|---|---|---|
| パン | 100商品 | 1商品 |
| 菓子・珍味 | 280商品 | 22商品 |
パンで見つかったのは、熟成レーズンロールの1商品だけでした。菓子・珍味でも22商品で、8割以上の商品には刷られていません。パンや和菓子に必ず入っている名前ではありません。無添加のパンがどこで買えるかを確かめた記事では、10商品が0品目でした。パンは、そもそも添加物を使わずに作れる売り場です。
もう1つ断りを入れておきます。原材料名に出ていないことと、まったく使われていないことは同じではありません。製造の途中で使って最後に残らないもの(加工助剤)と、原料から持ち込まれるだけで効果を出さない量のもの(キャリーオーバー)は、表示が免除されます。この2つの決まりは加工助剤とキャリーオーバーの記事にまとめました。
売り場では、どこを見れば分かるのか

やることは1つです。袋を裏返して、スラッシュ(/)のすぐ後ろの1つ目を読む。トレハロースは略されず、用途名にも隠れず、6文字のまま刷られます。今回の35商品では、23商品がその1つ目でした。探すのに時間がかからない名前です。
「添加物」という欄が別に用意されている商品では、その欄の1行目を見ます。生協やトップバリュの一部の商品がこの書き方です。どちらの書き方でも、読む場所は添加物の並びの先頭になります。
売り場ごとに何が置いてあるかは、スーパーの7つの売り場で0品目の商品を探した記事にまとめました。洋菓子は少し事情が違って、売る場所が変わると原材料名が消えます。量り売りや店内で作って売る商品には、表示の義務がないためです。
ただ、裏返して読むには時間が要ります。夕方に子どもを連れて、袋を1枚ずつ裏返すのは現実的ではありません。読む手間ごと外に出す方法もあります。買う前に原材料名を公開している宅配を使う手です。
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よくある質問
- Qトレハロースは食品添加物ですか?
- A
食品に加えた場合は添加物として扱われます。厚生労働省の既存添加物名簿に「トレハロース」の名前があり、用途は製造用剤と書かれています。指定添加物リスト476品目には入っていません。
- Q「甘味料(トレハロース)」と書かれることはありますか?
- A
今回確かめた35商品には1つもありませんでした。作っているナガセヴィータも、公式サイトで物質名の「トレハロース」と書くよう指定していて、糖類にまとめる書き方は適切ではないと説明しています。
- Q1番目に書いてある商品は添加物が多いのですか?
- A
並び順は添加物どうしを重い順にしたものなので、多いか少ないかは分かりません。今回1番目だった23商品には、添加物がトレハロース1品目だけの商品も、11品目書かれている商品も入っています。
- Qどんな食品に使われていますか?
- A
今回35商品で見つかったのは、和菓子、洋菓子、ドライフルーツ、せんべい、スナック、冷凍のおかず、冷凍米飯、たらこです。コープ商品ではパンの分類100商品のうち1商品にしか書かれていませんでした。
まとめ:砂糖と同じ並びには入れてもらえない糖

35商品を並べて出た答えは1つです。トレハロースはでん粉などから作る糖ですが、原材料名では砂糖と同じ並びに入れず、スラッシュの後ろに名前のまま刷る決まりになっています。既存添加物名簿にある名前で、用途は製造用剤。用途名を併記する8つにも、一括名の14種類にも当てはまらないので、略しようがありません。
実物でも決まりどおりでした。35商品とも「トレハロース」の6文字だけ。23商品では添加物の1番目に刷られていて、コープの梅酒の梅のドライフルーツにいたっては、スラッシュの後ろがトレハロース1品目だけでした。
明日やることは1つ。袋を裏返して、スラッシュのすぐ後ろの1つ目を読む。そこにこの6文字があるかどうかは、2秒で分かります。
読む手間ごと外に出したいなら、注文の前に原材料名を公開している宅配という手があります。5社の表示を写して比べたのが無添加のおかず宅配おすすめ5社、冷凍の売り場で0品目を探した記録は無添加の冷凍餃子はどこで買えるかの記事にあります。
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