ラベルさんパン屋の袋をひっくり返しても、原材料名が出てこない。そんな覚えはありませんか。
店の手抜きではありません。作った場所で売るパンには、原材料名を表示する義務がないからです。根拠は食品表示基準という内閣府令にあります。
つまり「無添加のパン屋」を表示で選び分ける方法は、いまのところありません。店員に聞くしかない、が答えになります。
いっぽう、袋に入って売られている市販の食パンには、原材料名が付いています。公式サイトの食パン13商品を1つずつ記録したところ、10商品は添加物が0品目でした。
この記事では、法令の原文と13商品の実データを載せます。買う前に中身が分かるのはどちらなのか、はっきりさせます。数字は2026年8月29日時点で、各社の公式サイトから写したものです。
無添加のパン屋を探すと、原材料名のないところで行き止まりになる

はじめに、いちばん大事なところを書きます。店で焼いたパンは、原材料名が付かないまま売られることがあります。
理由は、表示のルールが働く範囲にあります。食品表示基準は平成27年の内閣府令第10号です。その第三条は、こう始まります。
食品関連事業者が容器包装に入れられた加工食品(業務用加工食品を除く。以下この節において「一般用加工食品」という。)を販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く。)には、次の表の上欄に掲げる表示事項が同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければならない。
ポイントは「容器包装に入れられた」の一言です。ここで対象が線引きされています。
- トレーに取って、レジで袋に入れてもらうパン……売られる時点では容器包装に入っていません
- 工場で袋詰めされて売り場に届く食パン……容器包装に入れられています
前者は、この条文が並べる表示事項の対象から外れます。だから原材料名がありません。
条文はe-Gov法令検索の食品表示基準で全文が公開されています。
店を責める話ではありません。決まりのうえで、書かなくてよいことになっているだけです。
「無添加」という言葉そのものにも法律上の定義はありません。そこは無添加という言葉のルールの記事に整理してあります。
売り場によって答えが割れる点は、スーパーの7つの売り場で添加物0品目を確認した記事でも同じでした。原材料名が付く売り場と、付かない売り場に分かれます。
作った場所で売るパンは、原材料名を省いてよいと決まっている

袋に入れた状態で売っているパン屋もあります。それでも答えは変わりません。
同じ府令の第五条に、義務表示の特例が置かれています。原文はこうです。
前二条の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる場合にあっては、同表の下欄に掲げる表示事項の表示は要しない。
その表の上欄に、次の一行があります。
食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合
そして下欄、つまり表示が要らなくなるものの先頭に「原材料名」が置かれています。
下欄に並ぶ主なものは次のとおりです。
- 原材料名(特定保健用食品及び機能性表示食品の場合を除く)
- 内容量又は固形量及び内容総量
- 栄養成分の量及び熱量
- 食品関連事業者の氏名又は名称及び住所
- 原産国名、原料原産地名
店内で焼いて、その店で売る。この売り方が、そのまま特例に当てはまります。
ここは正確に書きます。下欄に「添加物」という項目名そのものは出てきません。省けるのは原材料名のほうです。
ただ、何がどれだけ入っているかの全体像は、原材料名がないと分かりません。そこが抜ける以上、袋の裏だけで判断は付きません。
言い方を変えます。パン屋のパンが無添加かどうかは、表示では判定できない。それが制度の形です。
袋入りの食パン13商品のうち、10商品は添加物0品目だった

では、表示が付いている側はどうなっているのか。ここからが実データです。
敷島製パン(Pasco)は、商品ページに原材料名を載せています。食パンのカテゴリー13商品を、1商品ずつ記録しました。
基準は1つです。スラッシュ(/)の記号を原材料名の中から探し、その記号より後に書かれた品目を数に入れます。
| 商品 | 添加物の品目数 | スラッシュより後ろの中身 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 超熟 | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 超熟山型 | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 超熟 国産小麦 | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 超熟 国産小麦山型 | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 超熟ライ麦入り | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 超熟サンドイッチ用 | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 麦のめぐみ 全粒粉入り食パン | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| ファミリーモーニング | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| おいしく減塩食パン | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| 国産小麦と十六穀食パン | 0品目 | 記載なし | 公式商品ページ |
| くるみブレッド | 2品目 | 増粘剤(アルギン酸エステル)・加工デンプン | 公式商品ページ |
| レーズンブレッド | 2品目 | 甘味料(ステビア)・香料 | 公式商品ページ |
| 低糖質ブラン食パン | 2品目 | 加工デンプン・増粘剤(アルギン酸エステル) | 公式商品ページ |
13商品のうち10商品には、スラッシュそのものがありませんでした。原材料名が食材の名前だけで終わっています。
品目が付いていた3商品には共通点があります。レーズン、くるみ、小麦ふすま。生地に何かを足した商品でした。
素の食パンなら0品目。足し算をすると2品目。品目数を動かしていたのは、生地そのものではありません。
やわらかさが何から来ているのかは、ふんわり食パン6商品の原材料の記事に書きました。
1つ断っておきます。品目数は表示の長さであって、味や品質の順位ではありません。国は成分の規格と使用の基準を定めたうえで使用を認めています。
数の少なさは、同じ売り場の商品どうしを見分ける目印として使う。そのくらいの位置づけが実際に近いはずです。
原材料名を商品ページに載せていたのは、大手4社のうち1社だけ

ここは正直に書きます。同じことを4社でやろうとして、途中で止まりました。
大手4社の公式サイトを1社ずつ回った結果です。

- 敷島製パン(Pasco)……商品ページに原材料名の記載あり。食パン13商品すべてで公開
- 山崎製パン……食パンの商品一覧にある12商品は、いずれも栄養成分表のみで原材料名の記載なし
- フジパン……商品詳細の一覧は栄養成分表示とアレルゲン情報まで。原材料名の記載なし
- 第一パン……食パン・ロールパンの一覧にも原材料名の記載なし
買う前にネットで原材料名まで分かるのは、いまのところ1社だけです。
残り3社の商品は、売り場で袋の裏を確認するしかありません。スラッシュを探して、その後ろが何行あるかを確認する。手順はそれだけです。
これはパンに限った話でもありません。冷凍ケースに同じやり方を当てはめた冷凍食品の査定でも、公式表示の有無で結果が割れました。
では、無添加のパンをどう選ぶか

手順を3つに絞ります。
- 袋に入った市販品から入る。表示があるので、買う前に判断できます
- 原材料名の最後にスラッシュがあるかを確認する。なければ、その先に添加物の表示はありません
- スラッシュがある場合は、後ろの行数だけ確認する。中身の名前を覚える必要はありません
この手順が効くのは、原材料名が付いているからです。パン屋のパンには、この3手順が使えません。
実例を1つ。超熟の原材料名は、7つで終わっています。
小麦粉(国内製造)、砂糖、バター入りマーガリン、パン酵母、食塩、米粉、醸造酢
超熟 国産小麦のほうは、こうなっています。
小麦粉(小麦(国産))、砂糖、バター、パン酵母、食塩、醸造酢、米粉
どちらもスラッシュがありません。公式商品ページでそのまま公開されています。
ブランドサイトの表題は「余計なものは入れない。Pascoの超熟」です。こだわりのページには、こう書かれています。
超熟は素材にこだわり、本当に必要なものでつくります。
同じページには、次の一文も置かれています。
シンプルな素材で、小麦本来の味や香りを楽しめるおいしくて、あんしんなパンづくりをつづけています。
注目したいのは、言い切りの形になっていない点です。「無添加」とは書かれていません。
そのかわり、原材料名が7行で終わっています。表示そのものが説明になっている、という見せ方です。
読む側としては、この形のほうが助かります。言葉の意味を考えなくてよいからです。
そのうえで残る問題があります。パンだけでは食事になりません。おかずの側は、原材料名の長さがまったく違います。
おやつに近いパンで品目数がどこまで伸びるかは、菓子パン8商品の順位に載せています。1位は16品目でした。
おかずのほうを丸ごと入れ替える手もあります。何を使わないと決めているかを公式に書いている宅配なら、注文の前に方針が分かります。5社がどこまで公表しているかは無添加のおかず宅配おすすめ5社に、料金と注文回数はシェフの無添つくりおきを検証した記事にまとめました。
シェフの無添つくりおき

- 初回26%OFF+初回の送料は無料
- 1回だけのお試しOK・定期縛りなし
- 化学調味料・保存料など不使用(公式表記)
キャンペーン内容は公式サイトでご確認ください
パン屋では、店員に聞く以外の方法がない

最後に、パン屋での動き方です。表示がない以上、方法は1つに絞られます。
聞く。それだけです。ただし、聞き方で答えの返り方が変わります。
- 引っかかっているものを1つに決める。保存料でも、乳化剤でも、イーストフードでもかまいません
- その1つだけを聞く。「このパンに保存料は使っていますか」の形にします
- 答えが返らなくても、そこで終わりにする。表示の義務がない以上、店に手元の記録がないこともあります
全部をまとめて聞くと、店も答えようがありません。1つに絞ると、返事が返ってきやすくなります。
それでも分からないときは、市販品に切り替えたほうが早くなります。表示が付いている側なら、その場で判断できるからです。
この記事の背骨は1行です。読んで選べるのは、袋に入ったパンのほう。
よくある質問
- Q無添加のパン屋は、どうやって探せばいいですか?
- A
表示から探す方法はありません。食品表示基準の第五条で、作った場所で売る場合は原材料名の表示が要らないと決まっているためです。店員に1つだけ質問する形が現実的です。
- Q市販の食パンで、添加物の表示がないものはありますか?
- A
あります。Pascoの食パン13商品のうち10商品は、原材料名にスラッシュがなく添加物の表示が0品目でした。麦のめぐみ全粒粉入り食パン、超熟山型、超熟などが該当します。
- Qパン屋のパンに原材料名が付いていないのは違反ですか?
- A
違反ではありません。第三条の対象は容器包装に入れられた加工食品です。さらに第五条の特例で、製造や加工をした場所で売る場合は原材料名の表示が要らないとされています。
- Qメーカーの公式サイトで原材料名は確認できますか?
- A
会社によります。原材料名を商品ページで公開していたのは、大手4社のうち敷島製パン(Pasco)の1社です。残る3社は栄養成分表やアレルゲン情報までで、売り場で袋の裏を確認する必要があります。
まとめ:表示を読んで選べるのは、袋に入ったパンのほう

答えは2つに分かれました。
- パン屋のパン……原材料名の表示に義務がない。判定は表示ではできない
- 袋入りの市販パン……原材料名が付いている。13商品のうち10商品は添加物0品目
根拠は食品表示基準の第三条と第五条です。第三条の対象は容器包装に入れられた加工食品で、第五条は作った場所で売る場合の特例を置いています。
明日やることは1つに絞ります。市販の食パンを手に取ったら、原材料名の最後にスラッシュがあるかだけ確認する。
あれば後ろの行数を、なければそのまま買う。判断はこれで足ります。名前を覚える必要はありません。
そして、パン屋のパンは表示で選ばない。おいしさや近さで選んで、気になることが1つあるなら店員に聞く。そのほうが早いはずです。
パンは決まったのに、今日のおかずが決まらない。その場合は、宅配に切り替える手が残ります。
シェフの無添つくりおき

- 初回26%OFF+初回の送料は無料
- 1回だけのお試しOK・定期縛りなし
- 化学調味料・保存料など不使用(公式表記)
キャンペーン内容は公式サイトでご確認ください

