ラベルさん先に結論です。「無塩せき」は、塩を使っていないという意味ではありません。発色剤を使わずに塩漬けする製法のことです。無塩せきの商品にも、食塩は入っています。
そして100gあたりでそろえると、脂質はハムが2.1gから3.3g、ベーコンが14.1gから28.4gでした。いちばん少ないハムといちばん多いベーコンで13倍です。数字はすべて2026年8月27日に各社公式サイトで確認しました。
「ハムやベーコンは体に悪い」と言われる出どころは、裏の1行と売り場の言葉

入口は2つあります。1つめは袋の裏です。
ハムやベーコンの原材料名には、スラッシュ(/)が入っています。その後ろに発色剤(亜硝酸Na)と書かれた商品があります。あのピンク色をつくっている一行です。
2つめは売り場の言葉です。同じ売り場に「無塩せき」と書かれた商品が並んでいます。無・塩・せき、と読めるので、塩を抜いた商品だと受け取る人がいます。
この2つが重なると、「普通のハムは塩も添加物も多い、無塩せきなら安心」という読み方になります。そこを表示の数字で見ていきます。
「無塩せき」は、塩を使っていないという意味ではない

この言葉には、決まった意味があります。ハム・ソーセージ類公正取引協議会は、公正競争規約での定義をこう出しています。
「発色剤等(発色効果を有する物質を含む原材料又は添加物)を使用しないで、塩漬(しおづ)けを行うこと。」
無の字がかかっているのは、塩ではありません。「塩せき」という工程のほうです。
塩せきとは、肉に食塩と発色剤等と調味料を加えて、低温で漬け込む製法のこと。そこから発色剤等だけを抜いたのが無塩せきです。同協議会の説明では、こうなります。
「無塩せき製品であっても、発色剤等を使っている製品と同じく、食塩は必ず使います。」
つまり無塩せきは、塩の量の話ではなく、発色剤を使うか使わないかの話です。
抜いた分だけ変わるところもあります。同協議会は、発色剤等には色を保つ以外の働きもあるため、無塩せき製品の賞味期限は短く設定されると説明しています。実際、信州ハムのグリーンマークベーコンは賞味期限20日と公式サイトに書かれていました。
もう1つ。無塩せきと無添加も、同じではありません。この線引きは無添加とは?売り場での見分け方にまとめています。次の表で、そこも数字に出ます。
ハムとベーコン6商品を、100gあたりの数字にした

ハム3商品とベーコン3商品を、各社の公式サイトから引きました。うち2商品が無塩せきです。
公式の表示単位はばらばらでした。1パック31gから100gまであります。そこで表示値×100÷内容量で計算し直しました。たとえば朝のフレッシュ ロースハムは1パック35gで脂質1.1g。1.1×100÷35で3.1gになります。
| 商品 | 種類 | 無塩せき | 添加物の品目数 | 脂質 | 食塩相当量 | エネルギー |
|---|---|---|---|---|---|---|
| グリーンマークベーコン(信州ハム) | ベーコン | 無塩せき | 2品目 | 28.4g | 1.3g | 322kcal |
| スマイルUP! ハーフベーコン(プリマハム) | ベーコン | ― | 8品目 | 16.5g | 2.9g | 216kcal |
| 朝のフレッシュ ハーフベーコン(伊藤ハム) | ベーコン | ― | 9品目 | 14.1g | 2.8g | 209kcal |
| 森の薫り ロースハム(日本ハム) | ハム | 無塩せき | 2品目 | 3.3g | 2.4g | 124kcal |
| 朝のフレッシュ ロースハム(伊藤ハム) | ハム | ― | 8品目 | 3.1g | 2.9g | 117kcal |
| 朝食の定番 ロースハム(丸大食品) | ハム | ― | 8品目 | 2.1g | 3.2g | 101kcal |
すべて100gあたり。添加物の品目数は原材料名のスラッシュより後ろの数。

出どころは各社の公式ページです。グリーンマークベーコン55g、スマイルUP!®ハーフベーコン、朝のフレッシュ ハーフベーコン、森の薫り® ロースハム、朝のフレッシュ ロースハム、朝食の定番 ロースハム 80gから、2026年8月27日に取得しました。
脂質が13倍違ったのは、無塩せきかどうかではなく、ハムかベーコンか

表を上下に切ると、線がはっきり出ます。
ベーコン3商品の脂質は14.1g、16.5g、28.4g。ハム3商品は2.1g、3.1g、3.3gでした。重なるところが1つもありません。
いちばん少ないハムの2.1gと、いちばん多いベーコンの28.4gでは13倍です。エネルギーも101kcalと322kcalで3倍以上ひらきました。
豚ロース肉で作るのがハム、豚ばら肉で作るのがベーコンです。原材料名の1番目が違うので、脂質の行がここまで動きます。
そして、この並びは無塩せきとは関係していません。
無塩せきのグリーンマークベーコンは、脂質28.4gで6商品のうちいちばん多い値でした。無塩せきを選んでも、脂質は下がっていません。むしろ上がっています。
食塩のほうも同じです。無塩せきの森の薫り ロースハムは2.4g。いちばん多い朝食の定番 ロースハムの3.2gとの差は0.8gでした。ゼロにはなりません。
ただし、無塩せきのグリーンマークベーコンの食塩は1.3gで、6商品のうちいちばん少ない値です。無塩せきの2商品が、食塩でも脂質でも逆の端に来ました。表の言葉では順番が決まらない、ということです。
ただし、添加物の品目数が多い=体に悪い、ではない

品目数は安全性の順位ではありません。6商品でも、そこがはっきり出ました。
まず、無塩せきの2商品は同じ2品目ですが、中身が違います。森の薫り ロースハムは調味料(有機酸等)とリン酸塩(Na)。グリーンマークベーコンは卵殻カルシウムと香辛料抽出物です。
森の薫りには発色剤がありませんが、リン酸塩は使われています。無塩せきでも添加物ゼロにはなりません。同じ「2品目」でも、指しているものが別だということです。
逆の側も見ます。品目数が最多の朝のフレッシュ ハーフベーコンは9品目ですが、脂質14.1gはベーコン3商品でいちばん少ない値でした。エネルギーも209kcalで最少です。
そして、脂質がいちばん少ない朝食の定番 ロースハムの2.1gは、8品目の商品です。品目数の順番と、脂質や食塩の順番は一致しません。
ソーセージでも同じことが起きていました。発色剤を使わない商品と使う商品を並べた無添加ソーセージは体に悪い?4商品の原材料では、脂質と食塩に大きな差が出ませんでした。
じゃあ、ハムとベーコンをどう選んで、どう使うか

6商品を並べて出たことから、3つに絞ります。
1つめ。「無塩せき」で食塩を減らそうとしない。無塩せきは発色剤を使わない製法の名前です。森の薫り ロースハムの食塩は100gあたり2.4gでした。減らしたいのは食塩なのか、発色剤なのか。ここを分けて考えるほうが早く決まります。
2つめ。脂質を見るなら、商品名より先に種類を見る。ハムは2.1gから3.3g、ベーコンは14.1gから28.4g。どのメーカーを選ぶかより、ハムかベーコンかのほうが大きく効いていました。ベーコンを1枚減らすほうが、商品を替えるより数字が動きます。
3つめ。発色剤を避けたいなら、目印は「無塩せき」の4文字。ただしスラッシュの後ろは残ります。森の薫りにはリン酸塩がありました。袋の裏をそのまま読むのが確実です。
そのうえで、ハムやベーコンだけ替えても、その日のおかず全体は変わりません。添加物を使わないと決めて作られた惣菜を、届けてもらう方法もあります。
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よくある質問
- Q「無塩せき」は食塩を使っていないという意味ですか?
- A
違います。ハム・ソーセージ類公正取引協議会の定義はこうです。「発色剤等(発色効果を有する物質を含む原材料又は添加物)を使用しないで、塩漬(しおづ)けを行うこと。」同協議会は「無塩せき製品であっても、発色剤等を使っている製品と同じく、食塩は必ず使います。」とも書いています。
- Q無塩せきなら添加物はゼロですか?
- A
ゼロにはなりません。無塩せきの森の薫り ロースハムは、スラッシュより後ろが調味料(有機酸等)とリン酸塩(Na)の2品目でした。発色剤はありませんが、リン酸塩は使われています。
- Qハムとベーコンでは、いちばん違うのはどこですか?
- A
脂質です。100gあたりでハム3商品は2.1gから3.3g、ベーコン3商品は14.1gから28.4gでした。豚ロース肉で作るのがハム、豚ばら肉で作るのがベーコンだからです。食塩相当量は1.3gから3.2gで、種類では分かれませんでした。
- Q無塩せきの商品は賞味期限が短いのですか?
- A
ハム・ソーセージ類公正取引協議会は、発色剤等には色味を保持する以外の働きもあると説明しています。そのため無塩せき製品の賞味期限は、発色剤等を使っている製品より短く設定されるとのことです。信州ハムのグリーンマークベーコンは、公式サイトの表示で20日でした。
まとめ:見るのは「無塩せき」の4文字ではなく、ハムかベーコンか

6商品を並べて出た答えは2つです。「無塩せき」は発色剤を使わない製法の名前で、食塩の話ではありません。無塩せきの森の薫り ロースハムにも、100gあたり2.4gの食塩が入っていました。
もう1つは脂質です。ハム3商品が2.1gから3.3g、ベーコン3商品が14.1gから28.4g。いちばん少ないハムといちばん多いベーコンで13倍でした。しかもいちばん多い28.4gは、無塩せきのベーコンです。
明日やることは1つ。朝のベーコンを、ハムに置きかえた日を1日つくってみる。同じ枚数でも、脂質の行はここまで動きます。
ハムやベーコンを替えるより、おかず全体を切り替えたい日もあります。5社の原材料表示を比べた無添加のおかず宅配おすすめ5社と、料金と中身を確かめたシェフの無添つくりおきの検証記事もどうぞ。
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