ラベルさん先に結論です。原材料名に添加物の中身が書かれるか書かれないかは、食品表示基準の別表第六と別表第七、どちらに載っている添加物かで分かれます。別表第六は8行、別表第七は14行。同じ内閣府令の中に、正反対の指示を出す表が2つ並んでいました。
違いは条文の動詞に出ています。別表第六を指す一文は物質名「及び」用途の表示をすると書き、別表第七を指す一文は下欄の表示「をもって、これに代えることができる」と書いていました。足すのか、置き換えるのか。この一語が袋の裏の見え方を決めていました。条文はすべて2026年9月5日にe-Gov法令検索の食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)から写しています。
添加物の中身が書かれるかどうかは、2つの表で分かれる

e-Gov法令検索で食品表示基準の原文を開き、別表第六と別表第七を1枚に並べました。比べたのは行の数、条文の動詞、原材料名に出てくる形の3か所です。どちらの表にも品目名の一覧は付いていません。
| 比べたところ | 別表第六(用途名を書き添える) | 別表第七(一括名) |
|---|---|---|
| 行の数 | 8行 | 14行 |
| 条文の動詞 | 物質名及び用途の表示を表示する | 下欄の表示をもって、これに代えることができる |
| やっていること | 物質名に用途名を足す | 物質名を用途名に置き換える |
| 原材料名に出る形 | 甘味料(○○)のように括弧が付く | 香料、乳化剤のように1語で終わる |
| 中身の物質名 | 括弧の中に書かれる | 書かれない |
| 従うかどうか | 「表示する」=選べない | 「代えることができる」=物質名で書いてもよい |
| 上欄と下欄で言葉が変わる行 | 1行(増粘剤の行) | 5行 |
| 表に品目名が載っているか | 載っていない | 載っていない |
中身の名前が消えるのは別表第七に載っている14の言葉だけで、それ以外の添加物には物質名が出てきます。
条文の動詞が「足す」と「代える」で逆になっている

2つの表を指している条文は、どちらも食品表示基準の第三条にあります。横断的義務表示の「添加物」の欄から、1と3を原文のまま短く引きます。取得日は2026年9月5日です。
別表第六の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名及び同表の下欄に掲げる用途の表示を(食品表示基準 第三条 添加物の項 1)
ここは「物質名及び用途の表示」と並べています。物質名を書いたうえで、用途名も書く。2つそろって初めて条文を満たします。
別表第七の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては同表の下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる(食品表示基準 第三条 添加物の項 3)
こちらは「代えることができる」。物質名の場所に、別表第七の言葉が座ります。足し算ではなく入れ替えなので、元の名前は残りません。「香料」の2文字しか出てこないのは、この一文があるからでした。
2つの表に進む前に、外れるものが2つある
いま引いた1には、前置きが付いています。「次に掲げるものを除き」と書き、一号に加工助剤、二号にキャリーオーバーを挙げていました。この2つに当たると、別表第六も別表第七も出番がありません。表示に名前が出るかどうかの前に、そもそも書かなくてよい入口があります。
だから原材料名が短い商品を見ても、2つの表だけで説明が付くとはかぎりません。免除の条件は記事の終わりでもう一度ふれます。
一括名は「できる」、用途名の併記は「する」
もうひとつ、語尾も違います。別表第七を指す一文は「代えることができる」で終わるので、メーカーが物質名のまま書いても決まりを外れません。一括名を使わず、中身の名前を並べている商品もあります。
別表第六を指す一文は「表示する」で終わります。8つの用途で使ったなら、用途名を書き添えるかどうかを選ぶ余地はありません。別表第七は任意、別表第六は義務。同じ第三条の中で、扱いが分かれていました。
物質名も「広く使われている名称」に置き換えられる
いま引いた3には、もう1つの入れ替えが同じ文の中に入っています。原文は「添加物の物質名の表示は、一般に広く使用されている名称を有する添加物にあっては、その名称をもって」代えられると書いています。品名として届け出た正式な名前ではなく、通りのよい短い名前で書いてよいという決まりです。
だから括弧の中に出てくる名前も、名簿に載っている表記と一字一句そろうとはかぎりません。ビタミンC、重曹、粉あめのように短く書かれていることがあります。1つの条文の中に、名前を短くする決まりが2つ重なっていました。
用途名を書かなくてよい場合が2つだけある

別表第六に当たっても、用途名が出ないことがあります。抜け道は通知ではなく基準の本文に書かれていました。第三条 添加物の項の4を、原文のまま引きます。
1の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合にあってはそれぞれ当該各号に定める用途の表示を省略することができる。一 添加物を含む旨の表示中「色」の文字を含む場合 着色料 二 添加物を含む旨の表示中「増粘」の文字を含む場合 増粘剤又は糊料(食品表示基準 第三条 添加物の項 4)
読み替えると、こうなります。物質名に「色」の字が入っていれば、頭に「着色料」と付けなくてもかまいません。同じように「増粘」の字が入っていれば、「増粘剤」も「糊料」も要らなくなります。
| 条文の条件 | 省略できる用途名 | 原材料名での見え方 |
|---|---|---|
| 添加物を含む旨の表示中に「色」の文字がある | 着色料 | 用途名が付かず、名前だけが並ぶ |
| 添加物を含む旨の表示中に「増粘」の文字がある | 増粘剤又は糊料 | 用途名が付かず、名前だけが並ぶ |
省略が認められているのは、8つの用途のうちこの2つだけでした。残る6つには逃げ道がありません。
消えるのは用途名だけで、物質名は残る
読み違えやすいところを1つ。条文が省略できると書いているのは「用途の表示」で、物質名ではありません。「色」の字を含む名前がそのまま並ぶのは、名前を消したからではなく、名前の中に用途が入っているからです。
結果として、この2つに当たった表示は別表第七の一括名とよく似た見た目になります。1語で終わっていても、中身の名前が消えているわけではありません。見分けるには、その言葉が14の一括名に入っているかどうかを見ます。
別表第七の14行|1語に置き換わる言葉の一覧

別表第七の上欄と下欄を、14行すべて原文のまま写しました。右の列には、その言葉の中身をたどった記事を置いています。上欄が使った目的、下欄が原材料名に出る言葉です。
| 上欄(使用目的) | 下欄(原材料名に出る言葉) | 中身をたどった記事 |
|---|---|---|
| イーストフード | イーストフード | 4文字が売り場から消えるまでを追う |
| ガムベース | ガムベース | 通知で範囲を確かめた記録 |
| かんすい | かんすい | 中華麺の袋で見た書かれ方 |
| 酵素 | 酵素 | 書かれるときと書かれないとき |
| 光沢剤 | 光沢剤 | 由来が5通りに分かれる3文字 |
| 香料 | 香料 | 2文字の後ろにある候補の広さ |
| 酸味料 | 酸味料 | 調味料と重なる品目の話 |
| チューインガム軟化剤 | 軟化剤 | 軟化剤と苦味料の決め方の違い |
| 調味料(甘味料及び酸味料に該当するものを除く。) | 調味料(アミノ酸)など8通り | 「等」が付く条件を条文で読む |
| 豆腐用凝固剤 | 豆腐用凝固剤又は凝固剤 | 豆腐の凝固剤が5通りに分かれた話 |
| 苦味料 | 苦味料 | 苦味料の中身がどこまで広いか |
| 乳化剤 | 乳化剤 | レシチンの由来が書かれるかどうか |
| 水素イオン濃度調整剤 | 水素イオン濃度調整剤又はpH調整剤 | pH調整剤に入る品目を通知で確認 |
| 膨張剤 | 膨張剤、膨脹剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉 | ベーキングパウダーの書かれ方 |
14行のうち、上欄と下欄で言葉が変わるのは5行でした。チューインガム軟化剤、調味料、豆腐用凝固剤、水素イオン濃度調整剤、膨張剤。残りの9行は、上欄と下欄がまったく同じ言葉です。
下欄に選択肢がある行は、同じ添加物でも見え方が変わる
膨張剤の行が分かりやすい例です。下欄には膨張剤、膨脹剤、ベーキングパウダー、ふくらし粉の4つが並び、どれを書いてもかまいません。菓子の袋で「膨張剤」、製菓材料の袋で「ベーキングパウダー」と見えるのは、同じ1行の中で書き方が選べるからでした。
水素イオン濃度調整剤の行も同じ形です。長い名前と「pH調整剤」の短い名前が、どちらも下欄に置かれています。売り場で目にするのは、ほとんどが「pH調整剤」の5文字です。
別表第六の8行|用途名の後ろに物質名が付く

別表第六も8行すべて原文のまま写しました。左が使った目的、右が書き添える用途名です。この表には物質名が1つも出てきません。
| 上欄(使用目的) | 下欄(表示する用途名) |
|---|---|
| 甘味料 | 甘味料 |
| 着色料 | 着色料 |
| 保存料 | 保存料 |
| 増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料 | 主として増粘の目的で使用される場合にあっては、増粘剤又は糊料/主として安定の目的で使用される場合にあっては、安定剤又は糊料/主としてゲル化の目的で使用される場合にあっては、ゲル化剤又は糊料 |
| 酸化防止剤 | 酸化防止剤 |
| 発色剤 | 発色剤 |
| 漂白剤 | 漂白剤 |
| 防かび剤又は防ばい剤 | 防かび剤又は防ばい剤 |
下欄が上欄と別の言葉になるのは、増粘剤の行だけでした。同じ材料でも、とろみを付けたのか、分離を止めたのか、固めたのかで名前が変わります。ほかの7行は上欄と下欄がそのまま同じです。
8行の表に、品目のリストは付いていない
別表第六に並んでいるのは用途の名前だけで、どの添加物がその8つに当たるかは書かれていません。品目の割り当ては消費者庁の通知に降りています。表を開いても、甘味料に何が入るのかは分からない作りでした。
別表第七も同じです。14の言葉と、下欄の書き分けの条件までは載っていますが、品目名は1つも出てきません。2つの表はどちらも「言葉の決まり」だけを書いた表で、中身は別の資料に置かれています。
どちらの表にも載っていない添加物は、物質名だけが書かれる
第三条の1には、続きがあります。「それ以外の添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名を表示する」。8つの用途にも14の一括名にも当たらなければ、名前がそのまま原材料名に出るという決まりです。
この3つ目の並びが、実は一番数が多くなります。セルロースという表示が指す範囲や、トレハロースが砂糖の欄に入らない理由を追うと、物質名で書かれる添加物の姿が見えてきます。
ややこしいのは、同じ物質が両方に登場する場合です。グリシンが「調味料(アミノ酸)」と並ぶ理由で見たように、名前で決まるのではなく、使った目的で書き方が決まります。添加物の名前を覚えても、書かれ方までは決まりません。
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生鮮食品では、この決まりが逆向きになる

ここまでは加工食品の話です。生鮮食品には別表第二十四という別の表があり、18品目の果物といもだけに添加物の欄が用意されていました。対象と条文を原文で確かめます。
別表第二十四で添加物の表示が求められているのは、次の18品目です。
- アボカド、あんず、おうとう、かんきつ類、キウィー、ざくろ、すもも、西洋なし、ネクタリン
- パイナップル、バナナ、パパイヤ、ばれいしょ、びわ、マルメロ、マンゴー、もも、りんご
この18品目の「表示の方法」の欄に、加工食品とは逆向きの一文が置かれています。
1の規定にかかわらず、防ばい剤又は防かび剤として使用される添加物以外の添加物を含むものにあっては、当該添加物の物質名の表示及び当該添加物に係る別表第七の下欄に掲げる表示を省略することができる。(食品表示基準 別表第二十四 添加物の項 2)
省略してよいと書かれているのは、物質名の表示と、別表第七の下欄に掲げる表示の2つでした。裏返すと、防かび剤または防ばい剤として使った添加物だけは、物質名を省略できません。輸入のオレンジやバナナで「防かび剤(イマザリル)」といった書き方に出会うのは、この一文が残っているからです。
加工食品と生鮮食品で、名前が残る条件が入れ替わる
加工食品では、別表第七の14の言葉に当たると名前が消えました。生鮮の18品目では、防かび剤に当たらなければ名前が消えます。名前が残る条件が、同じ府令の中でひっくり返っていました。
18品目の顔ぶれにも決まりがあります。並んでいるのは輸入して長く運ぶ果物と、ばれいしょ。収穫してから店に届くまでの間に、かびや芽への手当てをする作物です。ここだけ名前を残したのは、その手当てを買う人に伝えるためでした。
もうひとつ違うのは、書かれる場所です。加工食品なら袋の裏に一括表示があります。18品目の果物はばら売りが多いため、値札や品名を書いた札、陳列している場所の掲示が表示の場になりました。裏返す相手がないので、探す場所が変わります。
原材料名を見て、どちらの表かを見分ける

ここまでの決まりを、売り場で使える順番に並べ直します。見るのはスラッシュより後ろ、または添加物と書かれた欄だけです。順に4つ見ていきます。
| 見えている形 | どちらの表か | 中身の名前 |
|---|---|---|
| 言葉のあとに括弧が付いている(甘味料(○○)など8つの用途) | 別表第六 | 括弧の中に書いてある |
| 1語で終わっている(香料、乳化剤、酸味料など14の言葉) | 別表第七 | 書かれていない |
| どちらの言葉でもない名前が並んでいる | どちらの表にもない | その名前が物質名 |
| 「色」や「増粘」の字を含む名前が用途名なしで並んでいる | 別表第六の省略 | その名前が物質名 |
手順にすると3つです。
- 括弧があるかどうかを先に見る。括弧の付いた用途名は8つのどれかで、中身は括弧の中に書いてあります
- 括弧がなければ、14の言葉に当てはまるかを見る。当てはまれば、その先は表示から追えません。追いたいときは、この記事の一覧から中身の記事へ進みます
- 14の言葉でもなければ、見えている名前が物質名です。ただし第三条の3で、広く使われている短い名前に置き換えることも認められています。名簿の正式な表記と一字一句そろうとはかぎりません
1語で終わっていた言葉は、この記事の14行から進む
2番目で止まった言葉は、それだけでは中身が追えません。追いかける道は、通知に付いている品目の一覧をたどることです。14行の一覧に置いた記事は、その作業を1つずつ済ませたものになっています。
使い方は単純です。原材料名で止まった言葉を14行の中から探し、右の列の記事を開く。その言葉1つで書ける品目が何と何なのか、通知と名簿までさかのぼって並べてあります。表示から追えないところまで来たら、名簿と通知に戻るしかありません。
果物といもの18品目だけは、袋の裏ではなく値札や掲示を見ます。名前が残っているのは防かび剤だけなので、書いていなければ「ほかの添加物を使っていない」ではなく「書かなくてよい決まりだった」と読みます。
もうひとつ断っておきます。原材料名にスラッシュより後ろが何もなくても、工程で何にもふれていない証明にはなりません。加工助剤とキャリーオーバーの免除を条文から確かめた記事に、書かなくてよくなる条件をまとめています。表示の短い商品が売り場でどこまで見つかるかは、スーパーを一周して確かめた記事にあります。「無添加」という言葉がどこまでを指すのかは無添加とは?で説明しました。
よくある質問
- Q用途名の併記と一括名は、何が違うのですか?
- A
載っている表と、条文の動詞が違います。用途名の併記は食品表示基準の別表第六に8行あり、条文は「物質名及び用途の表示」と足し算で書きました。一括名は別表第七に14行あり、条文は「下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる」と入れ替えで書いています。だから用途名の併記は括弧の中に物質名が残り、一括名は1語だけになります。
- Q一括名で書かないといけないのですか?
- A
いいえ。第三条の条文は「代えることができる」なので、物質名のまま書いても決まりを外れません。一括名を使わず中身の名前を並べている商品もあります。反対に別表第六の8つの用途は「表示する」と書かれているため、用途名を書くかどうかは選べません。
- Q色の材料なのに「着色料」と書かれていない商品があるのはなぜですか?
- A
第三条 添加物の項の4に、省略の決まりがあるからです。添加物を含む旨の表示中に「色」の文字があれば着色料を、「増粘」の文字があれば増粘剤または糊料を省略できます。用途名を省略できるのは、8つの用途のうちこの2つだけでした。
- Q輸入の果物の添加物は、どこに書いてありますか?
- A
値札や品名を書いた札、陳列している場所の掲示に出ます。食品表示基準の別表第二十四は、アボカドからりんごまでの18品目に添加物の欄を置いています。そこでは防ばい剤または防かび剤以外の添加物について、物質名の表示を省略できると書かれているため、名前が残るのは防かび剤だけです。
まとめ:足す表と、置き換える表が同じ府令の中にある

条文を並べて出た答えは1つです。別表第六は物質名に用途名を足す表で、別表第七は物質名を用途名に置き換える表。だから中身の名前が書かれる添加物と、書かれない添加物に分かれます。別表第六は8行、別表第七は14行で、どちらの表にも品目名は載っていません。
用途名を省略できるのは、添加物を含む旨の表示に「色」か「増粘」の字が入るときの2つだけです。生鮮の18品目では向きが変わり、名前が残るのは防かび剤または防ばい剤だけになります。加工食品と生鮮食品で、名前が残る条件が入れ替わっていました。
明日やることは1つ。手に取った商品のスラッシュの後ろを見て、括弧が付いているかどうかを確かめる。括弧があれば中身は書いてあります。1語で終わっていれば、その先はこの記事の14行の一覧から進めます。
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